英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Herself (2020) を家で見た。フィリダ・ロイド監督『サンドラの小さな家』

アイルランドさあ、暴力夫が子どもに面会できるの? なんで???
法廷で判事が被害者に対して「(DV夫から)何故もっと早く逃げなかったのか」とか聞くわけ? ほんとに???
一方で避難した女性と子どものシェルターはホテル宿泊を続けられる程度に保証されていてなんだかチグハグ。

ろくな伏線なくいきなりええこと言い出した人が何人かいてちょっと戸惑う。
特に地主のドクターは途中から別人になっていった。
それから、音楽がひどすぎ。音楽のせい(選曲、オンとオフのタイミング、音量)で白けた箇所複数あり。

よかったのは、
This is what the volunteer work looks like.
が描かれていたこと。

サンドラの家づくりに昨日までは知らなかった人も含めて大勢が集まる。
ひとりひとり、楽しそうに自分のできることに力を尽くす。
楽しみすぎて「真面目にやれ」と親方に怒られたりもするが、それですねて辞めたりしない。
家が仕上がった暁にはゆるいつながりの素敵なファミリーになっている。
手伝ってくれないか?と言ってもらえるのは新しいコミュニティへのいざないであって、とても嬉しいことなのよね。

同時に、クラファンでは「結果が可視化されるプロジェクトのほうが資金が集まりやすい」というのも納得だ。
自分が手を貸すことで、子どもたちが安心して暮らせる家ができるんだもの、tangibleでいいよねぇ。

学生の頃、意識高い人々に囲まれて海外ボランティアに興味を持った。
そこで参加したあるNGOのワークショップで「現地で求められているような専門性もない若者が行くことにどんな意味があるのか、奉仕活動をしたけりゃ身近にいくらでも問題はあるのに、海外まで出かけるのは自己満足にすぎないのでは」というよくある問いについて話し合った。
いろいろな声が上がったが、印象に残ったのは、あるアクティビストの「社会を良くするファクターのひとつは人と人とのつながり。ボランティアはどんな人であれ、そのつながりを広げたり、濃くしたりする因子だから1人でも多く関わったほうがその場に利をもたらす可能性が高まる」という意見だった。

(但し、日本のパソナが召集するところの「ボランティア」には要注意。五輪とかね。つながりはできなくはないだろうけど、構造的には搾取に加担することになります)

「お仕事物語」として楽しめるくらい、家づくりの粋をもう少し説明してもよかったかも。
わずか2人で小屋を建てていた『大草原の小さな家』の大人たちのすごさを実感する。

今回、本作を見るために初めてプライムビデオに入った。
DVD郵送レンタル業だった黎明期のネトフリを2か月で退会して以来、こもり期の昨年さえ全く手を出さなかった映像コンテンツのサブスク。
Modern Loveはじめ、気になっていた独占タイトルを1か月で全部さらうぞー。

1/13追記、こんな記事が...。
アイルランド母子施設で子ども9000人死亡、国が公式謝罪
愛蘭土に勝手にのんびりしたイメージを持っていた(「汽車にのってアイルランドのような田舎へ行こう」と連呼する合唱曲があってだな)が、意外なところでカトリック国は闇深し。

トレーラー。