英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 My Darling Vivian を家で見た。ジョニー・キャッシュと『マイ・ダーリン・ヴィヴィアン』

ジョニー・キャッシュの、ジューン・カーターでないほうの妻、ヴィヴィアンの生涯を4人の娘たちが語る。
前田ハウスで話題の SXSW 2020 出品作だが、イベントが初めて中止になったため、オンラインプレミア。

50年代、60年代のメンフィス、ロサンゼルスのバレーの映像が楽しめる。

職業ハウスメーカーのヴィヴィアン、少なくとも4人の子育てのクレジットは彼女にあるべきなのに(実際、ほぼ1人で育ててるし)、ジョニーとジューンがそれさえ奪ってしまう。サイアクだ。ジョニーのお別れ会でもまるでいないことにされてるのがひど過ぎる。

聞き捨てならなかったのは、熱心なカトリック信者ながら、離婚したために聖餐を受けられなくなったという話。娘の1人は、そのせいでカトリックから離れたという。当然だ。聖書を教典にしていながらなぜそんなイジメに走るのか。うちの教会だったら半分以上の人が聖餐受けられなくなるわ笑
後に、ヴィヴィアンにとって信仰がいかに重要かを知っていたジョニーが教会に「離婚は自分のせい、彼女は悪くない」と手紙を書いて再び聖餐が受けられるようになったというが、それもますますバカバカしい。厳禁だった炭酸が、コカ・コーラ社長の入信以来OKになった某教会かよ...。

若い2人がやり取りした手紙の筆跡の美しいこと。
封筒に入ったラブレターをもらえたのは私の世代が最後ではないか。
私は残念ながら書くほうは経験しないままだけれど、男子たちから切実な手紙を見せてもらっては(そう!年齢に関わらず、コドモは見せびらかすんだよ!!! 特に男子!!! だから絶対書きたくなかったんだよ!!!)書き手の思いの純粋さに驚嘆したり、時には勘違い的妄想にちょっとウケたりしていた。
今の若い人はそもそも手書きの手紙をもらえることはほぼなかろうね、気の毒に。

離婚後は、娘によるとなぜかジョニーより先に再婚しなくては、と焦り、取引みたいな結婚をしたヴィヴィアン。でも、愛したのはジョニーだけだったという。彼亡き後は「彼のいない惑星に生きてたって意味がない」とさえ。
娘の言葉、"She never falls out of love with my dad"が素敵。

娘たちが口々に「母はこの映画を目にするのが嫌で公開前に慌てて死んだんだ」と言う2005年の『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』。
ヴィヴィアンをジニファー・グッドウィン、ジョニーをホアキン・フェニックスが演じるが、ジョニーの自伝が原作で、主役はジューン・カーター(リース・ウィザースプーン、本作でオスカー獲得)とのカップル。そりゃ見たくないわ。

ヴィヴィアン本人のアカウントはこっち。

CBS Newsで放映されたPR。