20年ぶりに"The Bodyguard" 『ボディガード』を見た。ホイットニーのお母さんのメモワールを読んで、また見たくなったのである。
レイチェル(ホイットニー)が、街中の危険を避けるため、フランク(ケビン・コスナー)、姉親子と共に雪におおわれた森の中、フランク父の小屋に身を寄せるのは好きなシーン。
キッチンで夕食の準備をするフランク父とレイチェルの会話。
フランク父: Frank tells me you're a singer.
レイチェル: That's right.
フランク父: I'm afraid we're a little out of touch here. I'm sorry. You must be very successful to need Frank.
うまいこと言いすぎだろう!
つまりフランク父は、「アイドルとか疎くてさ、あなたのこと知らなくてごめんよ...」と言いながら、歌手としてのレイチェルとボディガードとしてのフランクを同時に最大限かつ効果的に賞賛できているのである。
同じようなセリフを田口ランディ氏のエッセイでも読んだことがある。
彼女は友人に「おまえ、明るくていいよな。親からいいもんもらったよな」というようなことを言われ、自分だけでなく、親や育ちも褒めてもらったようで、とても嬉しかったという。(出典不明のため曖昧です)
素敵な褒め言葉のせりふをもうひとつ。
"What's eating Gilbert Grape"『ギルバート・グレイプ』から。
ギルバートのダラダラ不倫の相手だったベティさん、夫の不審死を経てついに町を発つという別れの朝。
ベティさんはギルバートのバイト先の店を訪れる。
ベティ: So, Gilbert... what's to become of you?
ギルバート:Oh, I’ll... probably just. . .
ベティ: You haven’t thought about it. Poor Gilbert. All cooped up. Taking care of everybody else, forgetting all about you.
ベティの息子:Mommy.
ベティ:Mm, Mommy is coming in a minute, honey.
ベティの息子:Okay.ベティ:Concerning my boys... I was thinking that if my boys turn out anything like you...
(ギルバートの新カノ、ベッキーがたまたま店に買い物に来る)
ベッキー:Hi.ベティ: I was thinking how that would be nice... for my boys to be like you.
本当にどうしたらこんな素敵なセリフが書けるのか分からない。
ベティさんは数日前、ギルバートに「なぜオレを選んだ?」と聞かれ「あなたなら町を去らないと思ったから」とヒドイことを言っている。
それに続いて、この別れのときも、
「アンタの人生は家族の面倒をみて終わるのね」と見下げたかと思いきや、
「うちの子たちがあなたみたいになってくれたらいいなといつも思っていた」と、心から微笑む。
この短いセリフの中で、「自分が思ってもいなかったことが口から出た、いやまさにそれが私が望んでいたことだ...」と、確信を深めていく過程を表現したベティの中の人、メアリー・スティーンバージェンも素晴らしい。
素敵な褒め言葉には真実が宿っている。
「あ、あれ見たいな」をインスタントで購入し始めると、ダウンロード版のないビデオは面倒で買わなくなる。
原作小説の著者ピーター・ヘッジズはフィルムメーカーとしても知られ、『ベン・イズ・バック』では息子のルーカス・ヘッジズを主演にペンとメガホンを取っている。