英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Hit the Road を見た。パナー・パナヒ『君は行く先を知らない』

大変いい映画だった。「いつ始まるのかなあ」と思ってるうちに終わった。そう思わせるシーンの積み重ねだった。
ずっと引きの別れの場面は影絵劇のよう。息を切らしながら息子と車の間を往復するお母さん、しばりつけられて暴れる弟。

家族4人それぞれにすばらしかった。しきりに大地に口づけをしている暴れん坊のボン(Rayan Sarlak)いいなあ。
自意識の薄膜が皆無に見えるんだよね。
最近、ドラマA Million Little Thingsを見て、今どき珍しいくらい子役が下手っぴーで気が散ったこともあり、とりわけ新鮮だった。

旅だちの朝にいつメンのひとりが「私は無理...ここに残る...」みたいなニュアンスで死んでしまうモチーフ、『怒りの葡萄』『大草原の小さな家』に加え、うちの教会でも現実にあって(教会堂が移転する直前に天に召された兄弟がいた)、どうしてもいろいろな意味を感じ取ってしまう。旅の安全のための犠牲とか、選抜に落ちた奴は約束の地がけがれるから同行できないとか。
聖書にいかにもありそうな話だが、はっきりと類似のエピソードには出会えていない。

ちなみに私はhit the roadとかhit the shelvesという表現が好きです。

トレーラー。