秀作。マルタの賢者の贈り物。
息子の命を救うためにEUにアイデンティティを売った父親は、同時に息子に語る物語も失ってしまったことに気づく。
ルッツの舳先でにらんでいる目をくどいほど映すカメラ。
あれだけ船の守りがいかついのに、さらにカトリックの祈りをまぶすカルチャーマッシュアップぶり。
グローバル化に取り込まれ、温暖化で漁業の状況も悪化するマルタ(「気温がどんどん上がって魚なんか減る一方じゃないか」)。ここでも仕事語は英語。生きることを選んだ人たちからはマルタ語も消えかけている。
最近たまたま闇漁の記事を読んだばかりだったこともあり、漁師、競り市の「お仕事もの」としても大変面白かった。
オンライン販売は手数料がかかる&券売機のない映画館なので、久しぶりに人のいる窓口でチケット購入した。「ルッツください」で聞き返され、アワアワと「発音のしかたがわからんくて...」と言ってタイトルの掲示を指さしたら、「あ、私もわかんない笑」だって。
トレーラー。