英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 1917 (2019) を見た。サム・メンデス監督 『1917 命をかけた伝令』

公開から日がたつのに、1人占めしたこともあるようなマチネ$6の郊外の映画館が満員だった。
ゴールデングローブ賞とったらしいし見とくか、と思った人が多いのかな、私みたいに...。

そりゃ戦争を生き延びても無傷では済まないよな、あとの人生も地獄だよな、ということはよく分かった。
今どきは殺傷もきれいな部屋でボタン押すだけだったりするから、むしろいいのか悪いのか。

脚本は良くない。
とりわけランスが死んでからは、ある兵士の1日という縛りのせいで、思い付きをせっせと羅列したような、とりあえず短時間に諸々詰め込んでみました、みたいな様相に。
フランス人女性と赤ちゃんに出会う、川流れにあう、兵士の歌になごむ、とかのシーケンスは特につくりものじみて陳腐。
ミルクを届けるメタファーも、分かるけれど唐突だ。
ひとつひとつは悪くないのかもしれないけど、1日に次々起こりましたと言われるとハイハイとは受け取れません。

古いけど、『ポニョ』の水上で出会ったお母さんにスープをあげるシーンの違和感を思い出したな。
ヘルメットなしであれだけ着弾の中をダッシュしきれるのもねえ...。
むろん非常時だし、そんな劇的な1日はありえん、とは言わないけれど。

プロダクションデザインは素晴らしかった。ドキュメンタリー『彼らは生きていた ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド』で見たのと変わらない塹壕や遺体の山。

1/13追記、
1日縛りのせいで台無しやんと書いたが、考えてみれば、最近よかった『クイーン&スリム』など、多くのロードムービーをはじめとする短いタイムフレームの物語でも人工的だとは感じない作品はたくさんある。
その差はどこから生じるのか考えてみよう...。
ところでアカデミーオリジナル脚本賞にノミネートされましたねえ...。今回のノミニーの中では『パラサイト』『マリッジ・ストーリー』にあげてほしいかな。

トレーラー。