私はサイファイは見ない。もちろん原作も読んだことないし、これからも多分読まない。
本作はRoger Ebertサイトはじめ、Gravity公開時と同様、幅広い層の人がほめているので何かあるのだろうと思い(実際、Gravityは2度も行くことになったので)、行ってみた。
バカバカしくて良かった。
直近で見たサイファイがGravityなので、ちょっとアレな乗り物とかちょっとアレなNASA衣装とかちょっとアレなコンピュータディスプレイとか「近未来モノのウソ」に慣れるのにやや時間がかかったが、のってしまえばなかなか面白かった。
でも見終わったとたんに忘れる系の作品でもある。
Gravityでは「地球にいられさえすれば何も怖くないわー」という悟りが生まれる程度に宇宙の孤独がありありと描かれていた。本作はさらに地球から離れたところでボッチサバイバル、の話なのに、そういう格調高さはなく、もっとずっとオモチャ的展開。(実際、ゴールデングローブ賞ではコメディ部門に)
(しつこいが)Gravityのような緊迫感がないのは、設定が近未来であるがゆえに、宇宙生活のハードルが低くなってるから。
火星の生活者は酸素の確保のために闘ってはいるけれど、地に足はついている。
シャトルのクルーなんて、シャトル内の「重力があり地球のように過ごせるサロン」に集って、超居心地よさそうだし。
一応パスファインダとかジャガイモを育てるシーンでSFファンは喜ぶんだろうか。
本当はそういう「業界のディテール」がすごく面白いはずなんだよ。
「Shall we ダンス?」のビギナーダンスレッスンのシークエンスが興味深いように。
スティーブン・キングいわく「仕事の話は鉄板」。
でも、本作はベースがファンタジーなので、想像力に感嘆はするけれど、驚きは少なく、共感もわかない。
それにしてもアメリカンはスタアがs**tとかf**kとか言うだけで大喜びするよね。
雲固と言っておけば手堅くつかめる子どものようだ…
実話をもとにした『アポロ13』と同様、本作にも若きサイエンティストを中心に額を寄せ合って前向きにユーモアを忘れずことにあたる、というシーンが満載。ブレイクスルーの鍵になったリサーチャーはパサデナから来たという設定、CalTech生ですね〜。
アメリカはこれからも眼差し若く、宇宙好き、考古学好き、フロンティアを求め続ける国であり続けるんだろうと思う。
今日見たトレーラーの中では、ジュリア・ロバーツのSecret in their eyesと、ジェニファー・ローレンスのJoyが面白そう(但、私の苦手なクーパーとまた共演…)。
原作は、なんと元はウェブサイトで無料公開されていたものが、読者の要望でKindle化>出版されたもの。
アメリカでもまれに見るキンデレラストーリー。
著者のAndy Weirは本当に科学が大好き、でも空飛ぶのが怖いというおっさんプログラマ。
邦訳。
やっぱり『アポロ13』を超える宇宙モノはない。
ヒューストンのミッションコントロールの密度、フライトディレクター役のエド・ハリスがたまらない。
なにしろ実話だし。
向井千秋宇宙飛行士のお連れ合い、まきおちゃんのルポと合わせて読むと面白さ倍増である。
アメリカのシステム設計における危機管理の哲学、もっと言えば人間というものをどのように考えているのかが見えて興味は尽きない。上にも書いたいわゆる「宇宙業界ルール」にも興奮するし、実を言うと私はまきおちゃんの説明で初めて、「宇宙は無重力」が間違ってることを知った。。。
トレーラー。