英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Bones and All を見た。ルカ・グァダニーノ『ボーンズ アンド オール』

人喰いカップルのアメリカンロードトリップ。全体的に、作り手が人間の禁忌を扱いかねている感じ。 もちろん、ホラーだとわかって見に行ったのだが、面子からもう少し「ドラマ」を期待していたんだろうな。 「匂いでわかるんだよ〜」と言われたら、はいはい…

映画 Devotion(2022)を見た。海軍ジェシー・ブラウンとトム・ハンドラーの『デヴォーション』

1950年、朝鮮戦争のさなか。海軍航空隊の史実に材を取った物語。優れた活劇なのだが、グレン・パウエルが主演していることもあってか、『トップガン』とかぶってる映画と思われて非常に損をしている。ジャンルからして全然違うけど、あえて「海軍パイロット…

映画 The Fabelmans を見た。スピルバーグの『フェイブルマンズ』

スティーヴン・スピルバーグの8ミリカメラを携えたComing-of-ageストーリー。小学生のときに読んだスピルバーグのゆるい伝記の内容が頭にあったのと、各誌絶賛レビューの雰囲気から、『リコリス・ピザ』『ラ・ラ・ランド』みたいな内輪受けかなぁ...と萎える…

映画 She Said を見た。『SHE SAID / シー・セッド』

とても面白かった。PLAN B作品にハズレなし。 2016年からの背景、記者たちのプライベート(というか彼女たちに完全なプライベート時間はなきに等しいのだが)を織り込んだ構成に拍手。冒頭の「声をあげたのに大統領選はあの結果かよ」の呆然。 私もあの日は…

映画 The Banshees of Inisherin を見た。マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』

アイルランド、架空の辺境の地のマッドネスな人間模様。 照明明るめの『ライトハウス』。荒波に現れる架空の集落の生活を眺めながら、社会は複雑になりすぎたよなあと考えていた。 屋根の下で暮らすためだけに稼がないといけなくなったなんて。視線の定まら…

人混みに恐怖を感じたときのこと

私が人混みに「まずい」と恐怖を感じたのは、2003年に阪神が優勝した日(もう20年前か...)の道頓堀の戎橋の上でのことだった。 たまたま関西の友人宅を訪ねていたので、なかなかないことだから雰囲気を味わいに行こう!ということになり、夕方から、それで…

映画 To Leslie を家で見た。マイケル・モリス『トゥ・レスリー』

当たりクジを飲み尽くしてしまったレスリーがささやかな夢をかなえるまで。 ひなびたアメリカの町のスケッチが緻密で、好きな物語だ。ダレンがジェームスに疑いを告げたと思われる工事現場の遠景のシーン、大変スマートでよかった。スウィーニー、ナンシー、…

初めて韓国ドラマを完走した

韓国ドラマといえば、冬ソナの最終回20分だけ見たのが20年近く前。 あのときもまわりにそこそこ見ている人はいたけれど、記憶喪失というだけでげんなりするし、同僚から『夏の香り』がいかに同じ話かを聞いて大笑いして終わった。そして素晴らしい目利きの韓…

映画 The Good House を見た。シガニー・ウィーバーの『ザ・グッドハウス』

いかにもCVSで売ってるペーパーバック(装丁にストックフォト使ってるやつ)にありそうな話。 眠っているような海辺の街を楽しむ映画。去年から知人のパートナーがアル中でリハブに入っている。 アルコールはいつでもどこでも買える分、一番闘いにくいと聞い…

映画 The Justice of Bunny King (2021) を見た。『ドライビング・バニー』

よかった。 ケン・ローチみたいな作風なのだが、希望があって。 ニュージーランドの児童福祉の介入方法が垣間見られるのも興味深い。と言ってもカリフォルニアとそんなに設計思想は変わらないようだが。八方塞がりの中でどこに光を感じたかというと、最後に…

映画 The Woman King を見た。ヴィオラ・デイヴィス is『ザ・ウーマン・キング』

ダホメ王国のAgojie(女性兵士集団)、奴隷貿易の歴史への関心を開く作品。 すばらしいパフォーマンスだけれど、いろいろなところがちょっとずつ寸止めで歯がゆかった。 それからこれは完全に個人的な問題なのだが、ファンタジー以外の屋外セットというのが…

映画 God's Country を見た。ジュリアン・ヒギンズ『ゴッズカントリー』

再びモンタナが舞台のスリラー。 寒々しくて絶品。これまでも何度か書いたが、私は私有地というシステムを疑問に思っている。 本作は、土地を自分のもんにしたがった人間の罪の帰結の物語。 サンドラもその罪からは自由になれないでいる。土地は地球のものよ…

映画 Don't Make Me Go を家で見た。『パパに教えられたこと』

Speak No Evilを見た直後だったのもあって、余計にかるっかるのプラスチック脚本に見えた。 ナメた邦題がこの上なくぴったりだ。 ジョン・チョーを楽しむだけの映画。私は彼が出ている作品に興味をひかれるけど、どうも血の気の多いおっさん役ばかりではない…

映画 Speak No Evil (2022) を見た。クリスチャン・タフドルップ『スピーク・ノー・イーブル』

苦しい。すごくきつい。(ほめてます)これはフィクションだ!悪に魅入られるアダムとイブのメタファーなのだ!と自分に言い聞かせなければならないほど。 救いを求めて、ビョルン&ルイーズ役の普段の笑顔の写真とか探してしまった(サンダンスでチョケてる…

映画 Three Thousand Years of Longing を見た。ジョージ・ミラー『3000イヤーズ・オブ・ロンギング』

映画体験としては退屈だった。『シェイプ・オブ・ウォーター』みたいな後味の作品。 上映前の挨拶映像でミラー監督が、映画館で見てくれてありがとう、シアター上映を想定して作った作品だから...と言うのだが、シアターで見なくてもいい。なんならpodcastで…

映画 Emily the Criminal を見た。『エミリー・ザ・クリミナル』

大変面白かった。 久しぶりに劇場で拍手が起こるのを聞いた。冒頭、オーブリーの小鼻芸で一気につかまれ、シュールなエンディングまでもう「知ってる」風景ばかりで...。 エミリーもユセフもすぐ隣りにいるんだよね。モチーフになっているのがどう見ても割に…

映画 The Princess (2022) を見た。HBOドキュメンタリーがとらえたダイアナ妃現象『プリンセス・ダイアナ』

これまでダイアナ妃や英国王室に材を取ったフィクションをいろいろ見てきた。 The Crown、The Queen、Spencer... 比べられるものではないが、そのどれよりもはるかに面白かった。夫妻の姿だけでなく、「そのとき」の一般市民の様子が多数盛り込まれ(スマホ…

映画 I Love My Dad を見た。ジェームズ・モロシーニの『アイ・ラブ・マイ・ダッド』

South by Southwestで好評を博したコメディ。 面白かった。好き。21世紀のミセス・ダウトは物理的な制約が少なく、妄想をいくらでもかき立てられるので危険度が高い...。 テキストの向こうの人物の表現、The Girl From Plainvilleも似たようなことをしていた…

マタイ効果 (シリーズ献金 その21)

直接献金は関係ないのだが、 おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。(マタイ25:29) を地でいきすぎで、問題に感じたことがあったのでメモしておく。先日5年ぶりくら…

映画 Nope を見た。ジョーダン・ピール 『NOPE/ノープ』

信頼するレビュワーたちが揃って「悪くはないけど、監督の過去の秀作(Get Out、Us)に比べると...」と言葉を濁す。 確かに1度見ただけで鮮明にキーのせりふを(ルピタ・ニョンゴの"We are Americans"!)、恐怖の感情を記憶している2作に比べると、とっ散ら…

映画 Both Sides of the Blade / Avec amour et acharnement を見た。クレール・ドニ『ボス・サイズ・オブ・ザ・ブレード』

『ショコラ』『ハイ・ライフ』などに続く、クレール・ドニ x ジュリエット・ビノシュのコンビ作品。 マメシャトルの『ハイ・ライフ』はとにかく後味が悪かったのだが、本作はレビュワーの評価が異常に高かったのと、現代劇だということで(みんなマスクをし…

映画 Mrs. Harris Goes to Paris (2022) を見た。アンソニー・ファビアン x レスリー・マンヴィル版『ハリスおばさんパリへ行く』

素敵な拾い物だった。 マンガのようなヴィランズにいいひとたち、そして魔法のドレスが続々登場するディズニーアニメのようなプロットが楽しい。 ただ、パリの風景を楽しめる映画ではなく、あくまでハリスおばさんが夢みるところの「パリ」を箱庭内で撮影し…

私の十分の一献金(シリーズ献金 その20)

所属する米国のプロテスタント教会での献金体験を書いている投稿のアクセスが急増したと思ったら、あのカルトが会見で「十分の一献金」という言葉を使ったんですね。精神的なよりどころにお金を出すことについて、クリスチャンの私が言いたいのは「献金を強…

映画 Lightyear を見た。『バズ・ライトイヤー』

『トイ・ストーリー』はろくに見ていないのだが、クリエイターがかなり闘った作品だと聞いて3D上映館に行く。 おもしろかった。 先週見たばかりだったせいもあるが、新『トップガン』と同じ話やんと思った。 失った同志の子孫の助けを得て過去の失敗を乗り越…

映画 Top Gun: Maverick を見た。『トップガン マーヴェリック』

よかった。 これは見といたほうがいいのかも?と思わせてくれた多くのプロアマ批評家の人たちにありがとうと言いたい。 1作目の公開時には生まれていなかったであろうわっかい観客たちが興奮しているのも素敵だった。ちょっと『アポロ13』みたいだったよね。…

映画 The Janes を見た。Roe v. Wade前史『ザ・ジェーンズ』

1970年前後、Roe v. Wadeの判決が下るまで中絶を支援した活動家グループJaneの記録。 Happeningに続いてタイムリーな公開。 (母親に生まれる前の子を殺す権利などあるものか、と説教する神父の動画に続いて) It's not a theological argument. It's a put-…

映画 Benediction を見た。テレンス・デイヴィス x シーグフリード・サスーン『ベネディクション』

反戦詩人シーグフリード・サスーンのリレーションシップと死生観のコラージュ。 かなりクセのある作品だが、良い観客陣(諧謔に大いに笑い、今的にあり得ない一言には思わずOh Goshと声に出す)に当たったおかげでとても楽しめた。ラストの、ものの哀れを他…

映画 Fire Island を見た。アンドリュー・アン『ファイアー・アイランド』

オースティンの『高慢と偏見』を下敷きに(?)ロングアイランド沖の島でのクィアな1週間を追うロマコメ。 モタモタしてるし、モノローグうっとうしいし、何よりgaynessに欠ける。 ただ、Happeningと同様、自分ごとを思いめぐらす時間になった。国籍にこだわ…

映画 Montana Story を見た。スコット・マクギー x デビッド・シーゲル『モンタナストーリー』

大変よかった。 こんな茫漠とした土地に、ニューヨークから来たモヒカン族をはじめとするネイティブとヨーロッパルーツの人々、ケニア出身のおそらく出稼ぎの人が交わって根を張って、さらには争いまでしているのだった。メインの6人、それぞれに強い印象を…

映画 Happening / L'événement を見た。アニー・エルノー原作『あのこと』

あまりにもタイムリーな全米公開。 1960年代のフランスで望まぬ妊娠をした学生が地下で中絶を遂げるまでを描く。昨今の状況に限らず、男性システムによる女性の体の支配についてもう次々と思い起こされて100分間ずっと腹の中で怒っていた。全米の赤い州で実…