ドキュラマとして大変面白かったが、『Quo Vadis, Aida? アイダよ、何処へ?』と同じ感想を抱いた。
デカさ、ツオさを希求する「男」なるもの、お前だよ。お前が全部破壊してんだよ。同じ間違いを繰り返しやがって。
原爆開発物語ではなく超ハイペースのオッペンハイマー伝なのでしかたないとはいえ、原爆投下とその人的被害が完全にスクリーン外で処理されて終わったのが、『はだしのゲン』と永井隆の作品を読んで育ったジャパニーズとしては不満。
オッペンハイマーが罪悪感に苦しむ描写が続く中、せっかく大勢集まっている観客には彼が恐れている本当の理由が伝わってないんじゃないか、と歯がゆかった。
昨日から、アメリカがウクライナに支援したクラスター爆弾がついに使われ始めたという報道が出ている。
最悪だ。
人間が愚かになるのを止められるだけの想像力を持たない以上、社会は、市民は、「あの国には知人がいる」「あの街の人には助けられた」のつながりを少しでも増やす努力をするしかないのではと思う。
本作で、エライ人のスイートな思い出ひとつで京都が投下を逃れたように(実際には除外地の理由は諸説あるらしい)。
その点、今の日本は真逆のことをしすぎ。
マット・デイモンのタヌキな感じがすごくよかった。
今週、シアターオーナー協会が、全米で20万人が『オッペンハイマー』と『バービー』を1日のうちに両方鑑賞するだろうと試算していたが、順番として『バービー』を先に見たらハシゴはつらいかも。
劇場はピンク色を思い思いに身につけた人たちの興奮で賑やかだった。
原案はピュリッツァー賞受賞作。
トレーラー。