1970年前後、Roe v. Wadeの判決が下るまで中絶を支援した活動家グループJaneの記録。 Happeningに続いてタイムリーな公開。 (母親に生まれる前の子を殺す権利などあるものか、と説教する神父の動画に続いて) It's not a theological argument. It's a put-…
反戦詩人シーグフリード・サスーンのリレーションシップと死生観のコラージュ。 かなりクセのある作品だが、良い観客陣(諧謔に大いに笑い、今的にあり得ない一言には思わずOh Goshと声に出す)に当たったおかげでとても楽しめた。ラストの、ものの哀れを他…
オースティンの『高慢と偏見』を下敷きに(?)ロングアイランド沖の島でのクィアな1週間を追うロマコメ。 モタモタしてるし、モノローグうっとうしいし、何よりgaynessに欠ける。 ただ、Happeningと同様、自分ごとを思いめぐらす時間になった。国籍にこだわ…
大変よかった。 こんな茫漠とした土地に、ニューヨークから来たモヒカン族をはじめとするネイティブとヨーロッパルーツの人々、ケニア出身のおそらく出稼ぎの人が交わって根を張って、さらには争いまでしているのだった。モンタナ・ストーリーヘイリー・ルー…
あまりにもタイムリーな全米公開。 1960年代のフランスで望まぬ妊娠をした学生が地下で中絶を遂げるまでを描く。あのこと(字幕版)アナマリア・ヴァルトロメイAmazon昨今の状況に限らず、男性システムによる女性の体の支配についてもう次々と思い起こされて…
タイザー歴7年、自分史上一番すごいことが起きたので聞いてほしい。 要旨: 追徴に構えていたタックスリターン(確定申告)で、取られるどころか15,000ドル戻ってきた。今の円安レートなら200万円相当。 それは渡米以来初めて税理士を変えたことで起きた。 …
大変いい映画だった。「いつ始まるのかなあ」と思ってるうちに終わった。そう思わせるシーンの積み重ねだった。 ずっと引きの別れの場面は影絵劇のよう。息を切らしながら息子と車の間を往復するお母さん、しばりつけられて暴れる弟。家族4人それぞれにすば…
子どもが主人公のファンタジーながら一貫した突き放し感がひんやりするグリ―フケアの佳作。 『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督作品。双子、ガニマタの角度まで同じで本当にDNAは驚異だよ。鑑賞中、退屈したわけではないが、70分で終わるという事実に…
まあまあ面白かった。 ただ、これがたとえばシカゴが舞台で全編英語だったら不思議と退屈になったと思う。 パリ13区である必然性は言語だけ。実に魅力的なヴォイスだった。フランス語を勉強するときには教材に使いたい。パリ13区 R-18版(字幕版)ルーシー・…
暴力やハラスメントを許す環境で作られた作品は見ればわかる、という話がある。 映画は監督のメディアなのだから当然と言えば当然だろう。 いくつか、鑑賞中に「現場で搾取が行われてそう」と感じた作品を思いだしたのでメモしておく。後で追加する。『ダン…
あの『アメリカン・ハニー』を撮ったアンドレア・アーノルド監督が乳牛の生涯を追ったドキュメンタリー。各所で配信しているが、イースター前の断食中でもあり、これは家では集中できないやつ、と思って劇場で瞑想してきた。出産時、人間3人がかりで子牛を引…
レジェンド、ミシェル・ヨーとジョナサン・キー(ショート・ラウンド!)の粘り強いキャリアを寿ぎに。作品は苦痛に近いほど苦手なやつだった。 「2 Everywhere」とキャプションが出たとき、え......まだ......半分......と軽く絶望した。これを楽しめるほど…
豪州史を動かしたタスマニア島のマスシューティング、ポート・アーサー事件の犯人のある人物像。 秀作。初めて見る俳優さんばかりだったが(たぶん)、全員素晴らしかった。彼のような「無敵の人」をどう包摂すべきなのかは分からない。フロリダの事件の犯人…
先週、2つ、経験のない仕事を「やってくんない?」と言われ、下記に引用した内田センのすすめを思い出してあんまり考えずに「いいよ」と言ったのでメモしておく。普段自分がしているウェブ開発や翻訳でも紹介で仕事がつながることは多い。人手がほしいときに…
『イミテーション・ゲーム』の脚色で成功を収めたムーアの初監督作品。 戦争直後、シカゴでギャングたちをメイン顧客にスーツを仕立てるビスポーク「カッター」の企みを描く一幕劇。面白かったし、マーク・ライランスはとても良かった。 が、私のギャング・…
第2次大戦後、強制収容所から解放されたと思ったら刑法175条(男性同性愛を禁じる法律)違反で刑務所に直行、何度も刑期を務めることになった男性の友情の物語。長い。 法律廃止前のエピソードは愛に出会うところも含めてほぼ刑務所内で完結しているので、社…
ドキュメンタリー、アニメ以外の短編映画を腰を据えて見るのは12年ぶりである。友人の映画学校卒業式で数本卒業制作を見たのが最後だ。 これからも目にする機会はほとんどないと思うが、これはすごい世界だ。先の卒業制作短編は長く感じた上、何も覚えていな…
今年は4/5本が米国が舞台の米国作品だったせいか、粒が揃いすぎているというか、ズレを感じて問いが深まったり、新しい世界が広がったりした作品はなかった。それでもなんとか、印象に残った順に。 ■ The Queen of Basketball『ザ・クイーン・オブ・バスケッ…
ゴージャスなバレンタインムービー2022。 一昨年のスーパーボウルのハーフタイムショーを見たときと同じ印象。 J. Loは一緒に仕事をすると妙なエネルギーが湧いてきそう。 一度、West LAで見かけた彼女はかなり小柄だったのだが。ところで、ポップスター業界…
ごくシンプルな物語。 イエス・キリストの生涯を端的に知りたいと思ったら、本作を見ればいい。 イエスの業績はこのお父さんのしたことと全く同じ。 自分の命とひきかえに私の借金を返してくれたわけ。闘いの後、お父さんは「これで借金は帳消しだな?」と確…
去年、宣伝のスチールを見て「シャツが素敵!」と思って注目した作品。 ↓これな。 Neon主人公のモラトリアムに共感したし、2時間楽しめたけど、ここまで絶賛されている理由は分からず。 『WAVES/ウェイブス』でも感じたことだが、このプロットでがんを発症さ…
A Heroとカンヌ2021グランプリを分け合った作品。 ラフで生々しい筆致を堪能した。 食事をしながら喋っているローラの口元にずっとソースがついてるとか、別れに言葉がなく遠景で視線を交わすだけとか、そういうところ。 こういう映像を見ると、ハリウッド作…
緻密なデリバリーの秀作。 ストリーミングが始まっているけど、あえて劇場に見に行ってよかった。 トゥイーンを意識的に排除したアニメは照明がものすごく適切で、解像度が高いほど情報量が多いのは事実だけど、それが必ずしも真ではないことを思い知らされ…
興味深い題材の青春ドラマ。 尻切れトンボなエピソードや軽すぎる大人たちが気になるが、90分ではこれが限界だろう。本人のみならず、周囲の近しい人たちの正常性バイアスを解くことの難しさな。 特に「うちの子はそれほどダメージを受けていない」と思いた…
宣伝美術のイメージに反してシーラーズの庶民の日常を描いた作品で、とても面白かった。聖書にもたびたび出てくる「取税人」のつらさを思う。 相手を信じてお金を貸しているのに、なんだか悪者になってしまうという...。 本作の「取税人」にはかっこいい娘さ…
これを読んで、最近とても印象に残って人に話しまくっている出来事について考えたのでメモしておく。 相手を楽しませるには、喜びをもたらすだけでは足りない。その中心には、大抵の人が見逃している核がある。それは「驚き」「意外性」だ。楽しませるには、…
この映画がクィア・ライオンにノミネートされた(カテゴライズされた)のは疑問。 ハリウッドで評価が高いのも疑問。 たまたま数人マイナーな性的指向の人が出てきたものの、あくまで血縁の妙をテーマにして失敗した作品としか思えなかった。脚本が非常に粗…
始まりは悪くなかったが、「セレブ」がちらほら出てきてガソリンが在庫薄になってくるあたりからドラマチックすぎて退屈という...。この作品の評価が妙に高いのは、批評家のバックグラウンドの偏りでかさ上げされてるからだと思う。『ラ・ラ・ランド』のとき…
気に入った作品順。それぞれ、鑑賞日の日記にリンクしています。スケールは「ていうか、見たっけ?」以外文春シネマのを拝借。 4月以降、映画館で見られた作品には<映画館>のラベリング。★★★★★ もう最高!ぜひ観て!! 私が見た映画の中では今年は該当作品な…
オリヴィア・コールマンのartsを味わう作品。意識の流れの書き込みが素晴らしい。 ニーナまわりの人々への屈託、映画館で沸いた怒りからダンパで超笑顔になるところまで矛盾がない。平気な顔で良くないことをしても狂気は感じない。(私の趣味としてサイコパ…