英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

実は18禁?「生まれてはじめて」『アナ雪』ソングライター ロペス夫妻インタビュー その3

「アナ雪」ソングライター ロペス夫妻インタビュー その2から続く

テリー・グロス(TG): 次は「アナと雪の女王」から別の歌「生まれてはじめて For the First Time in Forever」です。この歌の背景を簡単に。
このふたりのプリンセスが育ったお城は、姉エルサが自分の魔法の力によって人を傷つけるのをおそれたために外界から閉ざされています。外の人を迎えることもできません。しかし、女王戴冠式の日、彼女は扉を開き、人々をお祝いに招待しようとします。そこで何も知らずに隔離されてきた妹アナは生まれてはじめて世界に出ることに興奮します。クリステン・ベル「生まれてはじめて」、どうぞ。

クリステン・ベル:(歌)
「窓が開いてる。ドアも開け放たれた。とてもひさしぶり。
サラダ皿は8000枚もあったのね。
ずっと空っぽのホールをぶらぶらしてた。舞踏会の開かれない舞踏会場も。
ついに門があく」
「本当に生きてる人たちがいる。とても不思議。
でも準備はできてるわ。だって生まれてはじめて音楽、光に出会ったから。
生まれてはじめて夜通し踊り明かそう」
「しゃべりすぎかしら?はしゃぎすぎかしら?
もうすっかりハイな気分。
だって生まれてはじめて一人じゃないのだから」
待ちきれないわ」

TG: とても面白い歌ですね。どう考えても大人向けと思われるラインがあります。
(笑)
TG: 「しゃべりすぎかしら?はしゃぎすぎかしら?もうすっかりハイな気分」
(笑)

クリステン(K): そこですか?
私は「舞踏会の開かれない舞踏会場 why have a ballroom with no balls?(訳注:タマの入ってないxxタマ的な...)」のことを言われたのかと思いました。

TG: ああ、なるほど、そこはダブル・ミーニングだったんですね。
でもまずは、私の取り上げたところについて…

(笑)

ロバート(R): すみません、「しゃべりすぎかしら?はしゃぎすぎかしら?でもそういう気分なの」。
繰り返しになるけれど、僕らは「これはガソリンを注入したディズニー・プリンセスだ」と伝えようとしていました。
このディズニー・プリンセスは肉体をもった人間だから、「生身の女の子」を見せる時間が必要なんだ。

TG: 作曲中、そのコンセプトはすぐに見つかりましたか。
それとも、そこに到達するまでに克服すべきハードルがあったのでしょうか。

R: この歌ができたのは制作プロセスに入ってから随分あとのこと。
結果として、ごく短い時間で仕上げなければならなかった。
その前に数か月間、映画をリライトするのしないのという混迷期もあったしね。
でもアイデアが決まってからは、この歌はひとりでにできていったような気がするよ。

TG: 「アナ雪」の楽曲が頭から離れなくなって、繰り返し聞いている子どもたちがたくさんいます。
これらの歌が「すみずみまで覚えた最初の歌」になった子もいるでしょう。
若いときに大きな印象を残した事柄は、刷り込まれるというか、残りの人生に留まり続けるのは科学的にも事実で、その人をつくり上げるといってもいいでしょう。
これらの歌が子どもたちのマインドを形成するのですから、非常に責任重大ですね。

K: 運よく今回はそんなふうに考えなかったわ。ただ、心に響く物語を語りたかっただけ。

R: 悪くない。

K: 悪くないでしょ。

(笑)
K: ほんとに。

R: 本当だよ、影響力のことなんて考えもしなかった。むしろ、ちょっとでも影響力を持てたら御の字、と望んだくらい。

K: そうなの。こんなふうになるなんて思いもしなかったから。ビックリしています。

(その4、「雪だるまつくろう」秘話につづく)
その1 Let it Goは1日半で書き上げた!「アナ雪」ソングライター ロペス夫妻インタビュー
その2 プリンセス神話に異議あり「アナ雪」ソングライター ロペス夫妻インタビュー

西海岸のアニメ業界で仕事したい!と思ったら、まずこの本。
「まずは現地を見る」など、ディズニーとピクサーのやり方にはそもそも共通点が多々あったことが分かります。

<追記>
Creativity Inc.の和訳本。

2014年4月10日放送 NPR Fresh Air
Songwriters Behind 'Frozen' Let Go Of The Princess Mythology
http://www.npr.org/2014/04/10/301420227/songwriters-behind-frozen-let-go-of-the-princess-mythology

こちらもどうぞ。
ジェニファー・リー「アナと雪の女王」監督に聞く