英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

2020-01-01から1年間の記事一覧

映画 City Hall (2020) を家で見た。フレデリック・ワイズマン『ボストン市庁舎』

City of Bostonが行使される場をひたすら追いかけたドキュメンタリー。 大変リッチで面白かった。公共政策という学問領域が肉をもって活きている感じがする。 クオモNY州知事の周囲をかためる行政官を見ていても思うこと。結婚式に立ち会い、"By the authori…

2020年 映画館または家で見た映画ベスト3

2020年に映画館または家で見た映画のベスト3。ロックダウンまでの短期間にリサーチ・スクリーニングにも3度行くことができた。

映画 Ammonite を家で見た。ケイト・ウィンスレット × シアーシャ・ローナン『アンモナイトの目覚め』

ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンが演じる燃ゆる女性たち。フランシス・リー監督。

映画 Wander Darkly を家で見た。タラ・ミーリの『ワンダー・ダークリー』

死をフレームにカップルの闇を深掘りするスリラードラマ。 あんまり好きじゃなかった。 「死」いらなくね?含みのある"I can't breathe"のセリフもあまりうまく活かされていなかったと思う。 どうしてもBLMの記憶に気を取られるしね。Faithとtruth、そしてfr…

映画 Finding Yingying を家で見た。ドキュメンタリー『ファインディング・インイン』

2017年に中国人留学生インインが行方不明になったイリノイの事件を、彼女のオリジンも含めて追いかける。 勉強好きで家族の希望の星だったインインとの共通点も多いJiayan Jenny Shiの監督デビュー作。学生時代の足跡をたどるボーイフレンドの前に傷ついた鳥…

映画 Collective (Colectiv) を家で見た。あらゆる社会が陥りうる闇『コレクティブ 国家の嘘』

ブカレストのクラブ Colectiv 火災があぶり出したルーマニアの医療システムの闇。投票率が上がらないために腐敗が進むのはどこも同じだなァ。 加えて、ある程度の投票数が確保された場合も物事はシンプルではなく、自分の知っている世界と投票結果に大きなギ…

映画 Born to Be を家で見た。トランスジェンダー外科を活写『ボーン・トゥ・ビー』

これまでに見たドキュメンタリー作品の中でナンバーワン。 2015年、ニューヨーク州で全医療保険プランに性別適合手術への適用が義務付けられた。 その翌年に開院したドクター・ティン & 医療チームとその患者たちの苦しみと喜びを追う。Born to Be [DVD]Kino…

映画 The Donut King (2020) を家で見た。カリフォルニアのドーナツ史『ドーナツキング』

カラフルなカリフォルニア移民のドキュメンタリー。アメリカのドーナツの歴史をカンボジアまで遡る。 ユニークな成功だけでなく、失敗の派手さも含めて、『RBG』と同じく「アメリカでなければ起こり得なかった」アメリカ人史である。ドーナツキング(字幕版…

ヨセフ "ジョー" バイデンとクリーブランド監禁事件サバイバーズ

ともあれ安堵。 2016年の投票日の夜、恐ろしくて聖書に慰めを求めたら「偽りの舌は滅びを招く」の箇所が開いた。 きっと神に何らかのお考えがあるのだろうと思うしかなかった。実際、この4年間はあまりに大きな犠牲を払い、たくさんの命まで失ってしまったけ…

映画 Coming Home Again を家で見た。ウェイン・ワン『カミング・ホーム・アゲイン』

ニューヨーカー誌掲載のチャンネ・リーのエッセイをもとにした作品。 アジア系アメリカ人のステロタイプ・エピソードを詰め込んだ。 とはいえ、子どもに圧をかける親も、lost in translation も、クリスチャンコミュニテイも、サンフランシスコも、家の味の…

映画 Blackbird を家で見た。スーザン・サランドン『ブラックバード 家族が家族であるうちに』

ロジャー・ミッシェル監督、スーザン・サランドン 、ケイト・ウィンスレット主演の映画の感想。

映画 Softie を家で見た。Sam Soko ケニアの『ソフティ』

先週末、ちょうどスマホをいじっているときに RBG 逝去の速報が入った。 随分前から準備されていたであろうNYTの追悼記事を読みながら、私はあることを止める決心をした。毎日1、2時間費やしていた雑事。スッパリ止めて3日目だけれど、頭はスッキリしている…

映画 Sibyl (2019) を家で見た。ジュスティーヌ・トリエ『愛欲のセラピー』

英語字幕で鑑賞。 今となっては懐かしい回転寿司から始まるアナザー二流いかにもフランス映画。 言葉も中毒になるけど、良い薬だし、安全です。 本当にそうだろうか? と語りかける。先日、ブラックパンサーが若くしてひっそりと逝ってしまい、アンジェリー…

映画 金都 / My Prince Edward (2019) を家で見た。ノリス・ウォン『私のプリンス・エドワード』

英語字幕で鑑賞。#BoycottMulan『リンガフランカ Lingua Franca』に続き、偽装結婚がモチーフ。 香港の女性と香港在留資格がほしいメインランドの男性の組み合わせ。 しかも、男は中国よりも自由度の高い香港を足がかりにしてロサンゼルスに行きたいんだぜ、…

映画 Starting at Zero を家で見た。早期教育推進映像『スターティング・アット・ゼロ』

これは...「ドキュメンタリー映画」として$12で売っていい作品じゃないのでは。 冒頭に「特定の政党や自治体を推すものではない」と但し書きがでてくるけど、ひたすら先生と為政者がポリシーを語るだけでいっこも面白くなく、圧の強い長尺のアラバマプロモー…

映画 Lingua Franca を家で見た。グリーンカード考『リンガフランカ』

タイトルからして見るしかない。 結婚でグリーンカードを得ようと奮闘するブルックリンの移民の物語と聞けばなおさら。 が、残念ながら四流作品だった。設定が複雑な彼女の苦しみ、不安は伝わったけれど、どうにもエピソードが陳腐で。 時折かぶさる大統領の…

ロックダウン中に買ったもの featuring Kindle Oasis

昨日、期待どおりカマラ・ハリスがVP候補に指名されたのは今年一番の興奮だった。 さっきの初の公式登壇もウソがなくてよかった(それが普通であるべきなんですが)。ティム・ケインの登場時を思い出した。 早速ばんばん届き出したカマラを歓迎しよう!メー…

映画 Yes, God, Yes を家で見た。ナタリア・ダイアー『ストレンジ・フィーリング アリスのエッチな青春白書』

カトリック業界が舞台。編集も音楽もパフォーマンスも拙くて見づらいが、興味のあるトピックなので見られた。

映画 House of Hummingbird (2018) を家で見た。『はちどり』全米公開

主演のウニちゃんの体の通りの良さに驚嘆。 彼女にとって感覚をすみずみまで行き渡らせることができるのは指先だけではない。『ドライブウェイズ』に続き、とても文法の正確な作品。クリシェだらけという意味ではなくて、この動詞にはあの形容詞の組み合わせ…

映画 Irresistible を見た。ジョン・スチュワート × スティーヴ・カレル『スイング・ステート』

期待のPlan B作品だったが駄作。2020年にタイムリーというだけ。 赤と青のステロタイプや、キャンペーンのチームがどういうものなのかが垣間見られる面白さは少し。スイング・ステート(字幕版)スティーヴ・カレルAmazon種明かしを見れば演出かとは思うけど、…

映画 My Darling Vivian を家で見た。ジョニー・キャッシュと『マイ・ダーリン・ヴィヴィアン』

ジョニー・キャッシュの、ジューン・カーターでないほうの妻、ヴィヴィアンの生涯を4人の娘たちが語る。 前田ハウスで話題の SXSW 2020 出品作だが、イベントが初めて中止になったため、オンラインプレミア。My Darling Vivian [DVD]Giant InteractiveAmazon…

映画 Miss Juneteenth を家で見た。Channing Godfrey Peoplesの『ミス・ジューンティーンス』

155th anniversary of Juneteenthに。 奴隷解放宣言から実に2年半後の1865年、米国で奴隷制がオフィシャルに終焉を迎えた日である。 今週になって急に各地の自治体や企業がこの日を記念しようとPRを始め、私も初めて知ることになった。 近所の銀行からも「今…

映画 For They Know Not What They Do (2019) を家で見た。『フォア・ゼイ・ノウ・ノット・ワット・ゼイ・ドゥ 彼らは何をしているのか、わからずにいるのです』

引き続き、Pride Month。アトランタ、シアトルをはじめ、多数の映画祭で観客賞を受賞したDaniel G. Karslakeのドキュメンタリー。 原理主義的で強硬なプロチョイスの福音派やカトリックの家庭とLGBTIの子どもたちの葛藤。イエスが十字架の上から語られた慈悲…

映画 The Surrogate (2020) を家で見た。『ザ・サロゲート 代理母』

米連邦最高裁がLGBTIらの権利が保護される「歴史的判断」を示した日に。といっても、これはゲイカップルが代理母の助けを借りて子を授かる物語ではない。 生命倫理の講義シラバスに並ぶようなトピックスがてんこもり、さらに主人公が高学歴アフリカ系make a …

映画 Shirley を家で見た。エリザベス・モス is 『シャーリイ』

見る者に気を遣わせる作品。というか、私が勝手に気にしたんだけど、時代が微妙に昔(60年代)なので、このストーリーラインでこの美術をあつらえなきゃいけないなんてつらいコストだな、って...。変態がいっぱいで全然好きではない。 ボーダーを超える表現…

いま改めて見たい映画 #BlackLivesMatter

昨日は全米で過去最大規模の抗議行動が行われた。うちの近所でも30名規模の連帯デモがいくつか。私は13THを見直し、付き合いのある黒人教会に特に連帯を示し、自分ができる中では最大のインパクトだと考えることをした。 ちなみにこの教会は本当にすばらしい…

映画 Tommaso を家で見た。ウィレム・デフォーのFound in translation『トマーゾ』

(元)依存症患者の心象風景を追った作品の中では今までに見た中で一番面白かった。 そもそも、Lost and found in translationの物語は、私が常に惹かれるテーマ。ローマに根を下ろしかけのアメリカ人デフォーが、イタリア語のレッスンを受け、英語話者のAA…

映画 Diana Kennedy: Nothing Fancy (2019) を家で見た。『ダイアナ・ケネディ:ナッシングファンシー』

コロナがすっかり過去の話になった。 もちろん実際は過去になってないのだが、この1週間で世間のサイキが一変した。 路上に出ていくのに「集まるのは危ない」なんてまったく意識にのぼらなかった。「料理の文化人類学者」の称号にふさわしい、ダイアナ・ケネ…

映画 Clementine (2019) を家で見た。『クレメンティーン』

東京では何の理由づけもなしに6/1に映画館が開くらしいが、LAはまだまだ...。 みちみちに座らなければ話もしないし問題ないと思うけど、感染者の座った椅子に時間をおいて腰掛けた人が感染したこともあるので。先日、初めて直接の知り合いが呼吸困難になって…

映画 Driveways (2019) を家で見た。ブライアン・デネヒーにSalute『ドライブウェイズ』

折り目正しい文法でさらりと書かれた掌編。訥々と話す誰かと向き合うような、良い時間を過ごせた。亡き姉のゴミ屋敷を片付けにきた母子とおとなりの退役軍人の邂逅。 先月亡くなったブライアン・デネヒーが見る者に静かに別れを告げる。 (ところで、米国で…