英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 金都 / My Prince Edward (2019) を家で見た。ノリス・ウォン『私のプリンス・エドワード』

英語字幕で鑑賞。#BoycottMulan

『リンガフランカ Lingua Franca』に続き、偽装結婚がモチーフ。
香港の女性と香港在留資格がほしいメインランドの男性の組み合わせ。
しかも、男は中国よりも自由度の高い香港を足がかりにしてロサンゼルスに行きたいんだぜ、というややこしさ。

中国の人であっても香港のIDを得るのが米国永住権並みにハードルが高いことが分かって興味深い。
また、折々に聞かれる「大陸」と香港の独断比較も、中国大陸の中で外国目線が存在すること自体が面白い。
マンダリンと広東語の間でのlost in translationも。

この先、彼が夢みた香港IDは紙くずになってしまうのだろうか。

レスリー・チャンあたりに憧れて次々とキザな映像に浸っていたころを思い返すと、この不自由な庶民たちの下世話なストーリーには隔世の感がある。
フェイ・ウォンなんてフリーダムそのものだったのに。
友人の一人は、ウォン・カーウァイ命が高じて広東語を流暢に喋れるようになった。今で言うなら韓国語だろうか。
(ちなみに、本作の主人公の部屋にはジム・ジャームッシュのポスターが貼ってあった)

米国に行ったことがない人は「自由とは何かを知らない」という偽装婚クライアントの彼。
条文に記された米国的「自由」、香港的「自由」だけでなく、人間はどこにいても良心を行使する自由を奪われないように日々たたかわなければならないのだが。

エドワードとの交際期間が7年8か月って、ぴったり第二次安倍政権やん。ながっ。偶然とはいえとんだ符牒である。

ひっくり返ったミドリガメとブラの肩紐がのぞいてしまうカットソーのプロップは陳腐すぎた。
しゃがみながら「(大陸人ぽく)しゃがめるようになったよ」とアピールするセリフもイモい。そこは黙ってないと。

トレーラー。