英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

Goodbyeの語源。オブジェクト指向を生んだ日本語脳。

Goodbyeの語源が"God be with you"だと知って、なぜ今まで気づかなかったのかと感激している。

思えば、Adiosの語源だって"to God"なんだよな。

ところで、ダブルクリックや右クリックを開発したプログラマの中島聡氏の時間管理の著書に、ものすごくおもろいアイデアが書かれていた。

ファイルをシングルクリックした場合、その後ユーザーが選択するコマンドは「ファイルの編集」「コピー」「転送」「再生」など、様々な種類が考えられます。しかしダブルクリックは、文書ファイルなら文書ファイル、音楽ファイルなら音楽ファイルといった対象を選択したうえで、ダブルクリックという操作をするだけで、自動的に「編集する」「再生する」といったコマンドが選択されるのです。

このように、何らかの対象(オブジェクト)を先に選択したうえで動作を指定することをオブジェクト指向といいます。
オブジェクト指向のわかりやすい例として、私たちがいつも使っている日本語が挙げられます。

あなたがテーブルの上の塩を取ってほしいとき、あなたは「すみません、塩を...」まで言葉にしたところで一呼吸置くと思います。それはなぜなら、「塩」という対象を指定した時点で、あなたが相手にしてほしいことは決まりきっているからです。
(中略)
これはWindowsにおけるダブルクリックと非常によく似ていると思いませんか? このようなグラフィカルでオブジェクト指向な機能を思いつくことができたのは、もしかしたら私が当時マイクロソフトで唯一の日本語話者だったからかもしれません。日本人的な会話の作法を取り入れた結果、Windows95が世界を席巻したと考えると、感慨深く思います。

英語で That salt...と言われた時、英語話者の頭に何が去来するのかは想像しかできない。「ハイ、主語ね。塩が何だって?」??
英語として不完全で気持ち悪くはあっても、その場のコンテキストで日本語と同じように通じる気もする。
エレベーターで"12th"(pleaseくらいはつける)と言われて目的格じゃなくても12階を押す、というのは普通だし。

ちなみにこの仮説を2018年に面白がっている私は遅れて来た人である。
もう15年近く前に「日本語とオブジェクト指向」がブログに投稿されて話題になったということだ。
その頃の私はと言えばPCを使っていてもプログラミングのプの字も知らなかったわけで、人生いろんな仕事ができてつくづくおもろいな、尊敬する人が次々増えてありがたいな。

そのほか、仕事のさばき方として「納期までの最初の2日間で界王拳を使う」としきりに書かれており、この人アホだな笑(めっちゃ僭越ですが、賞賛です)と思いながら、以来、自分の作業中にも界王拳イメージが張り付いてしまったではないか。
「ぬおーーーーー」とコンつめてゾーンに入る時間である。彼の指摘どおり、イメージできることは大事だ。

そして、待ち合わせは30分前に現地のスタバでコーヒーを飲むところまで含めて逆算する、とあり、「ココみんな見習え!ココだけでわりと世界で差がつけられるんだぞ!」と思った。
日本人って時間に厳しいと思うかもしれないが、そうでもないですよ。
10分、15分、クセのように遅れる人の多いこと。相手を、時間という財産をナメているのである。
これは、チャラそう、と思っていた(すみません)高城剛氏も白本だか黒本だかで書いていた。
日本滞在期に約束して時間どおりに来た人が1人もいなかった、と。

あと、写経について。しばらくやってなかったけど、また再開しようかなとここ読んで思った。
実のところ、私はPython、Ruby、Javascript等々を日々使っていてもそれらの言語をfluentに使える!という自覚はまだないのだ...

プログラミング言語に関しては、最初はまったく意味がわかりませんでした。けれども雑誌に載っているプログラムをひたすら、幾度も幾度も書き写していると、ある日突然プログラムの意味がわかるようになったのです。

本書は時間管理の実用書で界王拳あたりなど繰り返しも多いのだが、とりわけimpressiveだったのは、パソコン黎明期に新しい世界に積極的にハマって行った彼の来し方、Windows95開発秘話について書かれた部分だった。
結局、人を動かすコンテンツはあまねく「自伝」なんじゃないだろうか。

Goodbyeの語源を教えてくれた深町先生の著書。古本で取り寄せた。

彼女の『思い出のアンネ・フランク』の訳文が本当に好きなのです。
隠れ家の支援者、ミープの声そのものみたいで。