英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Wildlife (2018) を見た。ポール・ダノ × ゾーイ・カザン脚本『ワイルドライフ』

リチャード・フォードの同名小説をポール & ゾーイカップルが脚本化、『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』と同様にモンタナの絶景を借りた文学作品。

ワイルドライフ(字幕版)

ワイルドライフ(字幕版)

  • キャリー・マリガン
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またまたホッパーの名画を思わせる「頑張ってるカット」はいろいろあったけど、お連れ合いのジャネットにはイライラしたわ。
ジェイク・ギレンホールが出稼ぎに行った後、あまりに急激に蓮っ葉になり、全くついていけなかった。
最近、何かに操られちゃってる人の話ばっかり見てるなーと思った。
もう大画面で酔っ払い見るのうんざり。

彼女のハタ迷惑な豹変には何の伏線もなかったと思うのだが、たまたま昨日、村上春樹の『眠り』を読んだところだったので、「このトチくるった人にも一理あるのかもしれない...」とも考えてしまい混乱した。

あと、息子くん(エド・オクセンボールド)はちょっと重すぎたかな。上手だけど。

なぜ『眠り』を収めた短編集『TVピープル』を唐突に買って読んだのかというと、川上未映子氏が村上氏に話を訊いた『みみずくは黄昏に飛びたつ』で興味をひかれたから。

村上 あれは「ニューヨーカー」に載ったんだけど、その頃、僕はまだアメリカではほとんど名前が知られてなくて、読んだ人の多くは、ハルキ・ムラカミって女性作家だと思っていたそうです。実際、女の人から「よく書いてくれた」ってファンレターが何通も来て(笑)。

ついでに、この珠玉のインタビュー集の最後。

村上 どれだけ本を焼いても、作家を埋めて殺しても、書物を読む人を残らず刑務所に送っても、教育システムを潰して子供に字を教えなくても、人は森の奥にこもって物語を語り継ぐんです。それが善き物語でさえあれば。(中略)
たとえ紙がなくなっても、人は語り継ぐ。フェイスブックとかツイッターの歴史なんて、まだ十年も経ってないわけじゃないですか。(中略)
それに比べれば、物語はたぶん4万年も5万年も続いているんだもの。蓄積が違います。恐れることは何もない。物語はそう簡単にはくたばらない。

聖書物語に信頼を置いている私にとって、目の前が明るくなる村上氏の預言でした。
ちなみに村上氏はリチャード・フォードの短編をいくつか翻訳しています。いかにも〜

原作。

トレーラー。