英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

2023-01-01から1年間の記事一覧

映画 The Color Purple (2023) を見た。ミュージカル『カラーパープル』

福音(ゴスペル)のナラティブを触媒にほとばしるシスターフッド讃歌。 原作のわりと大きなエピソードは省いても、主要人物のそれぞれの信仰の言説をしっかりすくってあるのが好き。 神に近づいて若返る、というのは新約のメインテーマのひとつだし。数々のD…

映画 Maestro を家で見た。ブラッドリー・クーパー『マエストロ:その音楽と愛と』

ハリウッドの権威が好むディアスポラ物語で、あーハイハイと言いたくなる。 バーンスタインのバイオや音楽に興味は尽きないが、目下のイスラエル政府(イスラエルではない)powered by アメリカの非道がちらついて作品を寿ぐ気分になれない。トレーラー。

2023年 映画館または家で見た映画ベスト3

気に入った作品順。それぞれ、鑑賞日の日記にリンクしています。 今年の私にとって大きかった映画関連のできごとはふたつ。7歳のリクエストで10年以上ぶりに日本の映画館へ行ったこと。ポップコーンの巨大さはアメリカ標準だった。 それから、リサーチ・スク…

映画 Eileen を見た。トーマシン・マッケンジー is『アイリーン』

毒親脱出物語は好きなのだが、構成のバランスが良くない。 写しすぎに思えるシーンに加えて、メイン2人のビジュアルの相性の悪さゆえ。レベッカの言うとおり、オランダ絵画の少女のようなマッケンジーのたたずまいをひたすら楽しむ。 衣装も各種カーディガン…

映画 May December を家で見た。トッド・ヘインズ『メイ・ディセンバー ゆれる真実』

私が知るこの世でいちばんの快楽はpageturnerを一気に読むこと。それと似た体験ができるほどプロットの吸着力が強い映画は久しぶりだーとワクワクしたのだが、後半は尻すぼみ。 ガラかめを真面目ちゃんのナタリー・ポートマンがやるのが適役とも言えるし、つ…

映画 Killers of the Flower Moon を見た。『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

面白かった。 Certain Womenのリリー・グラッドストーンが印象的だったので、彼女がメインを張るのを見られるのがいちばん嬉しかった。白人がやってる搾取にjusticeの介入ができるのも白人だけというのはきついね。近所の映画館の最終上映回に行ったのだが、…

繁栄できない原因(シリーズ献金 その23)

日本の教会で礼拝にあずかる機会に恵まれた。 そこで日本のキリスト教人口が1%を超えられない原因の一端を見たので、さばいてるように聞こえるかもしれないけれど事実として書いておく。そのプロテスタント教会は、メガチャーチとは言わないまでも日本では大…

映画 The Holdovers を見た。アレクサンダー・ペイン『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

ウソつかないバートンマンの矜持を描くあたたかなホリデームービー。好き。 バートンのインテリアからボストン各ロケーションまでプロダクションデザインがいちいち素晴らしい。『サイドウェイ』『ネブラスカ』に続いてまた男2人中心のロードムービーか〜、…

映画 Priscilla を見た。ソフィア・コッポラ『プリシラ』

アメリカンメモワールが好きなので楽しみにしていたのだが、退屈。 同じくコッポラの『マリー・アントワネット』と同じ話だった。 ローなまま権威的な庇護体制のもとに入ってしまい、超ヒマなつまらん空しい毎日を送るやつ。ふたりの関係性が中心とはいえ、…

奉仕に伴う神さま特別手当(シリーズ献金 その22)

友人にのっぴきならない急な事情があり、1か月間、高齢のご母堂の送迎を頼まれた。 困ったときに思い出してもらえたのは嬉しかったものの、一瞬「ほかに選択肢ないわけ?」と思ってしまった。 A地点からB地点の30分ほどの送迎なのだが、AもBもうちから車で1…

映画 Anatomy of a Fall / Anatomie d'une chute を見た。2023 パルムドール & パルムドッグ『落下の解剖学』

ちょっと長く感じるが、ユニークで面白かった。 フランスの子どものライツの守り方が興味深い。トリエ監督はサンドラに周囲の人物とは異なる言語を話させることにこだわったらしいが......結局、法廷での証言、子どもとのやりとりに配慮を得られない程度には…

映画 Waiting for the Light to Change (2022) を家で見た。リン・トラン『ウェイティング・フォー・ザ・ライト・トゥ・チェンジ』

スラムダンス映画祭2023の最優秀ナラティブ賞受賞作。 物語のセッティングとプロダクションデザインが好き。 エイミーの白髪の演出が白眉。トレーラー。

映画 She Came to Me を見た。『シー・ケイム・トゥ・ミー』

いやこれおかしいって。 この面子でロマコメだって言われたら、アン・ハサウェイがヒロインなのかな、って思うやん。 彼女完全不要。それどころか、ユニークな美貌が絵的にも邪魔。 ハサウェイは「観客が嫌いな俳優」に名前がのぼりがちだけど、なんでこんな…

映画 The Royal Hotel を見た。キティ・グリーン × ジュリア・ガーナー『ザ・ロイヤルホテル』

本当は怖いワーホリ物語。 うそ。 みんな知ってるアルコール恐怖譚。人間が理性とコントロールを失えば、そこは悪の吹き溜まりになるしかない。 だから最後の処理はよかった。あれしかけがれを落とす手段はないので。 本来はあのあたりも先住民族の聖地だっ…

映画 Fair Play を見た。『フェアプレー』

ダフネではないフィービーを見たくて出かける。興味深いテーマだが(文字どおりfairだし)、パワーハウスの人に、MeTooとパンデミックを経た今でもこういうtoxicな環境はリアルなんですか、とは聞きたい。 私のまわりの金融系2人は、あくまで西海岸の中堅企…

映画 Reality を家で見た。ティナ・サッター x シドニー・スウィーニー『リアリティ』

三者のパワーバランスの小刻みな移動が面白すぎた。 立ち話の緊張感な。 着座して向かい合ったのだったら全然テンションが違っただろうね。捜査対象者の人権がどのように、どの程度に守られているかが垣間見られて感動した。 ウィシュマ・サンダマリさんの事…

映画 A Haunting in Venice を見た。『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』

ケネス・ブラナーのポワロ作品については『オリエント急行殺人事件』のやり口に憤怒したので圏外だったのだが(もちろんナイル川は見てない)、本作は信頼するレビュワーが絶賛していたので出かけた。面白かった。 プロダクションデザインの愉悦に浸った。 …

映画 Bottoms を見た。エマ・セリグマン『ボトムス』

『シヴァ・ベイビー』のエマ・セリグマンがレイチェル・セノットと組んでクィアネス全振り。斬新で小気味よいのだが、設定(周囲の人や学校のあり方など)の変態度が強すぎるのが私向きではなかった。 面白いことになりそう...と観ていたが、ジェフが泣きだ…

映画 Barbie を見た。『バービー』と『Tiny Shoulders: Rethinking Barbie』

昨年のホリデーシーズンから続く異次元の広告投下量に若干白けていたのだが、ベン・シャピーロが「全編wokeのゴミタメ」とキレ散らかしていたので(ガーウィグ作品をあえて見に行っただけでも誠実だと思うが)、見る前から「やってくれたね!」と喝采を送っ…

映画 Oppenheimer を見た。キリアン・マーフィー is『オッペンハイマー』

ドキュラマとして大変面白かったが、『Quo Vadis, Aida? アイダよ、何処へ?』と同じ感想を抱いた。 デカさ、ツオさを希求する「男」なるもの、お前だよ。お前が全部破壊してんだよ。同じ間違いを繰り返しやがって。原爆開発物語ではなく超ハイペースのオッペ…

映画 No Hard Feelings を見た。ジェニファー・ローレンス『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』

くだらないと評判(?)の夏休み映画だが、ジェニファー・ローレンスのファンなので見に行く。 まあ、くだらなかったのだが、トレーラーから想像していたのよりずっといい話だと思った。 長く土地に縛られていた人がついに移動しようとする物語が好きなので…

映画 Asteroid City を見た。ウェス・アンダーソン『アステロイド・シティ』

Wokeの時代の風刺激。俳優をコマのように配置するこの監督の作風は好きではない。 宮沢章夫の舞台を思い出す。でも本作は、同じマスゲーム的演出でもまあまあ面白かった。 たぶん、私にとっては俳優が楽しそうに演じているように見えることがポイントなのだ…

映画 The Blackening を見た。3Peat x ティム・ストーリー『ザ・ブラックニング』

面白かった。 ジューンティーンスにふさわしい(?)ブラックコメディホラー。 配信が始まったら、とても全部は捕捉できなかった「ブラックジョーク」をチェックしたい。 私はホラー映画はほとんど見ないが、ホラー映画に登場するアフリカ系キャラクターのス…

映画 Past Lives を見た。セリーヌ・ソン『パスト ライブス/再会』

21世紀の縁(인연)のかたち。 でもね〜、このふたりなら、来世まで待たずとも12年先は何が起こるかわからんよ。バーで3人で過ごしているのに2人だけの世界に入っちゃうやつ、まるで私もその場にいるみたいに除け者になった夫が気になっていたたまれなかった…

映画 You Hurt My Feelings を見た。ニコール・ホロフセナー『地球は優しいウソでまわってる』

ごく浅漬けのコメディだが、同監督の『ある女流作家の罪と罰』や『セックス・アンド・マネー』に続き、設定の勝利で楽しく見た。 ニュースクールの創作クラスで、教員の著作を読んでいないどころかその存在さえろくに知らずに集まってきた学生たちに教えてい…

映画 The Little Mermaid (2023) を見た。ハリー・ベイリー is『リトル・マーメイド』

ションダランド的ユートピアが舞台の人魚姫。ハリー・ベイリーのPart of Your Worldはとてつもなく素晴らしかった。 ハワード・アシュマンは、当時まだ生まれてもいないベイリーの声を通して自分の言葉が受肉することを知っていたんじゃないかと思うほど。 T…

映画 Master Gardener を見た。ポール・シュレイダー『マスター・ガーデナー』

『魂のゆくえ』『カード・カウンター』に続くシュレイダーのMan In A Room三部作の完結編。 前2作の要素を足して割ったような話だが、トリロジーの中では一番好きだ。 「過去」の仕込みは甘めだったので、ルイジアナの緑と邸宅、朝の雨の匂いに負うところが…

映画 BlackBerry を見た。マット・ジョンソン『ブラックベリー』

ギークワールドで言うところのフォースの何たるかが描かれていて大変面白かった。 これ2000年以降なのがビックリだよ。映像のデザインのせいもあるだろうけどもっと古い時代に見える。冒頭、カメラワークの主張が強すぎて(不要な「臨場感」)、これで2時間…

A Life to Serve 天皇皇后両陛下

先週、YouTubeのオススメをきっかけに天皇皇后両陛下や愛子さまの動画を次々と見ていたらサーッと涙が出てきた。それも、弱い人、苦しむ人に心を寄せるシーンや、ほほえましいハプニングのカットよりも、恒例のセレモニーにお出ましになり、型どおりのスピー…

映画 Polite Society を見た。ニーダ・マンズール『ポライト・ソサエティ』

なかなかくだらなくてよかった。 どこにでも行ける的バッドガールのジュブナイルかな〜と想像して見に行き、「ふむふむ、若草物語のジョーとメグみたいな...」と思っていたら、いきなりSFサイコになってビックリした。節操なくてグー。ちょっと残念なのは、…