英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。Python、Ruby、JavaScript、神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 American Honey を見た。アンドレア・アーノルド監督「アメリカン・ハニー」

私の車内愛唱歌American Honeyがモチーフ、大好きなアメリカン・ロードムービー、そして、主演である新人のサーシャ・レーンがフロリダのビーチの人ごみの中でスカウトされた逸材だと聞けば、見に行くしかない。

良かった。これは今アメリカの精神医療で流行の「マインドフルネス」が実践できてしまう作品。
??(違和感)、!(なるほど)な劇的なカットがポンポン繰り出されるので、一瞬一瞬に集中せざるを得ない。
同時にそれは、もう1回全篇通して見たいとは思わない、という意味でもあるけど(163分と長いし)。

ラジオ番組のプロモーションで、サーシャ・レーンを若者の群れから選び出した理由を当然聞かれた監督は、彼女を見付けた時、「どう表現したらよいか分からないが(それはそうだろう)、just stood out, self-possessed, free」だったと語った。
彼女の魅力は、きよさ。やってることはかなりすれっからしで、薄汚れてても不思議ではないのに一心にきよいのは、クリスチャン的に言うとoneness、常に「自分をささげている」から。そして瞬間を生きている、まさにマインドフルだから。

ただ、彼女が今後役者を志すかどうかは別にして、「誰も知らない」の柳楽くん同様、本作以外の撮り方では生きられない人なんじゃないかと思った。

ほとんど素人の出演者たちの中で、サーシャを旅に引き込むシャイア・ラブーフは、一番メジャーの出演経験があるらしいが、むしろサーシャ同様、素人の抜擢かと思った。ヘタだという意味ではなく、人と話す時にちょっと照れて目をこするクセを意図してやってるなら、あれは相当の技巧者。

彼とサーシャが順番に相手をかばう>寝る、という構図のリピートは良かったなあ。
特に、サーシャが彼のことを鼻で笑ったスノビッシュなマダムに怒るシーンは好き。

この映画で分かったこと。サタン的音楽を聞いた人間は、確実に肉体と精神をやられる。
本作は、ちょっと足りない?と思われる若者たちがワゴンに詰め込まれてタコ部屋生活を送る話なので、随所に大音量で悪魔的音楽をかけてストレス発散するシーンがある。これが本当に見ていて辛かった。
音楽家でもあるうちの牧師が、「音楽は霊的なもの。神から離れる人はたいていヘンな音楽を聞いている」と言ったことがある。つまり、音楽は無意識に深く影響することを知っておけ、という話だ。
その時は「ヘンな音楽」がどういう音楽なのかは分からなかったけど、本作を見て、音楽に影響されて人が向こう岸に行ってしまうことは確実にあるなーということはよく分かった。
というより、悪魔音楽を長時間聞いて平気な時点で、多分どこかイカレてしまっているのだ。

だから、American Honeyを口ずさみながら、それぞれがグラデーションで我にかえっていく場面は、天上の旋律だった(但、彼らはこの後再びinsaneに戻る)。このシーンでしみじみ、「カオ役、新入り役、なんと絶妙なキャストなのだ」と思った。
「ブラス!」のラスト、「最後の威風堂々」に匹敵する音楽シーンだ。

とはいえ、サタン曲は強力で、帰りからずっと毒消しにリストのピアノ曲聞いてる。

American Honeyは、Lady Antebellumグラミー賞受賞アルバムNeed You Now収録。


ミュージックビデオが絶望的にもっさりしてんだよなァ…
この機に楽曲のWiki見たら、クリティークは散々だったようでビックリ。

本作は、私の個人的な2016映画トップ3の1つです。その他2作はこちら

トレーラー。