英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 The Post を見た。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

面白かった!爽快。

スピルバーグ、ストリープ、ハンクス??(げプ)と思わず、ぜひ見に行ってほしい。
そして、こちらの劇場でそうだったように、最後のニクソンの必死な後ろ頭に、大笑いしてほしい。

日本のマスメディアのエライ人が、安さ倍増首相の接待受けてるの、なんでみんなもっと怒らないの?
媒体の不買運動しないの?
そんな主幹の率いるジャーナリズムもどきにお金出す価値ないと思うんだけど。
(ここまで書いて、そもそも新聞買ってる個人が既にほとんどいないのかな、という気もした。実家はまだとってるけど...)
彼らは「矜持」って言葉が好きらしいのに、ジャーナリストとしての矜持皆無だよね〜。

本作のケイとベンも政権と仲良くしていて、それゆえに苦悩も深まっています。
実話として結末を知っているものの、「決断を覆さないでくれ」と祈る気持ちに。

既に見返したい場面がいくつか、すべてストリープとハンクスの対話、そしてやはりキャサリン・グラハムの決断のシーンだ。

そして、70年代の新聞社、活版印刷の現場の再現にも興奮。
ほんの数十年前なのにグーテンベルク時代みたいなシステム。
活字拾うのも大変だけど、あのレイアウトを活版で作るのは気の遠くなるような職人技ですね。
私は2000年頃に東京で新聞の印刷工場を見学したのだが、その時も紙上で切り貼りをやっていて、意外とローテクだなと思ったのを覚えている。
ニューススタンドに数バンチずつボンボン放って「納品」するのは、今も変わらないかな。日本じゃありえないですね。

最高裁の判決文にはつい心動かされた。
ここで力を発揮するserveやgovernという躍動的な動詞も非常〜に訳しにくい。
日本語にはない概念だからこそ「ガバナンス」というカタカナ語が出てきたんでしょう。

Lovingでフィーチャーされた言葉も良かったし、最近では「同性婚禁止は憲法違反」という判断が下された時、私はその判決に友人たちと一緒に喜んだ1人でありながら、「反対派の」判事の文章に唸らされた。

アメリカはロゴスでできた国。

踊らされてる〜と思うだろうか? 私はアメリカの理想を守ろうとするeffortにはいくらでも関わる。
建国の大実験はまだまだ続くのである。

師走です。2017年私が見た映画ベスト5はこちら

キャサリン・グラハムのメモワール、発行当時、今は紙版なきNewsweekで特集が組まれたものです。

トレーラー。

ところで、今年何度もトレーラーを見ることになったDownsizing『ダウンサイズ』、行こうか迷っていたが、マット・デイモンの、セクハラ社会をまるまる体現した発言を聞いてもちろんヤンぺに。まさにこの映画のプロモーションで出た発言だったので、むしろ先に言ってくれてありがとう、という感じ。
今後、彼の作品は見ません。
あれ、実際にセクハラ告発されて「ごみーん」って言ってる人たちよりもはるかにタチが悪いよ。

結局、彼に関係なく『ダウンサイズ』の評判は壊滅的なので(白人ナラティブらしいです。また、「縮小された人たちが住む豪華なミニチュア住宅街」という設定かつ室内シーンが多いため、小さくなってからも普通サイズのシーンとの違いがなく、サイファイならではの楽しみに欠けるとか。それ、トレーラーで分かりました)、どっちにしても行かなかったかな。Suburbicon『サバービコン』も石投げられてたし、ツイてない年でしたね。娘さんたちもいることだし、目を覚ましてくれ。