英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Call Me by Your name を見た。『君の名前で僕を呼んで』

注:ネタバレあります。
レビュワーたちの熱心な賞賛を集め、今年一番の呼び声も高い。
昨年の『ムーンライト』の静かな熱狂にも似た迎えられ方をしている作品。

で、誰か言うだろうな〜と思っていたら、Fresh AirのDavid Edelsteinが早速かましてくれました。
"I'm going to call this movie by the name masterpiece." と。

言語オタにとってはなかなか美味な脚本です。
なにしろ舞台はポリグロットファミリー。そこにいろんな言語をものす客人やお手伝いや通りすがりが出たり入ったり。
フランス語、ドイツ語、イタリア語、アメリカ語、そしてアラビア語、ギリシャ語やラテン語に遡る語源まで、彼らは軽やかに言葉を積み重ねていきます。
あえてユダヤ人カップル、ラストはハヌカというのも実に面白い。

絵は文句なしに素敵。まるで舞台装置みたいなロケ地もたっぷり。

でもなあ… 構成の惜しいところが目立つ。私が特に気に入らなかったことはふたつ。
最後の2人旅が蛇足。『キャロル』の要らん逃避行を思い出す。
父ちゃん、最後に金八みたいにしゃべり過ぎ。せっかくそこまでに細かい目で織り上げたタペストリーが台無しに。

やっぱり説明したくなっちゃうのかなあ。
『ムーンライト』がいかに忍耐強い作りだったのかを改めて思う。

一度、2人が「君の名前で僕を呼」び合ったがために、最後オリバーが婚約を告げる電話でエリオが名前をつぶやいたとたんに、テレフォンセックスみが沸き出してゾゾッとした。(←ギミックを褒めてます)

私にとってはこの映画は名作、ただし主題以外の部分で、という感じ。

いくつか製作者のインタビューをラジオで聞いたが、もし舞台が現代で彼らがスマホ持ってたらあの関係は生まれなかっただろうね、というアーミー・ハマーの指摘は興味深かった。
Darkest Hourもそうでしたが、スマホなき時代をrepresentするのはどこに行っても立ちこめる紫煙。

ところで、あんまり彼、良くなかったと思う。アンサンブルの中では異人種アメリカンという設定とはいえ、彼の顔だけ後から貼ったみたいに浮いていた。
インタビュアーに「あなたのダンスへの突っ込みでタイムラインがいっぱいになったよ」と言われて「いやマジ、それは謝るわ」とも。(憎めないところも、アメリカ〜ンですね)

エリオ君は『レディ・バード』の短小ね。役柄が雰囲気にぴったりでした。

今日はスタバ寄ったらレジのスキャナが起動せず、買おうとしたお菓子タダでもろた。
時々、お八つをくれる神様。

私が2017年に見た作品ベスト5はこちら。

原作。

邦訳。

苦手系作品やわ〜と思ったトレーラー。