英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Flee/Flugt を見た。ゴッサム・ドキュメンタリー賞『フリー』

緻密なデリバリーの秀作。
ストリーミングが始まっているけど、あえて劇場に見に行ってよかった。
トゥイーンを意識的に排除したアニメは照明がものすごく適切で、解像度が高いほど情報量が多いのは事実だけど、それが必ずしも真ではないことを思い知らされた。

印象深かったエピソード。ロシアから脱出した船で難破しているところをノルウェーの大型客船に見つかって難民たちは命拾いしたと喜んで声を上げたが、アミンはひどく恥ずかしかったと。老いた母とともに冷たい海の上を漂流するという極限状況でも、客船の客に珍しいドーブツを見るような目を投げかけられることになお傷つく人間という存在。(ちなみにこの客船には助けてもらえなかった)

デンマークに「身寄りのない未成年」として偽パスポートを捨てて助けを求め(その判断は正しかった)、密輸業者に教え込まれたウソの不幸をオフィサーに語っているうちに、それが事実であるかのように涙が止まらなくなってしまったこと。

彼はヨーロッパが尊厳を守ってくれると信じた。それは裏切られなかった。きちんと通訳が用意され、追い出されることもなかった。
ピルグリムの国として、「星条旗だ!もう安心だ!」と息をしてもらえる場所、Human rightsが守られる場所にしなければと思った。

疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。(マタイ11:28)

Give me your tired, your poor,
Your huddled masses yearning to breathe free,
The wretched refuse of your teeming shore.
Send these, the homeless, tempest-tost to me,
I lift my lamp beside the golden door!
Emma Lazarus, The New Colossus(自由の女神の台座に刻まれたソネット。前大統領の就任時からこれに「国に迷惑かけない奴に限る」などと付け足すセコイ富豪政治家が出てきてムカついている)

トレーラー。