異色のR指定長編お人形さんアニメ。
さすがにコマ撮りのお人形さんセックスシーンを見たのは初めてである。
チャーリー・カウフマンらしい救いのない脳内完結作品。
啓発本ライターのおっさんのシンシナチでの一夜を描く。
マチネとはいえ、週末の、上映館が限られた中で客席は私含めて3人ポッチ〜
それぞれ1人で来てたところからしてもどういう映画か分かろうというもの。
(実際、誘っても断られた)
見た人の評判は非常に良い。
特に大人向けアニメの場合、「これアニメにする必要ある?」というのが気になる。
例えば、古い例で恐縮だが『おもひでぽろぽろ』はアニメで表現する必然性があったか?というとなかったと思う。
本作の場合は、「なるほど、これはアニメだから見られるんだ」と思わされるところ多し。
何はともあれ、ディテール。
おっさんが疲れてホテルに着いたらどういう行動をとるか、ルームサービスの電話のボタンに迷ったり、氷を取りに行ったり... そんな細かい描写がいちいち積み重ねられて斬新。
Inside Outでも書いたけど、「本物より本物らしい」のは感動を生む表現の条件だと思う。
ESQUIREが「人間は1人も出てないのに、今年最も人間らしい映画」と評したとおり。
声の演出には見る者に違和感を与える仕掛けがしてあり、リサの登場に光を感じるのと同時に、絶望が最後までボディブローのようにきいてくる。
めくるめく一夜を過ごした翌朝、卵の食べ方を注意されるとかイヤ過ぎる。。。
今の時代、何を見ても「CGか」と思われちゃうのでもったいないのだが、キャラクターは3Dプリンター製。「ウォレス」みたいに1コマ1コマ人形に動きをつけたストップモーションアニメなのです。
メイキング映像にはため息が出た。
あと、アニメ作る人はやっぱりどこか日本につながってるんだなと思わされる描写がチラホラ。
リサの自分語りのセリフとかね。
最後に彼女のニックネームとなったAnomalisaは日本語で天上の女神って意味なんだ、っていうビックリ発言が出てくるんだけど、天照のこと?百歩譲っても全然違くない?彼女の辞書がダメなの?誰かおしえて。
もーもたろさん、ももたろさん(日本人形の設定なのに、たぶんジェニファー·ジェーソン·リーが歌っている)
英語は平易、シンディ·ローパーのGirls Just Want to Have Funの歌詞さえおさらいしておけば、高校修了者ならほぼ100%理解できると思う。
アニメ作品はおしなべてそうだけど、いわゆる寿命の短い言葉がほとんど使われていないので、「おっさんとリサの寝物語チャット」みたいなとりとめのない会話でも分かりやすい。
R指定としては初めてのアカデミー長編アニメーション賞ノミニーに。
ゴールデングローブはInside Outにとられたけど、こっちはどうかな。
日本語は字幕版、吹き替え版あり。
こんな作家さんがメジャーとして生きていける国、アメリカ。
ちなみに、彼はわりとご近所さんらしい... gkbr
シンディは私の英語の先生の1人。神戸のCD屋でこれ買ったの覚えてる。