英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Nomadland を家で見た。クロエ・ジャオ × フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』

火星に探査機パーシィを着陸させられても、想定外の寒波が襲った地域で電気を滞らせ、何人も人を死なせているアメリカからこんばんは。
先ほども停電のために酸素ボンベが機能しなくなって1人亡くなったというニュースが入った。
パンデミックを生き抜いてきたんだろうに...。

さて、『ザ・ライダー』のクロエ・ジャオが21世紀の「怒りのぶどう」を撮ったと聞いてとても楽しみにしていた。
ロードトリップを愛するこころに沁みわたるシネマトグラフィ―、映画館で見たかった。

20歳のころ、ある仲良くしていた人に会いづらい状況になってしまい、苦しんだことがあった。
淋しくて悲しくて戻らない時間を惜しんでいたら、私たちのことを何も知らないバイト先の人が適当な感じで「でもまあ、10年たってどこかで会えるかもしれないじゃない?」と言った。
それで私は不思議と救われたのだ。
実際には1年ほどしたら思い出すことさえなくなり、10年目にはどこに住んでいるかも知らず、今後一生会えなくても何とも思わないけど、そのときは、10年という何の根拠もない言葉に、ステートは確実に変わるんだ、と思えて気持ちが明るくなったのだった。
それがこの映画のノマドたちの心意気。
30年前の星の光をこの瞬間に確かに目にしている私たちの希望であり信仰なのだ。

マクドーマンの人物造形は質実でdecentで素敵。
ひとりでフラフラし続けてるなんて人間嫌いの偏屈者なのではとつい思ってしまうけど、彼女はごくまともな常識人。
いろんな人から「うちを頼ってよ、いつまでもいたらいいよ」と言ってもらえるのはそのため。
彼女が、人を見れば微笑を惜しまず声をかけ、コーヒーやたばこやパンを分け、別れるときは丁寧に、でもサラっと別れる、ordinaryな良きアメリカ人だから。
私もあんなふうに人と接したい。

そして~蛇足だけど、言わずにいられない蛇足の話。
『ザ・ライダー』と同じく、エピローグの後のメッセージが要らん要らん要らなすぎ。
作品の中でしっかり伝わってることをダメ押ししなくていいのよ、ネタの何が面白かったのかを説明してるみたいで粋じゃないよ~。
これからもジャオ監督の作品見るときは、感動すればするほどまた余計なこと言い出すんちゃうかとドキドキしてしまうがな...。

判決の記念日ということで、『シカゴ7裁判 The Trial of the Chicago 7』が明日までYouTubeで無料放映中。
今から頑張って見る...。

トレーラー。

TIFFのインタビュー、監督のリラックス度がどんどん上がってくのが素敵。こういう感じにカジュアルに足クセわるい人、うちの街には多い。