英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Living (2022)を見た。ビル・ナイ × イシグロ『生きる LIVING』

イギリス語の愉悦に浸れる作品。
当然イシグロ脚本だという先入観のせいなのだが、『日の名残り』を見ているようであった。

パ〜っと楽しくやってみようぜチャプターはほんっとに楽しくなさそうで、ミス・ハリスとの午後の輝きが映える。
上映前に寄ったピザ店で隣席の女性2人がバレンタインの予定について話していたのだが、1人が「楽しかったのはシングルの女友達4人で一晩中バカ笑いして過ごしたン十年前のバレンタイン。もちろん夫やボーイフレンドとも素敵なバレンタインを過ごしてきたけど、いつも一番に思い出すのはあの日のことなんだよね」と。
わかる!なぜか奇跡みたいに鮮明に感情を記憶しているひとときってあるよね!と自分の思い出を噛み締めていたのでなおさら。

ウィリアムズ氏亡き後の展開は感心しなかったし最後は安っぽかったと思うが、葬儀直後は故人の遺志を引き継ごう!と誓った人たちがあっさりそれを忘れて日常に埋没していき、さらには開き直るところがちゃんと挟んであったのはよかった。
ま、人間としてできるのは宣言をしないこと。あのとき、ウェイクリングが黙ってたのも正しかったよ。
言葉で誓うから罪が深くなるし、まわりへの悪影響も大きくなるんだよ。

ある人にふたりの子があったが、兄のところに行って言った、「子よ、きょう、ぶどう園へ行って働いてくれ」。すると彼は「おとうさん、参ります」と答えたが、行かなかった。また弟のところにきて同じように言った。彼は「いやです」と答えたが、あとから心を変えて、出かけた。このふたりのうち、どちらが父の望みどおりにしたのか」。彼らは言った、「あとの者です」。(マタイ21:28-31)

私がこの紳士のマネをしたいのは、Pleasure is all mineの精神だな。

ウィリアムズ氏を裏であだ名で呼ぶならXXだろうな〜、と想像していたらミス・ハリスのアイデアとビンゴで嬉しくなった。
ミス・ハリス、素敵だったから。
ウィリアムズ氏でなくても、パフェでもなんでもお食べ!って財布取り出すし、いてくれるだけでありがとう、とりあえずお返しさせてくれ!と言いたくなる。

オープンしたばかりの映画館で。
各座席に背もたれ・ヘッドレスト・膝下の角度の自動コントローラーがついていて180度に近いゴロ寝姿勢で見ることができた。ファーストクラスってこんな感じ?

生きる LIVING

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  • ビル・ナイ
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