英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

洋書50冊の先に何がある?25冊目: "He's Just Not That into You" 彼をすてるとき。

近所のおばちゃんが浪々と国歌斉唱をしている、July 4th前夜である。
だんだん興に乗ってきたようでビブラートが耳障りだが、何度聞いても実に映像的なポエムだなあ。
この歌だけで「やっぱ、アメリカ人になるべ」って思っちゃうもんなあ。

SATCのコンサルとライターが書いたデート指南本?のヒット作"He's Just Not That into You" 、刊行から10年以上、なぜ今更?と言えば、この本の目次がSNSで回ってきたからである。
これだけ見れば中身は分かるよね。っていうか、これが全エッセンスです。

He's just not that into you if he's not asking you out.
He's just not that into you if he's not calling you.
He's just not that into you if he's not dating you.

ウチの教会のユースリーダー(10代の子たちの霊的世話係)が女の子たちにしょっちゅう言ってるのが、
「男なんか追いかけるんじゃない!」
女の子たちの悩み相談の中身のフラットさが知れるというもの。

煮え切らない男の子に対してつい時間を浪費してしまう辛さについて、私も共感できる節がなくはないが、自分の経験以上に「これは根深い」と思ったのが、Eat, Pray, Love『食べて、祈って、恋をして』にあったエピソード。

カンボジアで人間の残虐の限りを目にして命からがら渡米してきたボートピープルの女性が、ボランティアでケアに赴いたカウンセラーにまず打ち明けたのが、「難民キャンプで出会った彼に翻弄されている、去るべきだと分かってるけど、まだ愛している、一体どうしたらいいのか」だったという。。。

林真理子が言っていた。「彼の気持ちが分からない? まさか、そんなはずはないだろう」
そのとおり。自分がどれくらい思われているか、思われていないかは、本当は自分が一番よく知っている。

本書はユースリーダーの一言以上に説得力があるし、時間をセーブできるし、すごく肩の荷がおりて希望がわくんでは、と私は思った。
教会の子に読めとすすめることはできないのが残念だ。(なので、かわりに私が直接言ってあげるようにしよう)

面白く読めるのは半分まで。あとは繰り返し。
でも最終章の超オプティミスティック!な締めくくりはちょっといい。SATC映画版のラストと似た余韻。

「1年間で洋書50冊読破」を始めたわけ。

改訂版や普及版も出て地味なロングセラーである。

目次を眺めただけでも、まるで別の書物のようにパンチがなくなっているのですが、邦訳。

ウィットのかけらもなく散々だった映画版。SATCを見ておけば十分です。