信頼するレビュワーたちが揃って「悪くはないけど、監督の過去の秀作(Get Out、Us)に比べると...」と言葉を濁す。
確かに1度見ただけで鮮明にキーのせりふを(ルピタ・ニョンゴの"We are Americans"!)、恐怖の感情を記憶している2作に比べると、とっ散らかっている印象。
映像に魂を売ったホルストのように、ピール監督も趣味に走って好きに撮ったんだと思う。
"deserve impossible"と言えるのは売れっ子だけだから、アートにとってとても良いこと。
前作から社会派ホラーを期待して「お、今回はドーブツの復讐か?」と思った私は安易すぎた。
「現れる」ときの数々のシンボル、サウンドエフェクトが最高。
エンジェル君を生かしておいてくれたのは嬉しかった。
彼は妙に意味深なキャラクターで、鉄条網にからまれている姿なんかFirst Reformedでも見た殉教者そのもの。
それから、いきなりホルストのアシになって卓上暗室でフィルムを取り替えているところに個人的な思い出を喚起させられたので。
Usではエレミヤ書が織り込まれていたが、今回はナホム書がエピグラフ。
わたしはあなたに汚物をかけ、あなたをはずかしめ、あなたを見せものとする。(ナホム書3:6)
さて、この映画における「わたし」とは、「あなた」とは。
トレーラー。