英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Hope/Håp (2019) を見た。Maria Sødahl監督『ホープ 希望』

たいへんよかった。
不治の病に向き合う人間をモチーフにした映画は数あれど、少なくとも日米にこういう断絶ギリギリの絶妙な距離感(対病気でも対人でも)を描ける人はいないのでは。
北欧の徹底したほの暗さも、この人たちの他者への敬意のはらいかたを浮かび上がらせるのに貢献している。
6人の子どもたちも、主人公の目線を通せばとことん成熟した「他者」。

内田樹が、愛と敬意は相反するものであり家族に必要なのは愛ではなく尊敬することなんだ、というようなことを書いているのを読んで疑問を感じたのだが、この映画を見て、敬意こそザ・愛じゃないかと改めて思ったよ。

「余命3か月と知って長年のパートナーとの結婚を決めるんだよ」という筋だけを聞くと、I'm good と思うかもしれないが、絶対裏切られるのでぜひ体験してほしい。

フィクションではあるが、オスロの医療従事者の勤務事情が垣間見られたのも興味深かった。

トレーラー。