英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 The Fall Guy (2024) を見た。デヴィッド・リーチ『フォールガイ』

面白かった。映画を好きになる映画。

バブル崩壊の頃だっただろうか、子どもが子どもを誤って殺めてしまう事件が出てくると、うちの母は「小さいころからケンカをしていないから手加減がわからないのだ」と憂えていたものである。

スタントというのは、自分に対しても他人に対しても寸止めをするアートなんだ、と本作のアクションを見て思った。
真剣を使った型のように大惨事の手前でピタッと決める美しい寸止め。
それから、スタントが活躍する現場には、何度も消火器を持ってかけつけたり、巨大エアクッションを引きずって追いかけたりするスタッフも大勢いる。アンサングヒーローを支えるアンサングヒーローたちの姿もよく描かれているのが胸熱だった。

ところで、アクションとは程遠い類の作品でも「ここだけスタントさんにやってもらえばいいのにィィィ」ともったいなく感じることがある。人が意識を失って倒れるシーンがそれで、最近だと『Wicked Little Letters』、古くは『かもめ食堂』など。たまたまどちらも高齢女性俳優だったが、崩れ落ちながらあからさまに身体をかばっていて、突如「ウソやん」になるのだ。中の人ギンギンやん、と。
死んでるのに頭を打たないように倒れる人、というのもよく見るが、そういうのはだいたい団体の戦闘シーンとか、名前もない役とかなのであまり気にならない。でも、人物を大写しにする静かなドラマの場合は、そのくらいちょーっとお金かけてリアルを追求すればいいのに、と思うのだ。

【5/9追記】
ふと思い出したのだが、高校の演劇部の公演で優れた卒倒シーンを見た。
催眠術が使える設定の人物が「ちょっと眠ってて」と指を鳴らすと、目の前の女性が文字通り直立のまま仰向けに倒れた(ように見えた)のである。あれは実に説得力があったな。どういう技を使ったんだろう...。
そのとき体育館に響き渡ったバターーンという音は、友人が持病の発作でいきなり倒れたときと同じ容赦のない轟音だった。

シドニーが舞台の映画を見たのは初めてかも。

平日マチネ、12.19ドルで鑑賞。

トレーラー。
実は一度も見ていなかった。「鑑賞履歴に基づくおすすめ」「映画XXを見に来たヤツならこれも好きなはず」に全くかすらなかったということだ。