英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 First Man を見た。ライアン・ゴズリング is『ファースト・マン』

『ラ・ラ・ランド』のチャゼル監督(まだ33歳。『ブラックパンサー』のライアン・クーグラーと並ぶフレッシュぶり)とゴズリングコンビでニール・アームストロングの月面着陸までをlow keyで描く。

ファースト・マン (字幕版)

ファースト・マン (字幕版)

  • ライアン・ゴズリング
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以前、近所の図書館に元宇宙飛行士がレクチャーに来たとき、しきりに「私たちはユーリにとても感謝しているんだ、宇宙開発のすべてはユーリに負っている」と言っていた。
(逆に言うと話の内容それしか覚えてない...彼の名前すら)

この映画を見て、その彼の言った意味がちょっとは分かる気がした。
『アポロ13』と『ハドソン川の奇跡』を合わせたような、米露宇宙競争の10年の一コマ。
今じゃ、あんな無茶なスピードでプロジェクトが進むことはないだろう。1回の失敗で数年はディレイするよね。
発射台の死刑台感といったら。

ゴズリングは、腕利きパイロットに見えなかった...
ちょっと優しすぎた。

ところでアームストロングは幸い天寿を全うしたようですが、先駆者ユーリ・ガガーリンの「飛行後」はなかなか苦しいものになったっぽく、そのまま若くして亡くなっています。
ユーリが最初の飛行士に選ばれた決め手は宣伝に有効なロシアっぽい名前に加えて「笑顔」だった、という話がありますが、彼の子どものようなスマイル写真を見るとほんま泣けてきます。

そして、アームストロングと一緒に月面に降りたバズ・オルドリンはつい先日、自分のお金を勝手に使われたとして2人の子どもを提訴し、三面ネタに。。。こういうのって、ユーリの例よりさらに悲しい。

本作で描かれるおびただしい事故、そして「宇宙開発なんかに人命と巨額の金を費やすな」プロテストのシーンでは、この本の著者の煩悶を思い出しました。
私も同時代人だったらプロテストに回ってたかもしれない。で、月面着陸の中継見てころっと態度を変えたであろう...

トレーラー。

私の愛する宇宙モノ。何度見ても一生飽きないと思う。

映画 Beautiful Boy を見た。ティモシー・シャラメ is『ビューティフル・ボーイ』

ドラッグ依存症撲滅啓発映画。

メモワールを原作にした興味深い題材ながら、評判がいまいちだったのでどんなもんかなと思ったが、満席で驚いた。
冒頭のPLAN Bのロゴに再び期待が高まる。

「ドラマ」じゃない丁寧な静かな筆致で良かった。
モーラ・ティアニーがキレて若者2人を追いかけるところはめちゃくちゃ真に迫っていた。
彼らを操るものに対する怒り、悔しさ。

ウソは何よりも人を蝕む。
だから、人にウソをつかせるものは何でも害毒なんだ。

父ちゃんがついにティモシーを「見限る」ところ、全然文脈違うんだけど、なぜか東野圭吾の「手紙」の兄ちゃん切りを思い出した。
サタンは避けるしかないんだ。家族が格闘しちゃダメ。できない。

本人も周囲の人びとも、専門家に、自助グループに助けを求めること。

幸い、リアルのニックは脱ドラッグに成功、今も生き続けて活躍しています。奇跡です。映画のプレミアにも親子で出席したとのこと。
原作本の著者親子の10年前のインタビュー。
Father And Son Behind 'Beautiful Boy' Share Their Story Of Addiction And Recovery

ビューティフル・ボーイ

ビューティフル・ボーイ

  • スティーヴ・カレル
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原作。

トレーラー。

映画 A Star Is Born (2018)を見た。ブラッドリー・クーパー初監督 × レディー・ガガ『アリー/スター誕生』

いつも聞いている辛口レビュー番組で、もうツバが飛ぶのが見えそうなほどレビュワーたちが興奮してほめていた作品。
話を知っていても引き込まれる、ガガを立てるクーパーがいい、脇のガガ父がいい、3回鳥肌がたった...云々。

特にガガの良さをrawという言葉で評価していたのがナルホドと。
40年以上前のストライサンド版がいまいちだった点は、ストライサンドが初っ端からストライサンドにしか見えなかったこと、それに比べるとガガの姿はrawで題材にぴったりだったと。
見てみて納得。ローデータのローですね。

確かに「マザーモンスター以前」の彼女は素敵だった。
アル中ヤク中、でも笑顔が優しいクーパーのやさぐれロッカーも実に美しかった。
脇のバランスもきれいだった。
コンサートのシーンはスリリングだった。

が、中盤よりも随分前(に感じた)、2人の出会いから最初のアクトでクライマックス到達。
その後はもう脚本が冴えず。
消化試合というか、全体的に人物の動機が薄いというか、「そこで結婚しないだろう」とか「そこで死なないだろう」とかそんなのばっかり。
グラミー賞シーンもしょぼかったですね〜

プロデューサーがついてからガガさんのパフォーマンスに生命力が欠けてしまった、というのはよく伝わったけど。

(10/12追記)
この駐車場、めっちゃ近所だったのでちょっくら見に行ってきた笑

たぶん今年映画館で見た回数最多のトレーラー。すんごい昔からやってたので。

サントラ。ラストの追悼歌唱はなぜかホイットニーみたいだった...

1976年のストライサンドバージョン。

スター誕生(字幕版)

スター誕生(字幕版)

  • バーブラ・ストライサンド
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映画 The Old Man & the Gun を見た。ロバート・レッドフォード『さらば愛しきアウトロー』

注意)この映画はチャーミングな佳作ですが、MeTooのハザマをすり抜けたケイシー・アフレックが出演しています。
(そうと知ってたら私は見なかったです)

新たな連邦最高裁判事がアレに決まってしまい、はっきり言って大統領選よりもはるかに落胆している。
大統領のときは票田が広すぎる、多様すぎるというか、プロライフ等のためにあくまで彼じゃなく共和党を選ぶという苦渋の選択をした人もたくさんいることを知っている。
でも判事はさ、中間選挙前のタイミングを耐えて、別の人を推し直すことはできるわけだからさ。しかも任期は終身。。。
彼の性的暴行疑惑の白黒よりも、あの公聴会ひとつで見えた彼の「不適任さ」のほうが気になりました。
アレでいいの?アレのタイトルがJusticeになるんだよ?Gross.
今回のことでLoseしたのは最高裁、っていう意見に同意です。残念。

さらば愛しきアウトロー (字幕版)

さらば愛しきアウトロー (字幕版)

  • ロバート・レッドフォード
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映画、よかったよ。80年代の香りが。
レッドフォードのヘアスタイルが素敵でね。
「現役離れて目が死んでる」場面もシミジミした。そして、そんな彼を見ているのを苦しく思うほどには、シシー・スペイセクも若くはないのですね。
いつか彼がいなくなるのを知っている。それを受け入れる準備もできている。

1つだけ、ダイナーのシーンで妙なカットがあった。
2人の会話を聞きながら、カメラはダイナーの便所への入り口近辺をボーっと映しているの。

若きレッドフォードの作品を見直したくなる映画でした。

原作。

トレーラー。

新最高裁判事のアレの「不適任さ」をダイジェストで。議員さんたち、ほんとにこれでいいの?

映画 A Simple Favor を見た。見なきゃよかった『シンプル・フェイバー』

朝起きたらデニー知事当確が出ていてホッとした。晴れ晴れした気持ちで礼拝に行った。

が、その後に見たこの作品は私の大嫌いなサイコパスものだった。
しかも主役女性2人両方。非常に不快になって帰宅...とほほ。

映画としても、彷彿とさせられる『ゴーン・ガール』と比べて極度に出来が悪い。
演出の座りが悪い。役者のアンサンブルに迷いが感じられる。
アナ・ケンドリックやママパパ友たち部分だけ別の人が撮ったみたいですご〜く見づらい。
リッチ夫がしょっ引かれてからがめちゃ長い。

疲れた。
同じく主演の『ピッチ・パーフェクト』なんかと比べてまるで素(あくまで彼女のtwitter、著書からの推測です)のアナの喋りは面白いけど、映画じゃなくていいしね...

(2019年追記)
私が嫌いなキャラクターたちの共通点に気づいた。ウソのためなら自分の肉体を傷つけるのを厭わないこと!要は変態です。うっとうしいです。
『ゴーン・ガール』のエイミー(ロザムンド・パイク)
『聖なる鹿殺し』のマーティン(バリー・コーガン)
『女王陛下のお気に入り』のアビゲイル(エマ・ストーン)
そして
『シンプル・フェイバー』のエミリー(ブレイク・ライヴリー)

原作。

邦訳。

アナのベストセラーエッセイ集。この映画の語り口のままです。

トレーラー。