英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。Python、Ruby、JavaScript、神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 The Beguiled (2017) を見た。ソフィア・コッポラ『ビガイルド 欲望のめざめ』『白い肌の異常な夜』リメイク

久しぶりに「映画鑑賞」をしたなーという感じ。とても満足。
実はコッポラ作品だと知らずに見に行き、エンドロールでおお、そうか、と思った。

緊張の続くエンタ―テイニングな筆運びで、とにかく隅々まで絵が美しい(兵士の配役除く)。

「風と共に去りぬ」と同時代の舞台装置がいい。
グリーク・リバイバル様式のプランテーションハウス。
撮影はルイジアナだそうだが、たぶんあの木々の狭間の夕焼けは200年前と変わらないのでは。
ちなみに!この邸宅は現在B&Bになっているとか。
周囲何もないんで、ここだけが目的の旅程になるだろうけど、あの部屋に泊まってパティオから森を眺められるなんて...
http://www.madewood.com/

照明も良かった。
キッチンの朝食シーンのやわらかさ。
電気のない時代の、暗いけどあたたかいダイニング。
生クリームどっぷりのアップルパイがうまそう。

コスチュームもとても面白い。
普段着は普通に着慣れて見えるのに、兵士を招いたディナーに一張羅で出て来ると、ニコールもキルスティンも突如「着られてる」感じになったのが巧み。
意図してか分からないけど。
いわゆる、友人の披露宴になんか余計なものを肩に巻いてくる女子ですね。

そしてそして、ニコールが少女たちに最後の晩餐の開催を宣言した時、口笛を吹いた観客がいて、彼女のTo die for『誘う女』を思い出した。
テレビの深夜映画で何の気なしに見始めて最後まで入り込んでしまい、「なんだこれ、面白すぎる!!!」と何度も見返した作品。
実はニコールのことを、トムがいなければ売れなかった的華原朋美カテゴリで見ていたのだが、To die forで本当に「参りました」と思ったし、実際これからも息長く代表作を増やしていきそう。

本作には祈祷の場面が多いが、ニコールが読んだ聖句のひとつはこれ。
まあ、物語にからんで意味深なわけだけど、自由の女神の台座に刻まれた詩にも似てアメリカ建国の祖に思いを馳せてしまう、私がとても好きなバースである。

すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。
わたしは心優しく、へりくだっているから、あなたがたもわたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。そうすればたましいに安らぎが来ます。
わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです。
(マタイ11:28-30)

あと個人的に、兵士が階段から転げ落ちるのを「あ〜そうなって当然よね」と眺めながら、聖書の次の箇所を想起した。
この物語から得られる最大のtakeawayではないだろうか。男女問わずね。

女はくどき続けて彼を惑わし、
へつらいのくちびるで彼をいざなう。
彼はほふり場に引かれる牛のように、
愚か者を懲らしめるための足かせのように、
ただちに女につき従い、
ついには、矢が肝を射通し、
鳥がわなに飛び込むように、
自分のいのちがかかっているのを知らない。
(箴言 7:21-23)

ン百年前に生きた人たちと同じ書物を読んでるってつくづく感動的だ。

クリント・イーストウッド版は見ていないのだが、両方見た友人によるとコッポラ版はパンチ不足だという。
パンチ。。。そういうものを求める作品ではないかも。

もっとおいしそうな毒キノコ料理は、ダニエル・デイ=ルイスの引退作『ファントム・スレッド』で。

2017年、私が見た映画ベスト5はこちら

ともあれ、To die for。

原作小説の邦訳。

1971年版。

スポイラーどころではないさらし過ぎのトレーラー。