英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Licorice Pizza を見た。ポール・トーマス・アンダーソン 『リコリス・ピザ』

始まりは悪くなかったが、「セレブ」がちらほら出てきてガソリンが在庫薄になってくるあたりからドラマチックすぎて退屈という...。

この作品の評価が妙に高いのは、批評家のバックグラウンドの偏りでかさ上げされてるからだと思う。『ラ・ラ・ランド』のときと同じ。ここで育ってない私でもいつも聞いてるラジオ局の描写があって上がったくらいなので。

でも一般客はどうか。舞台は『ブックスマート』同様サンフェルナンド・バレー、エンシノ中心でホームもホームなのに、ジモティの観客が2時間くすりとも笑わないのはまずくないか? ユダヤ教徒ネタなんかちょっと内輪受けくらいしてもよくない?

70年代の設定で未成年の扱い、各種ハラスメントの描写は文化史としてさらっと見られてしまうのだけど、「日本人の嫁」の表象は例外的に危ういと思った。
先日たまたまSATCのシーズン3(1998年)を見返していたら、ホテルのロビーにいたキャリーがスーツ姿のアジア人男性に「いくら?」と声をかけられ、「日本人にフッカーと間違えられた!」とキレるシーンがあってドキンとしたばかりだったので。
事実はどうあれ、アジア人とかビジネスマンとかじゃなくあえて日本人と特定したの。
今の日本がhentaiと大人のオモチャの国だと思われているのと同じく、そう言わせるだけの「実績」があったのはよく分かるんだけどさぁ...。

アラナ・ハイム、素敵。
日本にもたくさん事例があるけど、ミュージシャンが演技をするといきなり出てきて名人というか、たいていうまいこと魅せるよね~。外国語習得が得意なのもそうだけど、身体がオープンで空気へのノリがいいんだ。
バレーの朝焼けを背景にはしゃぐガキどものシルエットをぼんやり眺めながらタバコに火をつけるシーンは「何やってんだろ、私...」という声が聞こえてくるようで、おりにふれて思い出すはずだ。

劇場はクリスマスで集った家族づれらしきでにぎわっていた。マチネ5ドル也。

ノスタルジアを引き出すのはやはり音楽。

トレーラー。