フランス語
今年度も時間の制約を味方につけたアートがすばらしかった(アンダーソン作品を除く)。 私が気に入った作品順に。■ Red, White and Blue 今日はスーパーチューズデー。身につまされた。 中絶を禁じることの問題点を最も効果的に見せるギミックに翻弄される…
ちょっと長く感じるが、ユニークで面白かった。 フランスの子どものライツの守り方が興味深い。トリエ監督はサンドラに周囲の人物とは異なる言語を話させることにこだわったらしいが......結局、法廷での証言、子どもとのやりとりに配慮を得られない程度には…
佳い時間だった。 この一家は家族をやることに対して力が抜けてていいなー。 上映前に『Book Club』の続編の予告が流れて、高齢女性4人が妙に口角の上がったパンパンの顔でイタリアに繰り出してキャッキャするのを見た後だったので、どちらも虚像なのは分か…
フランス革命前夜。 大味の「自由・平等・博愛」入門。数は力。 あのまま、One Day Moreが聞こえてきそう。セットとフランス王妃の扱いに突っ込みたいところが多々あるが、そこは肝ではないということで...。私はパンデミックのロックダウンの間に自分が生き…
カンボジアンフレンチのDavy Chou監督による『ロスト・イン・トランスレーション』以上にLost in translationが歯がゆい逸品。それこそ同じ言語の話者同士であっても誰もがすれ違いまくる。 あまりに理解を超えてくる相手に、一言で消されるマキシムと一緒に…
ブロンテ姉妹のインスピレーションの源泉を探る。 荒野の豪雨が快かった。チャリ通の生徒は走行しながらハンドルの上でジャンプを読んでいたような時代、私は通学の電車内で『嵐が丘』と『ジェーン・エア』を苦痛のうちに読み上げた。だが、女性が自分の名前…
言語としての音楽に関心を持つひとりとして大変情報量が多く面白かった。 プロットを読んで『ブラック・スワン』みたいな話だったらめんどくせえな〜と思ったのだが、幻聴・幻覚は最小限、わりと地に足のついた骨太のサイコスリラーだった。 特にコロニアリ…
エウリピデスの『メディア』を下敷きに、実際にあった子殺し事件の解釈を試みるインテンスな女性論。 舞台で見たい感じ。 白人様が「洗練されている」「教養がある」と異様に絶賛するローレンスのフランス語に浸ることができる。ローレンスの母親、ごくわず…
1950年、朝鮮戦争のさなか。海軍航空隊の史実に材を取った物語。優れた活劇なのだが、グレン・パウエルが主演していることもあってか、『トップガン』とかぶってる映画と思われて非常に損をしている。ジャンルからして全然違うけど、あえて「海軍パイロット…
『ショコラ』『ハイ・ライフ』などに続く、クレール・ドニ x ジュリエット・ビノシュのコンビ作品。 マメシャトルの『ハイ・ライフ』はとにかく後味が悪かったのだが、本作はレビュワーの評価が異常に高かったのと、現代劇だということで(みんなマスクをし…
素敵な拾い物だった。 マンガのようなヴィランズにいいひとたち、そして魔法のドレスが続々登場するディズニーアニメのようなプロットが楽しい。 ただ、パリの風景を楽しめる映画ではなく、あくまでハリスおばさんが夢みるところの「パリ」を箱庭内で撮影し…
あまりにもタイムリーな全米公開。 1960年代のフランスで望まぬ妊娠をした学生が地下で中絶を遂げるまでを描く。あのこと(字幕版)アナマリア・ヴァルトロメイAmazon昨今の状況に限らず、男性システムによる女性の体の支配についてもう次々と思い起こされて…
子どもが主人公のファンタジーながら一貫した突き放し感がひんやりするグリ―フケアの佳作。 『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督作品。双子、ガニマタの角度まで同じで本当にDNAは驚異だよ。鑑賞中、退屈したわけではないが、70分で終わるという事実に…
まあまあ面白かった。 ただ、これがたとえばシカゴが舞台で全編英語だったら不思議と退屈になったと思う。 パリ13区である必然性は言語だけ。実に魅力的なヴォイスだった。フランス語を勉強するときには教材に使いたい。パリ13区 R-18版(字幕版)ルーシー・…
『イミテーション・ゲーム』の脚色で成功を収めたムーアの初監督作品。 戦争直後、シカゴでギャングたちをメイン顧客にスーツを仕立てるビスポーク「カッター」の企みを描く一幕劇。面白かったし、マーク・ライランスはとても良かった。 が、私のギャング・…
ドキュメンタリー、アニメ以外の短編映画を腰を据えて見るのは12年ぶりである。友人の映画学校卒業式で数本卒業制作を見たのが最後だ。 これからも目にする機会はほとんどないと思うが、これはすごい世界だ。先の卒業制作短編は長く感じた上、何も覚えていな…
こ、これは...... 絵づくりがおバカすぎる。 超ポール・バーホーベン。さすがポール・バーホーベン。80代にしてなお貫かれるフェティシズム。実際、ちょこちょこ吹き出してる人いたし、ラストシーンは失笑が漏れたし、そういう映画ってことでいいんだよね? …
ジョアンナ・ホッグ監督の映画学校時代の半自伝、その後。 もともと2部構成の予定で撮られた作品なので、前編なしではイミフだと思う。 映画学生物語として卒業制作のプロセスが描かれているところが前編よりも面白かった。映画製作を意識的にしろ無意識的に…
初めてひとりでニューヨークに行った十代のとき、『ニューヨーカー』誌をおみやげに買って帰った。 その程度には『フレンチ・ディスパッチ』のモデルになった文芸誌の世界には惹かれているけど、この映画は残念ながら好きになれず。 私にこれを楽しめる素質…
モントリオール! モントリオール! モントリオール!カナダの都市のいいところはふとフランス語が漂ってくるところ。 ハイスクールでフランス語を履修した子どもたちが夏休みに隣国へプチ留学に出かけているのを常々羨ましく思っている。 私もやろうかな。 …
Sooo many things going on... でもドラマとして面白かった。家父長制に抵抗する女性たちが精神病院に突っ込まれた19世紀の物語。 ヨーロッパには旧精神科病棟のユースホステルやホテルがいくつもある。その部屋を思い出しながら見た。霊が見える奴はヒステ…
ギャレット・ブラッドリー製作・監督作品の感想。
2021年アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作5本を一気見した感想。Hunger Ward、不割席、ラターシャに捧ぐ 〜記憶で綴る15年の生涯〜、Colette、A Concerto is a Conversation
英語字幕で鑑賞。 今となっては懐かしい回転寿司から始まるアナザー二流いかにもフランス映画。 言葉も中毒になるけど、良い薬だし、安全です。 本当にそうだろうか? と語りかける。先日、ブラックパンサーが若くしてひっそりと逝ってしまい、アンジェリー…
英語字幕で鑑賞。 長いし、蛇足てんこもりだが、絵の美しい作品。燃ゆる女の肖像(字幕版)ノエミ・メルランAmazon最近読んだ、同じく肖像画家が主人公の村上春樹『騎士団長殺し』と、これも最近美術館で見たレンブラントの作品を重ねながら見た。 だって薄…
アカデミー国際長編映画賞ノミネート作。 フランス語講師のすすめで見る。といっても英語字幕をガン読みする。ユニークな作品。冒頭と宣伝美術の大上段と比べ、事件は何と小さな世界で起きていることよ。レ・ミゼラブル(2019)(字幕版)ダミアン・ボナ…
Find it before you look for it. なんてことはない作品だけど、最近、自分では大事だと思っていたもの2つ同時に失ってやや荒野に足を突っ込んでいた私にはささやかな慰めになった。 シントラの背景にはさほど感心せず。 実際の現地がどうか知らないけど、あ…
注:ネタバレあります。 レビュワーたちの熱心な賞賛を集め、今年一番の呼び声も高い。 昨年の『ムーンライト』の静かな熱狂にも似た迎えられ方をしている作品。で、誰か言うだろうな〜と思っていたら、Fresh AirのDavid Edelsteinが早速かましてくれました…
翻訳の楽しみ、また特に日本の翻訳語の豊かさがじっくり書かれていて、翻訳者のはしくれとして、共感。 斎藤 さっきも言ったように翻訳はある意味で研究であるわけですよ。その訳者がどう異国の言語と向き合い、それを受容したか。それがすべてそこに凝縮さ…
久しぶりに紙の本を読みました。 いや、Kindlerになってはや4年、図書館すら滅多に行かなくなってしまいました。 Kindleを開けばそこが図書館。イマキュレー・イリバギザ 堤江実訳『生かされて。』 激動のルワンダを生き抜いた女性の記録として高い評価を受…