英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 The Founder を見た。マイケル・キートン is『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』

もう一度、スティーブン・キング大先生の金言を。「仕事モノは鉄板」
面白かった。レイの不動産ビジネスではなく、マクドナルド兄弟が語ったマクドナルドの始まり物語が。
そして、50年代の店舗、庶民のレジャー、素朴な顔立ちの子どもの再現が。

「マクドナルドの業態との初めての出会い」の描写は実に興味深い。
ファストフードネイティブには想像もつかない驚き。
初めて横浜に鉄道が開通した時、最も多かった忘れ物は、乗客がホームに脱いで行った履物だった…とか。そういうレベルの発見だらけ。
そして、その手の革新をどっさり生み出したのはひたすらアメリカ人なのだ。
農民を信頼した売り掛けのシステムしかり。
購買客を信頼したスーパーマーケットのシステムしかり…
このへん、聖書がOSに入ってる人たちならではの思考が背景にありそう。

そして、「マクドナルド繁盛記 day 1」はアメリカンファンタジーでよかったな〜
商売がふるわず、店内でマクドナルド兄弟が今後の相談をしていたところに子どもが1人、ハンバーガーを3つ買いにくる。
追い返すにはあまりにかわいい子だったのでハンバーグを焼いて渡す。
小銭を差し出した小さな手を、そっと折り返す。
そこで天使がウィンクをしたかのように、歩き去る子どもの背中を背景に、あちこちから客を乗せた車が次々と…
果たして、フランチャイズ化でこの物語は、守られたのだろうか?

レイの不動産業創業記については…特に言うことはありません。
兄弟の説得に、各地のロードサイドで見てきたものを熱くキャッチーに語るのが印象的だった程度。
まあにくめない人ですよ、彼は。
でも商売以前に、結婚をけがす人は尊敬できない。
それにしてもローラ・ダーンは最近かわいそうなヒト役ばかりだな…

活気ある厨房シーン、人びとがバーガーにかぶりつくシーンがたくさん出てくるけど、不思議と、「ハンバーガー食べたーい」という気分にはならなかったな〜
久しぶりにシェイクは飲んでみたいかも?と思った。
それもIn-N-OutやHabitなど、「本物のミルクを使ってます」が売りのチェーンや、個人ダイナーで。
イメージは「ミルクセーキ」ですね。
本編の最後でマクドナルドも結局ミルク使用に戻した、と言われるけど、シェイクベンダーの清掃をしていた元バイトとして言うと、あそこのシェイクはヤヴァイです。

わりと映画館込んでたけど、ひととおり賞狙い作品が揃った後の作品枯れの季節だからな...
私みたいに、めぼしい話題作は見終わって、残った中で一番星が多かったのが本作だったから来てみた、な人が多かったのでは。

ロバート・シーゲルが脚本を書く際のソースとなったレイの自伝。

原書の発表は40年前ですが、邦訳が出たのはわりと最近。
邦題がすごいことになってます。柳井さん、孫さんと絵に描いたような面子による解説が。

トレーラー。