高解像度で綴られたゆるしの物語。
この内容で2時間もひきつける弱冠31歳の監督の手腕に舌を巻く。
観客の没頭ぶりは、悲劇のシーンで上がった、今まで映画館で聞いたことのないような腹の底からの悲鳴にあらわれていた。
自分の目には『ムーンライト』の残像も多いに重なっていたと思うけど、この物語の舞台が南フロリダであることには必然性があった。
私が初めてかの地に行ったのはもう30年以上前。とにかく砂が白かったのが印象に残っている。あとワニ沼に落ちかけたこと...。
世界の広さを知らないティーンズライフが小さな悩みでめちゃくちゃ翻弄されるのは想像つくけど、主役のタイラーはあまりに甘ちゃんボンの卑怯者でわりと驚いたかも。
エミリー章、ガン患者の登場は唐突でしたが(監督の実体験に基づいているらしいけど知ったこっちゃない)、誰もがゆるすことを覚えなきゃいけないからね...。
起きるべき神の計画だったのでしょう。
デビルよりもモンスターよりも罪ぶかき存在、われは人間なり。
憎しみは争いを起し、愛はすべてのとがをおおう。(箴言10:12)
ひとつ小ネタでメモしておきたいのは、風呂場でハンバーガーをかじる絵(しかも泣きながら)が新しかったということ。
ところで、ルーカス・ヘッジズくんのキャリアの積み重ね方はスマートだよねえ。職人ぽくもある。
エミリーをデートに誘う場面、すごく良かった。
(後で「アレクシスの仇〜」とか言って豹変しないか少し不安になる誘い方でもあった。そういう映画じゃないと知りつつ。)
トレーラー。