英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Miss Juneteenth を家で見た。Channing Godfrey Peoplesの『ミス・ジューンティーンス』

155th aniversary of Juneteenthに。
奴隷解放宣言から実に2年半後の1865年、米国で奴隷制がオフィシャルに終焉を迎えた日である。
今週になって急に各地の自治体や企業がこの日を記念しようとPRを始め、私も初めて知ることになった。
近所の銀行からも「今日はJuneteenthをおぼえて半ドン営業にします」と連絡がきた。

公民権運動の「意外に最近」感に比して、こっちはフロンティアの消滅よりも前で現在の状況も考えると随分昔だなという気がする。
この長きにわたって問題は埋め込まれたままであるということ。

最後に解放が伝わった町、テキサス州フォートワースのブラックコミュニティで起きたある継承の物語。
本作で長編デビューしたChanning Godfrey Peoples監督も、子どもの頃からJuneteenthを祝うのが習慣だったそうだ。
映画の中でJuneteenth博物館の見学もできるし、ガイドさんから解放の日の説明も聞ける。

孫はあずかれないよ、あんたの子でしょ、と孫の目の前で言うおばあちゃんさすが。
毎週末に孫が来て面倒をみることが恒例になってしまい、実の子に「もうヤダ、しんどい」と言えないまま10年たってる日本の友人のことを思った。
が、このおばあちゃんには別の顔があって、偽善というはるかに大きな罪をおかしていることが分かるのだが...。
あれは一番やばい。娘が寄り付かないのも当然だ。残念ながら彼女がいる限り、あの教会は栄えない。

姉妹みたいに年の近い母娘3代。彼女たちも、まわりの男性たちも、みんな、若すぎるのが諸問題の根源だと思う。
She doesn't know what she is doing のまま、家族を再生産すると、少なくとも彼女たちの社会ではただただ貧乏ばかりが繰り返されてしまう。

バーオーナーのおっちゃん。
「黒人にアメリカンドリームなんかない。目の前にあるものにしがみつくだけ。でも、たとえオサレじゃなくてもそれは自分のもの。Free and clearだ。大事なものがあるなら絶対に誰にも渡しちゃだめだ」
(Free and Clearは一切の負債がない状態のこと。ちなみに、イエスの辞世の句は「完了した」なんですけど、原語は金融用語で「完済した」の意。私たちを完全に買い取った、と言われて身代わりに死なれました)

Ph. Dをとると、Mr.とかMs.とかそれ以外にも人間を分類するあらゆるタイトルから自由になれてナイスだ、と誰かが言っていた。
彼女たちが、マヤ・アンジェロウを普通にドクター・アンジェロウと呼ぶのを聞いて、ほんとにそうだなと思った。ただ、実はアンジェロウは学位を取得していない。自分でドクターと呼んでもらいたがったとのこと。それもよし。
先日、トレバー・ノアもトークゲストのバイデン副大統領に「ドクター・バイデンにもよろしく伝えて」と言っててすがすがしかった。ジル・バイデンは教育学博士。
同時に日本語の「さん」「さま」の良さにも気づくのであった。相手の属性を知らずして敬意を払うことができ、人を分けない。日本語、いいね。

そして何よりも、名前を奪われてはいけない。
Miss Juneteenthでもなく、自分だけのタイトルを。

聖書的だな~。千と千尋だな~。

トレーラー。

Google先生がちょっぱやでこさえたのであろうDoodleがいい。コロナ禍の中、5月のメモリアルデーの事件が起こる前から準備していたというなら、それはそれで機を見るに敏。

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