英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Blinded by the Light を見た。ボス!『カセットテープ・ダイアリーズ』

80年代のイギリス郊外ルートンを舞台にした「アメリカ物語」。
tangibleなブルース・スプリングスティーン入門で、実に楽しかった。
受賞のスピーチでは、Javedくん(素晴らしいパフォーマンス。笑顔もいい)とまったく同じタイミングで涙がこぼれた。

やたらエスニシティにこだわるお父さん。
そのカウンターとして息子が「僕のアメリカンドリーム」という言葉を持ってきて機能していたのが良かった。
でもこれサッチャーの80年代ですからね。現代はどうかと思うと...。今もこの文脈で活きるアメリカンドリームであってほしい。
入国スタンプが押されるシーンでは客席から拍手が。ボスのふるさとへようこそ!

最後の出発シーンさあ、また車がエンコして家族揃って門出を文字通り後押しする...のを期待したんだけど。
さすがにボツになったでしょうか。

Back to school(そう、このへんの学校は盆明け頃から新学期が始まるのです)ですっかり静かになった昼間の映画館で5ドルで鑑賞。

原作。

実は、私が初めてスプリングスティーンの作品にふれたのは Streets of Philadelphia で、この映画で紹介されたような一連の名曲、ヒット曲を超えて今でも一番好き。
3度は見た映画『フィラデルフィア』で知ったか、MTVから入ったかは忘れた。
彼の作風を全然知らなかった当初は「え、これ歌なの?つぶやきじゃなくて?」と思ったものだ。
ビデオもすごくいい。不安定感のある兄弟愛の街の詩情。
不穏なコード進行がHIV感染者の弁護士役のハンクスのまなざしと共にジワジワと。

ハンクスはアカデミー主演男優賞受賞。翌年は『フォレスト・ガンプ』で連続受賞。
90年代前半は、この2作を含めて『プリティ・リーグ』『めぐりあえたら』『アポロ13』と私の好きな彼の仕事が続々公開された。

トレーラー。

映画 The Peanut Butter Falcon を見た。シャイア・ラブーフと『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』

トレーラーを見る限り、P!nkのWalk Me Homeという派手なBGMを使っていることもあり、はしゃいでる作品なんだろうなと思った。
タイトルも「私の好きなやつじゃない」シグナルをギンギンに発しているし。
が、Ebertが3.5/4をつけていたのと、『アメリカン・ハニー』のシャイア・ラブーフの別の役を見たいと思ったので行った。

まあ、やっぱりはしゃいでいた。
特にトレーニングのシーンとかね。

アル中のラブーフはアル中のままでしたが、良かったです。
かっこつけないたたずまいの彼が主人公だったから多少は抑えがきいた感じ。

おとぎ話とはいえ、エレノア(ダコタ・ジョンソン)の設定が拙い。
古い話で恐縮だが、キムタクの『エンジン』で堺雅人が演じた「頭でっかちのエリート保育士」というすごく苦しい人物を思い出した。
あまりザックを心配しているように見えなくて、半端でした。

水の洗礼を受けたのは、ゆるしを求めているタイラーじゃなく、ザックでした。
が、ザックに「君はいい人だ」と言われて涙ぐんだりします。
私が認知症患者から「キレイ」と言われて胸打たれたのと同じ。
ベタなアファメーションです。
キリスト者になれば、「君はいい人だ。君はきよい。生きていなさい」と十字架の上のイエスさまから毎日毎秒言ってもらえるのにね。

ヒーラーが旅先の人物の心を動かしていくロードムービーとして、藤山直美の『顔』を重ねていました。

ケアセンターのお出かけか、20席ほどのハンディキャップゾーンが満員だった。みんな盛大にポップコーンを食べていた。

トレーラー。

ウソをつくことを知らないザックが怖かった、と明かすラブーフ。
作品選びについて「アルゴリズムはない」(ジョンソン)って答えるのはカッコいい。というかいろいろ煙に巻けるな、真似しよう。

映画 Honeyland を見た。蜜の流れる地『ハニーランド 永遠の谷』

今年のサンダンス映画祭で最多受賞を果たしたTamara KotevskaとLjubo Stefanovの手によるドキュメンタリー。
終始、圧倒的な静寂とトルコ語に誘われて瞑想しているような映画体験。

『足跡はかき消して』にも描写があったように、自然に同化してハチに刺されない「気」を身につけることはできそうだなあ、と思った。長年のハチとの交歓によって。
「半分はあなたに、半分はわたしに」。

何度もかれらの背景を横切るヒコーキ雲。
あの人たちが飛行機に乗ることは生涯ないのだろうな...。

ハニーランド 永遠の谷

ハニーランド 永遠の谷

  • ハティツェ・ムラトヴァ
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トレーラー。

映画 Rocketman を見た。タロン・エジャトン is 『ロケットマン』

上映最終日に滑り込む。
タロン・エジャトンは熱演でパフォーマンスも素晴らしかった。

AAAのフレームを使って来し方を説明させてしまう脚本はちょっと安易だと思った。
インナーチャイルドを抱きしめる描写も。

スターの栄光を味わった後で一度も何らかの依存症にかかったことがない人っているのだろうか。めちゃしんどそうだよね...。

ロケットマン (字幕版)

ロケットマン (字幕版)

  • タロン・エガートン
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『ライオン・キング』見に行ってからよく聞いてる『恋のデュエット』はこんな感じに。

本物。キキ・ディーがラブリー。

でも実は、私がこの曲に出会ったのはこちらのルポールバージョンでした。地方ケーブルのMTVで。

トレーラー。

ある姉妹が「日本人」による性的虐待に勝利した話

覚書。いつか、もう少し想像力を広げて思いめぐらすことができるかもしれないので。

キリストが与えてくれた「ゆるし」の力を実践する集会に行った。
そこで、日系2世の女性が証をしてくれた。

彼女は子どもの頃、父親と伯父から性的虐待を受けていた。
父親に風呂場でされることが恐ろしく、伯父の家に遊びに行けば、伯父が布団に入ってくる。
うまく言語化できないながらも母や伯母に恐怖と不快を訴えるとまあまあ、と黙殺されたという。怒怒怒

残念ながらよくある話である。
が、私が複雑な印象を受けたのは、彼女がその鬼父や鬼伯父に言及するたび"Japanese" father、"Japanese" uncle、と言っていたからだ。

数世代前まで外国人という人がむしろ多数派のこの町で、彼女が鬼畜親が日本人であったことをあえて強調した理由は分からない。
無意識に言っていたのかもしれない。

私はそれを聞いて、
「やっぱり日本人ってやつはヘンタイで、性差別が激烈で、元従軍慰安婦を辱め、弱い立場の国に買春ツアーに出かけて...」とイライライライラした。
あれほどJapaneseと連呼していたので、ほぼアメリカ人と思われる他の聴衆の中にも「日本人の性的虐待親」を印象づけられた人も多かったのではないか。
私はアメリカに根を下ろす日系の先達たちに常に敬意を払い、実体験をもって感謝しているけれど、中にはヘンな奴も当然いて、それが悪目立ちしているのだ。

でも、私たちも日系人なんだよね。
日本人親の下にアメリカで生まれ、「日本人に虐待された」と認識している彼女にとってそれがどういうことか、想像もつかない。すごく苦しいかもしれない。

話がそれたが、彼女はキリストにあって自分の血縁者である2人の「日本人」をゆるす決意をした。
以来、悩みの種だった辛いフラッシュバックがピタリと止まったという。
傷を乗り越えて新しい家庭を築けたことが幸せだと涙ながらに語った。

これは彼女の勝利です。生涯を非人間のオッサンに渡さなかったのです。
でも、外野の私は今も腹立ってるし、ゆるせない、と思ってる。
簡単に死ぬんじゃなく、ものすごい恥をみてほしいと呪ってる。
J、弱い私を助けてください。

人をさばくな。そうすれば、自分もさばかれることがないであろう。また人を罪に定めるな。そうすれば、自分も罪に定められることがないであろう。ゆるしてやれ。そうすれば、自分もゆるされるであろう。(ルカ6:37)