英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画

映画 The Woman King を見た。ヴィオラ・デイヴィス is『ザ・ウーマン・キング』

ダホメ王国のAgojie(女性兵士集団)、奴隷貿易の歴史への関心を開く作品。 すばらしいパフォーマンスだけれど、いろいろなところがちょっとずつ寸止めで歯がゆかった。 それからこれは完全に個人的な問題なのだが、ファンタジー以外の屋外セットというのが…

映画 God's Country を見た。ジュリアン・ヒギンズ『ゴッズカントリー』

再びモンタナが舞台のスリラー。 寒々しくて絶品。これまでも何度か書いたが、私は私有地というシステムを疑問に思っている。 本作は、土地を自分のもんにしたがった人間の罪の帰結の物語。 サンドラもその罪からは自由になれないでいる。土地は地球のものよ…

映画 Don't Make Me Go を家で見た。『パパに教えられたこと』

Speak No Evilを見た直後だったのもあって、余計にかるっかるのプラスチック脚本に見えた。 ナメた邦題がこの上なくぴったりだ。 ジョン・チョーを楽しむだけの映画。私は彼が出ている作品に興味をひかれるけど、どうも血の気の多いおっさん役ばかりではない…

映画 Speak No Evil (2022) を見た。クリスチャン・タフドルップ『スピーク・ノー・イーブル』

苦しい。すごくきつい。(ほめてます)これはフィクションだ!悪に魅入られるアダムとイブのメタファーなのだ!と自分に言い聞かせなければならないほど。 救いを求めて、ビョルン&ルイーズ役の普段の笑顔の写真とか探してしまった(サンダンスでチョケてる…

映画 Three Thousand Years of Longing を見た。ジョージ・ミラー『3000イヤーズ・オブ・ロンギング 』

映画体験としては退屈だった。『シェイプ・オブ・ウォーター』みたいな後味の作品。 上映前の挨拶映像でミラー監督が、映画館で見てくれてありがとう、シアター上映を想定して作った作品だから...と言うのだが、シアターで見なくてもいい。なんならpodcastで…

映画 Emily the Criminal を見た。『エミリー・ザ・クリミナル』

大変面白かった。 久しぶりに劇場で拍手が起こるのを聞いた。冒頭、オーブリーの小鼻芸で一気につかまれ、シュールなエンディングまでもう「知ってる」風景ばかりで...。 エミリーもユセフもすぐ隣りにいるんだよね。モチーフになっているのがどう見ても割に…

映画 The Princess (2022) を見た。HBOドキュメンタリーがとらえたダイアナ妃現象『ザ・プリンセス』

これまでダイアナ妃や英国王室に材を取ったフィクションをいろいろ見てきた。 The Crown、The Queen、Spencer... 比べられるものではないが、そのどれよりもはるかに面白かった。夫妻の姿だけでなく、「そのとき」の一般市民の様子が多数盛り込まれ(スマホ…

映画 I Love My Dad を見た。ジェームズ・モロシーニの『アイ・ラブ・マイ・ダッド』

South by Southwestで好評を博したコメディ。 面白かった。好き。21世紀のミセス・ダウトは物理的な制約が少なく、妄想をいくらでもかき立てられるので危険度が高い...。 テキストの向こうの人物の表現、The Girl From Plainvilleも似たようなことをしていた…

映画 Nope を見た。ジョーダン・ピール 『NOPE/ノープ』

信頼するレビュワーたちが揃って「悪くはないけど、監督の過去の秀作(Get Out、Us)に比べると...」と言葉を濁す。 確かに1度見ただけで鮮明にキーのせりふを(ルピタ・ニョンゴの"We are Americans"!)、恐怖の感情を記憶している2作に比べると、とっ散ら…

映画 Both Sides of the Blade / Avec amour et acharnement を見た。クレール・ドニ『ボス・サイズ・オブ・ザ・ブレード』

『ショコラ』『ハイ・ライフ』などに続く、クレール・ドニ x ジュリエット・ビノシュのコンビ作品。 マメシャトルの『ハイ・ライフ』はとにかく後味が悪かったのだが、本作はレビュワーの評価が異常に高かったのと、現代劇だということで(みんなマスクをし…

映画 Mrs. Harris Goes to Paris (2022) を見た。アンソニー・ファビアン x レスリー・マンヴィル版『ハリスおばさんパリへ行く』

素敵な拾い物だった。 マンガのようなヴィランズにいいひとたち、そして魔法のドレスが続々登場するディズニーアニメのようなプロットが楽しい。 ただ、パリの風景を楽しめる映画ではなく、あくまでハリスおばさんが夢みるところの「パリ」を箱庭内で撮影し…

映画 Lightyear を見た。『バズ・ライトイヤー』

『トイ・ストーリー』はろくに見ていないのだが、クリエイターがかなり闘った作品だと聞いて3D上映館に行く。 おもしろかった。 先週見たばかりだったせいもあるが、新『トップガン』と同じ話やんと思った。 失った同志の子孫の助けを得て過去の失敗を乗り越…

映画 Top Gun: Maverick を見た。『トップガン マーヴェリック』

よかった。 これは見といたほうがいいのかも?と思わせてくれた多くのプロアマ批評家の人たちにありがとうと言いたい。 1作目の公開時には生まれていなかったであろうわっかい観客たちが興奮しているのも素敵だった。ちょっと『アポロ13』みたいだったよね。…

映画 The Janes を見た。Roe v. Wade前史『ザ・ジェーンズ』

1970年前後、Roe v. Wadeの判決が下るまで中絶を支援した活動家グループJaneの記録。 Happeningに続いてタイムリーな公開。 (母親に生まれる前の子を殺す権利などあるものか、と説教する神父の動画に続いて) It's not a theological argument. It's a put-…

映画 Benediction を見た。テレンス・デイヴィス x シーグフリード・サスーン『ベネディクション』

反戦詩人シーグフリード・サスーンのリレーションシップと死生観のコラージュ。 かなりクセのある作品だが、良い観客陣(諧謔に大いに笑い、今的にあり得ない一言には思わずOh Goshと声に出す)に当たったおかげでとても楽しめた。ラストの、ものの哀れを他…

映画 Fire Island を見た。アンドリュー・アン『ファイアー・アイランド』

オースティンの『高慢と偏見』を下敷きに(?)ロングアイランド沖の島でのクィアな1週間を追うロマコメ。 モタモタしてるし、モノローグうっとうしいし、何よりgaynessに欠ける。 ただ、Happeningと同様、自分ごとを思いめぐらす時間になった。国籍にこだわ…

映画 Montana Story を見た。スコット・マクギー x デビッド・シーゲル『モンタナストーリー』

大変よかった。 こんな茫漠とした土地に、ニューヨークから来たモヒカン族をはじめとするネイティブとヨーロッパルーツの人々、ケニア出身のおそらく出稼ぎの人が交わって根を張って、さらには争いまでしているのだった。メインの6人、それぞれに強い印象を…

映画 Happening / L'événement を見た。アニー・エルノー原作『ハプニング』

あまりにもタイムリーな全米公開。 1960年代のフランスで望まぬ妊娠をした学生が地下で中絶を遂げるまでを描く。昨今の状況に限らず、男性システムによる女性の体の支配についてもう次々と思い起こされて100分間ずっと腹の中で怒っていた。全米の赤い州で実…

映画 Hit the Road を見た。パッナ・パナヒ『ヒット・ザ・ロード』

大変いい映画だった。「いつ始まるのかなあ」と思ってるうちに終わった。そう思わせるシーンの積み重ねだった。 ずっと引きの別れの場面は影絵劇のよう。息を切らしながら息子と車の間を往復するお母さん、しばりつけられて暴れる弟。家族4人それぞれにすば…

映画 Petite Maman を見た。セリーヌ・シアマ『秘密の森の、その向こう』

子どもが主人公のファンタジーながら一貫した突き放し感がひんやりするグリ―フケアの佳作。 『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督作品。双子、ガニマタの角度まで同じで本当にDNAは驚異だよ。鑑賞中、退屈したわけではないが、70分で終わるという事実に…

映画 Paris, 13th District / Les Olympiades を見た。『パリ13区』

まあまあ面白かった。 ただ、これがたとえばシカゴが舞台で全編英語だったら不思議と退屈になったと思う。 パリ13区である必然性は言語だけ。実に魅力的なヴォイスだった。フランス語を勉強するときには教材に使いたい。私にとってフランス映画の特徴といえ…

制作現場の搾取がにじみ出ている映画

暴力やハラスメントを許す環境で作られた作品は見ればわかる、という話がある。 映画は監督のメディアなのだから当然と言えば当然だろう。 いくつか、鑑賞中に「現場で搾取が行われてそう」と感じた作品を思いだしたのでメモしておく。後で追加する。『ダン…

映画 Cow を見た。アンドレア・アーノルド『カウ』

あの『アメリカン・ハニー』を撮ったアンドレア・アーノルド監督が乳牛の生涯を追ったドキュメンタリー。各所で配信しているが、イースター前の断食中でもあり、これは家では集中できないやつ、と思って劇場で瞑想してきた。出産時、人間3人がかりで子牛を引…

映画 Everything Everywhere All at Once を見た。『エブリシング・エブリホウェアー・オール・アット・ワンス』

レジェンド、ミシェル・ヨーとジョナサン・キー(ショート・ラウンド!)の粘り強いキャリアを寿ぎに。作品は苦痛に近いほど苦手なやつだった。 「2 Everywhere」とキャプションが出たとき、え......まだ......半分......と軽く絶望した。これを楽しめるほど…

映画 Nitram を見た。『ニトラム/NITRAM』

豪州史を動かしたタスマニア島のマスシューティング、ポート・アーサー事件の犯人のある人物像。 秀作。初めて見る俳優さんばかりだったが(たぶん)、全員素晴らしかった。彼のような「無敵の人」をどう包摂すべきなのかは分からない。フロリダの事件の犯人…

映画 The Outfit を見た。グレアム・ムーア『アウトフィット』

『イミテーション・ゲーム』の脚色で成功を収めたムーアの初監督作品。 戦争直後、シカゴでギャングたちをメイン顧客にスーツを仕立てるビスポーク「カッター」の企みを描く一幕劇。面白かったし、マーク・ライランスはとても良かった。 が、私のギャング・…

映画 Great Freedom / Große Freiheit を見た。カンヌ2021「ある視点」部門審査員賞『グレート・フリーダム』

第2次大戦後、強制収容所から解放されたと思ったら刑法175条(男性同性愛を禁じる法律)違反で刑務所に直行、何度も刑期を務めることになった男性の友情の物語。長い。 法律廃止前のエピソードは愛に出会うところも含めてほぼ刑務所内で完結しているので、社…

2022年アカデミー短編映画賞ノミネート作5本を一気見した。

ドキュメンタリー、アニメ以外の短編映画を腰を据えて見るのは12年ぶりである。友人の映画学校卒業式で数本卒業制作を見たのが最後だ。 これからも目にする機会はほとんどないと思うが、これはすごい世界だ。先の卒業制作短編は長く感じた上、何も覚えていな…

2022年アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作5本を一気見した。

今年は4/5本が米国が舞台の米国作品だったせいか、粒が揃いすぎているというか、ズレを感じて問いが深まったり、新しい世界が広がったりした作品はなかった。それでもなんとか、印象に残った順に。 ■ The Queen of Basketball『ザ・クイーン・オブ・バスケッ…

映画 Marry Me を見た。J. Lo × オーウェン・ウィルソン『マリー・ミー』

ゴージャスなバレンタインムービー2022。 一昨年のスーパーボウルのハーフタイムショーを見たときと同じ印象。 J. Loは一緒に仕事をすると妙なエネルギーが湧いてきそう。 一度、West LAで見かけた彼女はかなり小柄だったのだが。ところで、ポップスター業界…