ドイツ語
激動の2020年に大ベストセラーになったIsabel Wilkerson著Casteの執筆譚を下敷きにしたインスピレーションジャーニー。 刺激的だった。あらゆる問題は、言語化・見える化しない限り絶対に解決できない。日本にもいろいろなカーストがあるよね。 高校時代、定…
『ファイナル・アカウント』のナラティブをドラマチックに再現してくれた感じ。もう20年近く前だが、ダッハウ強制収容所跡を訪れたとき、小学生くらいの子どものグループが石の上に座ってお弁当を広げていて驚愕したのを思い出した。ポーランドを旅行した世…
胸がすく快作で面白かった。 超教科書どおりの構成と人物配置をはじめ、私の永遠のナンバーワン『プリティ・リーグ』に通じる圧倒的な気分のよさを感じる。 メイン2人の女性関係を省いて、もう少しボートレースの蘊蓄を盛り込んだほうがよかったようにも思う…
佳い時間だった。 この一家は家族をやることに対して力が抜けてていいなー。 上映前に『Book Club』の続編の予告が流れて、高齢女性4人が妙に口角の上がったパンパンの顔でイタリアに繰り出してキャッキャするのを見た後だったので、どちらも虚像なのは分か…
言語としての音楽に関心を持つひとりとして大変情報量が多く面白かった。 プロットを読んで『ブラック・スワン』みたいな話だったらめんどくせえな〜と思ったのだが、幻聴・幻覚は最小限、わりと地に足のついた骨太のサイコスリラーだった。 特にコロニアリ…
第2次大戦後、強制収容所から解放されたと思ったら刑法175条(男性同性愛を禁じる法律)違反で刑務所に直行、何度も刑期を務めることになった男性の友情の物語。長い。 法律廃止前のエピソードは愛に出会うところも含めてほぼ刑務所内で完結しているので、社…
ドキュメンタリー、アニメ以外の短編映画を腰を据えて見るのは12年ぶりである。友人の映画学校卒業式で数本卒業制作を見たのが最後だ。 これからも目にする機会はほとんどないと思うが、これはすごい世界だ。先の卒業制作短編は長く感じた上、何も覚えていな…
【2022 追記】私は下記のとおり感動して何度も見てしまったのだが、イ・ユナ役の俳優さんが手話ネイティブではないと知って完全にさめた。少なくとも米国の観客は彼女を普段から手話を使用している俳優さんなのだと思って見ていました。フェアではない簒奪に…
適度にチープでグー。人間。それは祈るもの。そして、人をとことん知り尽くす、というのは、聖書でいうところの神に近づくことなのだなと。相手を幸せにするために存在しているけど(それゆえ)求められても"Es ist kein guter Moment"と取り合わないところ…
アーティストのうっすら狂気モノ。創作上のスランプをlow keyで描く。イングマール・ベルイマンが暮らしたフォーレ島のアーティスト・イン・レジデンスを体験できる。 あまり島自体に随一の魅力は感じられないけど、いつも風が吹いているのがいい。劇中劇の…
英語字幕で鑑賞。 perpetratorという言葉を覚えることになる。 法的、社会的に「戦犯」と定義されないにしても、ホロコーストにかかわってしまった一般人enablersの最後の証言を集めたドキュメンタリー。 何人か否認者も出てくるので、閲覧注意である。作品…
エピソードIが良すぎて、あとの3つは印象が薄いどころか蛇足にすら感じた。説明するのが難しいのだが、エピソードIVの医学生と医師の車中のトークを見ていて、不条理に満ちたコンテキストの中にいてこの会話の内容を自分が分かるのはなぜだ...という不思議の…
2021年アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作5本を一気見した感想。Hunger Ward、不割席、ラターシャに捧ぐ 〜記憶で綴る15年の生涯〜、Colette、A Concerto is a Conversation
家族から国家まで選べない共同体に生まれ落ちるにとどまらず、1人では生きられないようにプログラムされた人間というものの皮肉を思う。フランツとフランツィスカも、あのように揃って神のほうを向いて、2人だけで生きていけるならよかったのに。 神はそれを…
注:ネタバレあります。 レビュワーたちの熱心な賞賛を集め、今年一番の呼び声も高い。 昨年の『ムーンライト』の静かな熱狂にも似た迎えられ方をしている作品。で、誰か言うだろうな〜と思っていたら、Fresh AirのDavid Edelsteinが早速かましてくれました…
Ebertで4つ星だったのと、最近クリステン・スチュワート好きなので、トレーラーさえ見ず、ミステリーだということだけチェックして行ってみた。 ちなみにEbertのレビュー検索には、「グレートな映画だけ表示する」という身も蓋もないフィルターがあります。…
今年は除夜の鐘ならぬ、花火の音を聞きながら、独訳稿を校正していました泣「ドイツ語」にいかなる印象をもつか言い表した言葉で非常に共感をおぼえたものが2つあります。 完全な引用ではないですがご容赦ください。ドイツ文学者の池内紀氏が、マンの『魔の…