『大草原の小さな家』シリーズに、すばらしい翻訳で出会えたのは幸せだ。
今も毎日のように車内でaudio bookを聞いているが、好きな翻訳で脳内アフレコしてしまう。
私がいちばん気に入っているのは鈴木哲子訳。
知る限り、『大草原の小さな町』『長い冬』のみ、(私は『はじめの四年間』はシリーズ外だと思っている)インガルス一家が「妙な訛りのある人たち」にされているので、ドラマに親しんだ人などはちょっと面食らうと思う。
Paはとうちゃん、Maはかあちゃん。
メリー(そう、メアリでなく)は妹を「ローラちゃん」と呼ぶ。
それに慣れると、ローラが大人へ脱皮していくハイライトをとても力強く感じられる。
「かあちゃん」の語り口もいい。
「まねごとでも、よしにしようじゃないか」なんてね。
でもさすがに絶版になっているのは、しかたないことかと思う。
次に最初に全シリーズを読んだのはこだまともこ、渡辺南都子訳。
「現代語」であり、今の子どもが読んでもなんの違和感もないはず。
が、鈴木訳を読んだ後では愛が足りない気がしてくる。
また、ところどころ誤訳あり。
「あれ??筋が通らん」と思うと、仮定法が間違って捉えられていたりする。
版を重ねているのだろうから、今は修正されているかな。
こちらの図書館に置いてあるのは恩地三保子訳。
これもわりと淡々。
でも『農場の少年』のたべものの描写など、この人がいちばんいいかも。
谷口由美子訳はさらっとしか読んだことがないのだが、こだま、渡辺訳とほぼ同じ雰囲気。
『長い冬』の巻の良さに気づいたのは大人になってからのこと...