英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Pain and Glory / Dolor y gloria を見た。ペドロ・アルモドバル監督『ペイン・アンド・グローリー』

英語字幕で鑑賞。
冒頭、墨流しの上に流れたテロップの余白の素人くささから始まって、
全体的に作りが安い...。
タイトルそのものも。ペイン・アンド・グローリーて。

ただ、最後にちょっと仕掛けがあるように、「(特に回想シーンは)あえて紙芝居っぽく、つくりもの感を演出したんだよ」と言われればそうなのかも、とも思う。

アントニオ・バンデラス(本作でカンヌ最優秀男優賞)、ペネロペ・クルスというスターシステムへの飽き感もあり。

それから個人的にドラッグ依存話にいい加減ウンザリしているということもある。
どんどん悪魔に抗えなくなっていくあの感じ。
幸いサルバドールは吸引手前まで用意するけどやっぱり引っ込める、というあり得ない所業ができ、仕事にも復帰できたようだが、稀有な例だと思う。

たまたま映画館に行く前に知人に会い、30代の近親者がオーバードーズで亡くなったこと、今後生きていても良い展望は描けないから神が思い余って召したのだろう、というそれまでの彼の苦しさを見ていたからこその親御さんの言葉を聞き、MJやホイットニー・ヒューストンを思い出していたところだった。

もう20年前、『オール・アバウト・マイ・マザー』を飯田橋のギンレイに見に行って以来のアルモドバル作品。
ペネロペ・クルスが初々しかったこと、ラストのキメ視線しか覚えてないけど。
ワンカットでも記憶に残っているだけで、(私にとっては)すごい作品なんだけど。

10/5 追記、
先ほど聞いたラジオの批評で。
監督は常々女性のチャネルを通して物語るのが得意。本作の主人公はいまいちグリップが効いておらず、同様の流暢な語りはできていなかったよね、とのこと。
『オール・アバウト・マイ・マザー』しか見ていない私でも、そうかもしれないなと思った。

トレーラー。