英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Roomを見た。 ブリー・ラーソン『ルーム』

5年前のベストセラー、エマ・ドナヒューのRoom(邦題『部屋』)映画化。

何となく似た作風(と私が思っている)『ラブリーボーン』の映画化作品が超駄作だったので、本作も興味なかったのに、評価が妙に高いので行ってみる、といういつものパタン。

上映館がしぼられていることもあり、定員30人の映画館満員。
マチネなので高齢者多く、「原作は読んだか?」という話題でわぁわぁ。(読んだ、という人が多かったようだ)

「子どもとドーブツにはかなわない」というのは、かれらが神に近いからだよな、と改めて思った。

ルーム(字幕版)

ルーム(字幕版)

  • ブリー・ラーソン
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原作は実際の事件をモチーフにしたフィクションだが、この映画を見て、クリーブランドの10年監禁事件のサバイバーが書いたメモワール、Hopeの、閉じ込められた空間で子どもを育てる生活をずっと思い返していた。というか、まさにその映画化、といってもいいくらい、親の工夫が同じだった。

また、この作品は、逃げただけでめでたし、めでたし、とはいかない。「脱出、その後」にもかなり時間がさかれていて、こちらも同じクリーブランド事件のFinding Me: A Decade of Darkness, a Life Reclaimed: A Memoir of the Cleveland Kidnappingsを想起させた。問題があると思われる親からその子どもを引き離すことについて。
アメリカはそのへん超プラグマティックで、とにかく引き離す。当然、子どもも親も一緒にいたいと言うが、それでも引き離す。後で子どもが最悪の結果に陥る可能性が少しでもあるなら、生き別れの悲痛を味わわせるほうをとるのである。

こまかいことは書けないが、実際私のまわりにも、ある事故をきっかけに「親権者として問題ある可能性あり」として告発されてしばらくぶち込まれ、今も監察が付いている友人がいる。子どもは「親は何も悪くない」と言い続けている。

ジャックが、髪を切ってくれたグランマに I love you と伝えるところはハイライト。ジャックは大丈夫、なのだ。

ラストはちょっと説教くさいかも。
安部公房の『砂の女』 などでも描かれたテーマ。
でも彼らには「終わらせる」必要があったんだよね。

原作たち。

文庫版の装丁の「部屋」イメージがあたたかい件。

ラブリーボーンも原作はとっても良かったのよ。原書は「英語学習者業界」でも人気でした。

トレーラー。