英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Beatriz at Dinner を見た。サルマ・ハエック『ベアトリス・アット・ディナー』

(私史上)今年一番の劇場大入りで驚いた。
ニューポートビーチの一軒家を舞台にしたなかなか面白い企画なのだが、トレーラーの"Did you come legally?"に反応して見るとやや期待はずれかも。

誇り高き移民 vs. レイシストのリアルな対話が見られるのかな?と思ったらちょっと違った。
ベアトリスの「生き物の痛みさえ感じ取れるヒーラー、ややKY」、ダグの「ニュースにも取り上げられるほどのクラッシャー不動産王、猛獣ハンター」という設定が壮大過ぎて、ファンタジーっぽくなってしまっていた。
レイシスト問題に注力し、金持ち度も低めにして小さくまとめればよかったのに。
もちろん、人、土地に敬意を払わない態度がすべての根源なのは理解できるのだが。

夕食が始まる前までの7人の会話はとても楽しく、ブラックコメディとして不足なし。

随分前になるが、初めてグリーンカードで再入国した時、イミグレで "Welcome back to U.S." と言われてすこぶる嬉しかったのを覚えている。
あえて日本語で言えば「おかえり」だ。
しかし、ここに描かれているのは不本意に移民して故郷に心を残す人と大国ジャイアンアメリカの不幸な関係である。
最後に答えは提示されない。ていうか、最後ムチャ。観客のムードも...「不満」といったところ。

(豪邸が火事になることを期待した観客は多いと思う。そういう伏線少なくとも3回あったし)

スペイン語台詞に対する英語字幕が重要なところで省略されているのが効果的(弾き語りの歌詞、メイドさんとの対話)。

サルマ・ハエックという役者さん、初めて知った。
第45代大統領に口説かれて足蹴にしたそうですね。エキゾチックフェチとレイシズムの関係は複雑。
下世話なことを言うと、ナイスバディという古語は彼女のためにある。
ドレスアップしたパリピの中で1人モッサリしたカッコながら際立っているのだからホンモノだ。

これが問題の?トレーラー。