英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Benedetta を見た。ポール・バーホーベン『ベネデッタ』

こ、これは...... 絵づくりがおバカすぎる。
超ポール・バーホーベン。さすがポール・バーホーベン。80代にしてなお貫かれるフェティシズム。

実際、ちょこちょこ吹き出してる人いたし、ラストシーンは失笑が漏れたし、そういう映画ってことでいいんだよね?
シャーロット・ランプリングのお仕事選びのセンス泣

テーマはとても興味深い。かれらの言うところのスティグマについて知ることができた。
でも、信仰は目に見えないものに実体があると確信することでしょう?(ヘブル11:1)
不思議現象を崇めるのは神に奉仕するプロとして矛盾を感じないのかと思う。

教会で(念のため、私の教会ではない)、沖縄のライブハウスで、ベガスのレイブで、トランス状態になっている人をいろいろ見てきた。
それで感じたのは決してヘブンリーではないこと。むしろ悪魔的であること。
奇跡ではなく、あまり良くないものにコントロールされた状態。避けるべき。

ある教会で(再び念のため、私の教会ではない)、礼拝中にやたら大勢の人がトンでいてやべーと思っていたら、牧師が少し呆れた様子で「別に何のしるしがなくても聖霊は受けてますからね」と言ったとたん、全員が素に戻ったことがあった。あれは笑った。
それぞれの人にそれぞれの真実があるのは理解するが、それはファクトとは別のものだ(再現性はない)。

この映画で描かれたように、宗教が偽預言者と偽奇跡、人間同士の裁き合い、偽善の巣窟になり、マジに神の怒りが下る(ペスト蔓延)的なことは山ほどあったのだと思う。アメリカに場所を移してからも魔女狩りを始め枚挙のいとまがない。
で、記録テクノロジーが進化した今も(だからこそ?)、偽預言者サークルがますます活況を呈しているのは何なのだろうと考えていた。
私の知人でも3人も頭がQになって未だに帰還していない。

ベネデッタ役の俳優さん、SATCのサマンサにボトックス入れたみたいな表情で精彩を欠く。
ボトックスと言えば、最近初めてHBO Maxに加入して思いがけず『フレンズ:ザ・リユニオン』が見られて嬉しかったのだが、レイチェルとモニカの表情が不自然で超気になった。男衆とフィービーは変わったところも変わっていないところも含めて各々チャーミングなのだが、レイチェルとモニカについては見てはいけない...と思わせる異物感があった。CGと同じく、技術が進歩してもなかなか神業には近づけないものだなと考え込んだ。

バーホーベン監督が幼少期を大戦下のオランダで過ごしたことを知る。つまり、アンネ・フランクと同時代を生きていた。
とはいえマジョリティ側にいた彼は生き延び、長じてラジー賞監督になったわけ。いい話だ。

12/8 追記、そうだ、ベネデッタは人(と自分)をだますためなら自分を傷つけるのが平気という点では、かれらの仲間入りだ。闇深い。

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  • ヴィルジニー・エフィラ,シャーロット・ランプリング,ダフネ・パタキア,ランベール・ウィルソン
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原作。歴史書としてかなり面白そう。