英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

祝福された人生 Walter Isaacson's "Steve Jobs"

今更ではあるが、この本を読まないなんてあり得ない。

IT黎明期の巨頭が活躍する地に生まれ、それらを惜しみなく利用した青年時代。
たくさんの「夢中な人々」との邂逅。
シリコンバレー勃興の渦が活写されていて、大変興奮した。

スティーブののびのびしたキカンボぶり、すべてをしゃぶり尽くすエンジョイぶりといったら、笑って、泣いて、恋をして、人生はたからもの、と
昔の映画のキャッチフレーズがくるくる私の脳裏をよぎった。

彼は早くに教会には愛想をつかし、禅に影響を受けたと言っているが、ヤコブのようにすべてを望み、つかみとるところ、彼独特のReality distortion field(現実歪曲空間)なんて、"Walk by faith, not by sight"を地でいっており、わりに聖書的な生き方だと思った。

パウエルとの成功した結婚にも憧れる。
「もう少し家族のほうを向いてくれたら」という彼への不満は随所に書かれているけれど、パウエルやこどもたちは、心から彼を尊敬している。

また、アップルの人びとの働き方を読んであらためて、寝食忘れて仕事に打ち込む時期が与えられるのは大きな幸せだと思った。
新卒のときから、「9時5時で...」「休みは...」「残業代は...」なんてことばかり気にしているのは、大変なハズレ人生である。

この本の登場人物の中で、私は誰の仕事のしかたをハッピーに思うか。
ウォズニアックだ。
作り上げる力がずば抜けているので、苦手なことにまで手を出さなくてもまわりが適当に大切にしてくれる。
ただ、好きなこをとやれと応援してくれる。
スティーブや大勢の才能とブレストしながら、仕事に夢中で打ち込む彼は実に楽しそうでうらやましい。
ノーベル田中さん的で、日本人は彼に共感を覚える傾向がありそう。

ヤマザキマリ先生の漫画版は最終巻だけ買って読んだ。
長編ものの「1巻」ってなんか読むの面倒くさくないですか?