英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Language Lessons を見た。ナタリー・モラレスの『ランゲージ・レッスン』

この題名は見に行かないわけにはいかない。
パンデミック・フレンドリーな佳作だった。カリニョもアダムもマチュアで素敵。

「あなたが思うところの私ってどんな人なの?」

はい、私も男に殴られたんだ...とまず思わされたよ。
実際、日本の会社員時代、自宅トイレで顔から転んで頬を派手にすりむいたとき、翌日は会う人、会う人、ハッとした顔した後に見なかったふりされたからね。
まあ、自分からテヘ!と説明しなかった私も意地悪だけど。
終業時間頃にようやく「顔、どうしたの...?」って小声で聞いてきた上司がかわいかったですよ。
後になって喫煙所で噂になっていたことも知った笑

ドラマ『アフェア』がまざまざと描いていたけど、ほんとうにナラティブって人それぞれなんだよね。
眉毛の上げ下げから、そのとき履いていた靴、声の調子まで、「覚えている」ディテールが異なる。
それは事実(fact)ではないかもしれないけど、その人にとっての真実ではあるのがややこしい。

闘病を公表していなかったチャドウィック・ボーズマン。ある役者は現場のボーズマンを見て、身の回りの世話をやたら付き人にさせている、なんか勘違いしてるんじゃないか?とネガティブな印象を持ったのだそうだ。彼の病死をニュースで知ったときのショックといったら。「私は何も知らなかったんだ」
私たちにできるのは、決めつけてさばかないことだけだ。オープンに。オープンに。

カリニョが子供の頃マイアミに住んでいた経歴を話始めて、「もしや強制送還か?」と思ってしまったが(それも私のナラティブだ)、さすがにそこまで入り組んだ話ではなかった。航空券を買うくらいのお金もあったようでよかった。

2人とも事実上バイリンガルなので、言語の授業が触媒であるというフィクションに無理があり、言語失敗ネタをはさむ以上の面白さはなかったと思う。
本編でも茶化しているように音楽レッスンでも何でもよかった。

でも、教師と生徒の関係、物理的・心理的距離、2人ともそのバウンダリーを意識できる程度に知的、オンラインで話している、という設定ゆえに、英語は口跡はっきり、スラングが少なく分かりやすい("Unprofessional"な酔っ払いトークでさえ)。英検準1級程度でほぼ100%聞き取れるはず。スペイン語がわからない人にとっては半分は字幕だけど。

Happy Hispanic Heritage Month!!!

トレーラー。

SXSWもオンライン。この違和感のなさ。