英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Lightyear を見た。『バズ・ライトイヤー』

『トイ・ストーリー』はろくに見ていないのだが、クリエイターがかなり闘った作品だと聞いて3D上映館に行く。 おもしろかった。 先週見たばかりだったせいもあるが、新『トップガン』と同じ話やんと思った。 失った同志の子孫の助けを得て過去の失敗を乗り越…

映画 Top Gun: Maverick を見た。『トップガン マーヴェリック』

よかった。 これは見といたほうがいいのかも?と思わせてくれた多くのプロアマ批評家の人たちにありがとうと言いたい。 1作目の公開時には生まれていなかったであろうわっかい観客たちが興奮しているのも素敵だった。ちょっと『アポロ13』みたいだったよね。…

映画 The Janes を見た。Roe v. Wade前史『ザ・ジェーンズ』

1970年前後、Roe v. Wadeの判決が下るまで中絶を支援した活動家グループJaneの記録。 Happeningに続いてタイムリーな公開。 (母親に生まれる前の子を殺す権利などあるものか、と説教する神父の動画に続いて) It's not a theological argument. It's a put-…

映画 Benediction を見た。テレンス・デイヴィス x シーグフリード・サスーン『ベネディクション』

反戦詩人シーグフリード・サスーンのリレーションシップと死生観のコラージュ。 かなりクセのある作品だが、良い観客陣(諧謔に大いに笑い、今的にあり得ない一言には思わずOh Goshと声に出す)に当たったおかげでとても楽しめた。ラストの、ものの哀れを他…

映画 Fire Island を見た。アンドリュー・アン『ファイアー・アイランド』

オースティンの『高慢と偏見』を下敷きに(?)ロングアイランド沖の島でのクィアな1週間を追うロマコメ。 モタモタしてるし、モノローグうっとうしいし、何よりgaynessに欠ける。 ただ、Happeningと同様、自分ごとを思いめぐらす時間になった。国籍にこだわ…

映画 Montana Story を見た。スコット・マクギー x デビッド・シーゲル『モンタナストーリー』

大変よかった。 こんな茫漠とした土地に、ニューヨークから来たモヒカン族をはじめとするネイティブとヨーロッパルーツの人々、ケニア出身のおそらく出稼ぎの人が交わって根を張って、さらには争いまでしているのだった。メインの6人、それぞれに強い印象を…

映画 Happening / L'événement を見た。アニー・エルノー原作『ハプニング』

あまりにもタイムリーな全米公開。 1960年代のフランスで望まぬ妊娠をした学生が地下で中絶を遂げるまでを描く。昨今の状況に限らず、男性システムによる女性の体の支配についてもう次々と思い起こされて100分間ずっと腹の中で怒っていた。全米の赤い州で実…

すごいことが起きたので聞いてほしい(シリーズ献金 その19)

タイザー歴7年、自分史上一番すごいことが起きたので聞いてほしい。 要旨: 追徴に構えていたタックスリターン(確定申告)で、取られるどころか15,000ドル戻ってきた。今の円安レートなら200万円相当。 それは渡米以来初めて税理士を変えたことで起きた。 …

映画 Hit the Road を見た。パッナ・パナヒ『ヒット・ザ・ロード』

大変いい映画だった。「いつ始まるのかなあ」と思ってるうちに終わった。そう思わせるシーンの積み重ねだった。 ずっと引きの別れの場面は影絵劇のよう。息を切らしながら息子と車の間を往復するお母さん、しばりつけられて暴れる弟。家族4人それぞれにすば…

映画 Petite Maman を見た。セリーヌ・シアマ『プティットマモン』

子どもが主人公のファンタジーながら一貫した突き放し感がひんやりするグリ―フケアの佳作。 『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督作品。双子、ガニマタの角度まで同じで本当にDNAは驚異だよ。鑑賞中、退屈したわけではないが、70分で終わるという事実に…

映画 Paris, 13th District / Les Olympiades を見た。『パリ13区』

まあまあ面白かった。 ただ、これがたとえばシカゴが舞台で全編英語だったら不思議と退屈になったと思う。 パリ13区である必然性は言語だけ。実に魅力的なヴォイスだった。フランス語を勉強するときには教材に使いたい。私にとってフランス映画の特徴といえ…

制作現場の搾取がにじみ出ている映画

暴力やハラスメントを許す環境で作られた作品は見ればわかる、という話がある。 映画は監督のメディアなのだから当然と言えば当然だろう。 いくつか、鑑賞中に「現場で搾取が行われてそう」と感じた作品を思いだしたのでメモしておく。後で追加する。『ダン…

映画 Cow を見た。アンドレア・アーノルド『カウ』

あの『アメリカン・ハニー』を撮ったアンドレア・アーノルド監督が乳牛の生涯を追ったドキュメンタリー。各所で配信しているが、イースター前の断食中でもあり、これは家では集中できないやつ、と思って劇場で瞑想してきた。出産時、人間3人がかりで子牛を引…

映画 Everything Everywhere All at Once を見た。『エブリシング・エブリホウェアー・オール・アット・ワンス』

レジェンド、ミシェル・ヨーとジョナサン・キー(ショート・ラウンド!)の粘り強いキャリアを寿ぎに。作品は苦痛に近いほど苦手なやつだった。 「2 Everywhere」とキャプションが出たとき、え......まだ......半分......と軽く絶望した。これを楽しめるほど…

映画 Nitram を見た。『ニトラム/NITRAM』

豪州史を動かしたタスマニア島のマスシューティング、ポート・アーサー事件の犯人のある人物像。 秀作。初めて見る俳優さんばかりだったが(たぶん)、全員素晴らしかった。彼のような「無敵の人」をどう包摂すべきなのかは分からない。フロリダの事件の犯人…

お座敷がかかるということ

先週、2つ、経験のない仕事を「やってくんない?」と言われ、下記に引用した内田センのすすめを思い出してあんまり考えずに「いいよ」と言ったのでメモしておく。普段自分がしているウェブ開発や翻訳でも紹介で仕事がつながることは多い。人手がほしいときに…

映画 The Outfit を見た。グレアム・ムーア『アウトフィット』

『イミテーション・ゲーム』の脚色で成功を収めたムーアの初監督作品。 戦争直後、シカゴでギャングたちをメイン顧客にスーツを仕立てるビスポーク「カッター」の企みを描く一幕劇。面白かったし、マーク・ライランスはとても良かった。 が、私のギャング・…

映画 Great Freedom / Große Freiheit を見た。カンヌ2021「ある視点」部門審査員賞『グレート・フリーダム』

第2次大戦後、強制収容所から解放されたと思ったら刑法175条(男性同性愛を禁じる法律)違反で刑務所に直行、何度も刑期を務めることになった男性の友情の物語。長い。 法律廃止前のエピソードは愛に出会うところも含めてほぼ刑務所内で完結しているので、社…

2022年アカデミー短編映画賞ノミネート作5本を一気見した。

ドキュメンタリー、アニメ以外の短編映画を腰を据えて見るのは12年ぶりである。友人の映画学校卒業式で数本卒業制作を見たのが最後だ。 これからも目にする機会はほとんどないと思うが、これはすごい世界だ。先の卒業制作短編は長く感じた上、何も覚えていな…

2022年アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作5本を一気見した。

今年は4/5本が米国が舞台の米国作品だったせいか、粒が揃いすぎているというか、ズレを感じて問いが深まったり、新しい世界が広がったりした作品はなかった。それでもなんとか、印象に残った順に。 ■ The Queen of Basketball『ザ・クイーン・オブ・バスケッ…

映画 Marry Me を見た。J. Lo × オーウェン・ウィルソン『マリー・ミー』

ゴージャスなバレンタインムービー2022。 一昨年のスーパーボウルのハーフタイムショーを見たときと同じ印象。 J. Loは一緒に仕事をすると妙なエネルギーが湧いてきそう。 一度、West LAで見かけた彼女はかなり小柄だったのだが。ところで、ポップスター業界…

映画 Brighton 4th を見た。トライベッカ映画祭最優秀国際作品賞『ブライトン4番街』

ごくシンプルな物語。 イエス・キリストの生涯を端的に知りたいと思ったら、本作を見ればいい。 イエスの業績はこのお父さんのしたことと全く同じ。 自分の命とひきかえに私の借金を返してくれたわけ。闘いの後、お父さんは「これで借金は帳消しだな?」と確…

映画 The Worst Person in the World を見た。ヨアキム・トリアーのオスロ三部作『わたしは最悪。』

去年、宣伝のスチールを見て「シャツが素敵!」と思って注目した作品。 ↓これな。 Neon主人公のモラトリアムに共感したし、2時間楽しめたけど、ここまで絶賛されている理由は分からず。 『WAVES/ウェイブス』でも感じたことだが、このプロットでがんを発症さ…

映画 Compartment No. 6 を見た。ユホ・クオスマネン『コンパートメント No.6』

A Heroと並んでカンヌ2021グランプリを獲得した作品。 ラフで生々しい筆致を堪能した。 食事をしながら喋っているローラの口元にずっとソースがついてるとか、別れに言葉がなく遠景で視線を交わすだけとか、そういうところ。 こういう映像を見ると、ハリウッ…

映画 Flee/Flugt を見た。ゴッサム・ドキュメンタリー賞『フリー』

緻密なデリバリーの秀作。 ストリーミングが始まっているけど、あえて劇場に見に行ってよかった。 トゥイーンを意識的に排除したアニメは照明がものすごく適切で、解像度が高いほど情報量が多いのは事実だけど、それが必ずしも真ではないことを思い知らされ…

映画 The Fallout を見た。ミーガン・パーク『ザ・フォールアウト』

興味深い題材の青春ドラマ。 尻切れトンボなエピソードや軽すぎる大人たちが気になるが、90分ではこれが限界だろう。本人のみならず、周囲の近しい人たちの正常性バイアスを解くことの難しさな。 特に「うちの子はそれほどダメージを受けていない」と思いた…

映画 A Hero (2021) を見た。カンヌ2021グランプリ『英雄の証明』

宣伝美術のイメージに反してシーラーズの庶民の日常を描いた作品で、とても面白かった。聖書にもたびたび出てくる「取税人」のつらさを思う。 相手を信じてお金を貸しているのに、なんだか悪者になってしまうという...。 本作の「取税人」にはかっこいい娘さ…

愛を実践するための瞬発力

これを読んで、最近とても印象に残って人に話しまくっている出来事について考えたのでメモしておく。 相手を楽しませるには、喜びをもたらすだけでは足りない。その中心には、大抵の人が見逃している核がある。それは「驚き」「意外性」だ。楽しませるには、…

映画 Madres paralelas/Parallel Mothers を見た。『パラレル・マザーズ』

この映画がクィア・ライオンにノミネートされた(カテゴライズされた)のは疑問。 ハリウッドで評価が高いのも疑問。 たまたま数人マイナーな性的指向の人が出てきたものの、あくまで血縁の妙をテーマにして失敗した作品としか思えなかった。脚本が非常に粗…

映画 Licorice Pizza を見た。ポール・トーマス・アンダーソン 『リコリス・ピザ』

始まりは悪くなかったが、「セレブ」がちらほら出てきてガソリンが在庫薄になってくるあたりからドラマチックすぎて退屈という...。この作品の評価が妙に高いのは、批評家のバックグラウンドの偏りでかさ上げされてるからだと思う。『ラ・ラ・ランド』のとき…