胸がすく快作で面白かった。
超教科書どおりの構成と人物配置をはじめ、私の永遠のナンバーワン『プリティ・リーグ』に通じる圧倒的な気分のよさを感じる。
メイン2人の女性関係を省いて、もう少しボートレースの蘊蓄を盛り込んだほうがよかったようにも思うが(お仕事ものは鉄板だから)、何より史実のディテールが勝ちまくっている。
列車のついた巨大観客席がレースを追いながら線路上を移動する、きわどい審判のためにフィニッシュの瞬間をカメラにおさめて暗室に走るといった場面に興奮しない人がいるだろうか。あの審判用写真撮影者の役、絶対できないわ。カメラが適切に作動しなかったら?現像に失敗したら? おそろしすぎる。
五輪を見て、ボートのおさえ役の存在にちょっと感動したものだが、ハドソン川ではスタートが陸や桟橋でなく審判ボートなのが驚き。あれはどうやって固定しているの?
舵手が着けるメガホンつきヘッドギアは今見るとギャグだが、いつ頃まで使われてたの?
ドイツチームの舵手のカウントのかけ声が長いのも草。37がsiebenunddreißigだからね。あれ、うっすら不利になりそう。数を少ないモーラで表せることがアジア系が理数系に強い要因だとするグラッドウェルの仮説を思い出す(Outliers『天才!成功する人々の法則』)。見れば見るほどfun factが出てきそうだ。
ポキプシーと聞くたびに、Ally McBealのJohnの顔を思い浮かべる人も多いはず。
平日マチネ、12.39ドルで鑑賞。
原作ノンフィクション。
『プリティ・リーグ』といえば、最近書店のランキング棚でこんな本が出ているのを見つけて即買った。30年たってルポが出るほどの大作だっただろうか...と思わなくもないが、そのくらい私と同じように偏愛するファンがいるのがわかって嬉しい。
はるかに小規模ながらボート競技のエッセンスが詰まっていたこの邦画のことも思い出す。
トレーラー。