英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Driveways (2019) を家で見た。ブライアン・デネヒーにSalute 『ドライブウェイズ』

折り目正しい文法でさらりと書かれた掌編。訥々と話す誰かと向き合うような、良い時間を過ごせた。

亡き姉のゴミ屋敷を片付けにきた母子とおとなりの退役軍人の邂逅。
先月亡くなったブライアン・デネヒーが見る者に静かに別れを告げる。
(ところで、米国でも日本でも、この2か月ほど高齢著名人の訃報が多すぎる。いろいろな面で新コロが遠因になっているのではないかと思わざるを得ない)

Driveway と言えば、その訳語をどうするかが、昔からアメリカ文芸翻訳界隈の目玉トピックである。
この作品では、その driveway"s" のニュアンスが視覚的にも情感的にもたっぷり。
Drivewaysを越えて電力を貸すなんてとても素敵なメタファー。ゴミっ溜めにランプが灯る喜び。
やはり、少なくとも日本語一語では到底置き換えられない概念なのだ。

それから、住宅街のポーチの気持ちよさもね。日本でもオープンな縁側があれば似たような体験ができるけど、今や希少だと思う。
時節柄、集まることはできないが、昨日は、この映画のようにポーチに家の人が腰かけて、不自然に離れた外に立っている隣人と井戸端会議をしているのを見た。

コミュニティのビンゴは私もお年寄りのお供で何度か行ったことがある。
ほとんどの人にとっては単なる昼間の行き場、社交の場だけど、会場によっては「貧乏人のギャンブル場」になっている。
ダウバー(ビンゴ用のドットマーカー)を握りしめ、複数のシートからいかに素早く数字を見つけ出すかに命をかけているのだ(速読の訓練にもそんなのがあったから、頭や目の体操としては悪くないかもしれない)。驚いたのは、シートを束で持ち帰って、数字カードをめくりながら自主トレする人がいること...。

今回のように、お年寄りと子どもがチームを組むのはとてもいいアイデア。
広い家に1人で心細い高齢者と、金は乏しいが車だしなどの手助けができる若者の同居をマッチングさせるサービスがあるが、それが機能した理想郷の一形態がビンゴのチームアップの場面で見えた。

コーディみたいに、人の話を聞くのがうまい U-10 は実在する。やはりじーばーと暮らしたことがある子、あるいは家がお店の子が多い気がする。
「僕は宗教は好きじゃない」のくだりはとても良かった。
ところどころ、母親から学んでいるんだな、とうかがわせる言葉やしぐさがあるのもほほえましい。

お母さんの副業が transcriber なのはリアルだ。
納品の形態にもよるけれど、あんなふうに一から手で起こす人はもういないのではないだろうか。それとも MTPE みたいに機械起こしの編集はむしろ面倒という面もあるのかな。
翻訳と同じで、AIにとって代わられてなくなるよ、と20年前から言われ続けつつ、結局まだ最後の砦が残っている仕事。
今思えば、昔の「テープ起こし」なんかすべてマシンで作業できる今よりはるかに大変だったのに、うっかりバイトを引き受けると時給100円に満たなかったものである。

本作は全編「マンガ」推し。
コーディたちと地元の子たちとの付き合いはマンガで始まり、マンガで新たなステージを迎えるのであった。

今回もまた、地元映画館を支援できるプラットフォームで配信鑑賞。
https://drivewaysfilm.vhx.tv/products/

日本でもミニシアター支援の配信プラットフォームが立ち上がっているというので、「仮説の映画館」を見に行ってみた。
見たい作品がない & 日本国内のみの配信だったりして結局買っていないのだが、やっぱり1800円がデフォってたっかいよね...。
http://www.temporary-cinema.jp/

トレーラー。