すんごく良かった。現在、私の今年ナンバーワン。
乾いた砂漠が舞台ながら、箔糸を織り込んだ目の細かい刺繍を見ているよう。
風や光の粒子ひとつひとつが輝いている。
ひたすら華美な「説明」を排除し、事実を描き切った脚本、編集はとても好きですね。
監督が北京育ちのせいだろうか、と言うのは安易かな。
たぶん、dramaな奴が出てこないのが私には快適だったんだろうと思う。
(He/she is drama!と言う時、悲喜劇の主人公ぶって物事を大げさにし、周囲の注目を集めようとするハタ迷惑な人、というニュアンスがあります。drama queenの略かもしれない。本作のメインキャラクターたちはドラマフリーで、ハートは熱いらしいが、頭は醒めてます)
その点、それいらんかったーーー!と思ったのは最後の献辞です。
急にドカンと露骨に解釈が与えられたようで、唐突だった。
芸術や宇宙探索やロデオや...
神は人間を「生活の足しにならない、しょーもないこと」に命をかけるようにこさえたらしい。
その証拠に、そういう戯言に汗を流す人間の姿は真実で、心打たれるではないか。
馬に囲まれて育ったダコタの実の家族3人や、ちょっと頭の足りなさそうな(でも敬虔な)友人たち、みんな何にも逆らわず、素直に大自然に、つまり神に抱かれていた。
他人や異世界との比較(ヒトの不幸の原因)をしない彼らは、大メディア、テレビやネットに触れていないように見える。
いくつかのスマホいじりシーンで、いやいや現代人ですよ、というアピールはしてあるので、フレーム外で外部接触はしているのだろうけど。
あとは、やっぱりヒルビリー要素も感じました。
この1年で、トランプ支持者の気持ちも随分理解できるようになってきたつもりでいる。
2年前は「ありえん、彼に投票する『親』が存在する事実を到底受け入れられない」とまで思ってたからさ。
ヒトが神や他者、死に接し、帽子を取って頭を垂れる姿はこの上なく美しい。
ある祈りの、礼拝のかたち。
カウボーイがカウボーイハットを欠かさないのはそのためではないかと思うほど。
トレーラー。
インディペンデント作品のせいか、まだほとんど宣伝映像がありません。
撮影監督Joshua James Richards(エエ仕事した!)はクロエ監督のパートナーでもあり、2人でカード限度額まで使って撮ったとか。
なんてインディーなの。
この本では、誰を食わせるでもない宇宙開発に人生をかけるってどうよ...と主人公は悩む。
が、スペースシャトルの打ち上げを目の当たりにした彼は滂沱の涙を流しシンプルな決意をする。分かるぜ〜!!
馬をならすのに夢中な青年と言えば、『大草原の小さな家』シリーズのアルマンゾ。
連れ合いになるローラも終生ウマ好きでした。