英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Eighth Grade を見た。2018年暫定ベスト!ボー・バーナム監督『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』

大大大大大大拍手。最高。ジーニアス。
カイラの最後のセリフで満員の劇場がポン!と浮き上がったのを感じた。
スキップして帰りたかった。

ジャスティン・ビーバーのようにYoutubeでキャリアをスタートさせたボー・バーナム監督、そして主演エルシー・フィッシャーちゃんのみずみずしい覚醒を寿ぎたい。
嬉しくて嬉しくてたまらない。

後で気づいたんだけど、話の構成は完全にEdge of Seventeen 『スウィート17モンスター』と同じなのね。

でも、「男の子と車内で2人になってなんか不穏」のシーン(怖い)も、そこから大ショック(うろたえる父親の気持ちも含めて分かりみマックス)への流れも、「自分を思ってくれる身の丈にあった男の子とのデート」も、「大人との邂逅」も、Eighth Gradeはその百万倍感性が細かくて、役者間のコミュニケーションが緻密で、グイグイグイグイ共感させられるのだ。

そして配役が匠の技! エルシーちゃんが玄人を超え仙人の域に到達しているのはもう言うのも野暮ですが、「身の丈ボーイ」「ワルい高校生男子」とか一体どこで拾ってきた? 

かつてスピードスケートの清水宏保選手が、自分にはトラックにスーッと線が走るのが見える、完全にその線に沿って滑走できた時に記録が出るのだ、というようなことを言っていた。
この作品は、監督に見えた線、それもすっごくほっそーーーい線に、みんなが極限まで正確にのっかれた奇跡だと思う。
お父さんは特にそれが顕著でした。その線を1ミリでもはみ出ると、スケベ心が見えて滑ったり、娘への愛が感じられなかったりしたはず。

だから、この映画に関しては外国語への吹き替えはありえない。
クルアーンじゃないけど、アメリカ語以外のEighth GradeはEighth Gradeではない。
本当に実のある言葉なんて5%も語ってない、かつフィラーだらけ(I'm like, like, like...)ということもひっくるめて、エルシーちゃんの発話でなきゃダメ。

デジタルメディアのなじませ方も実にうまいですねえ。
『ガールズ・トリップ』『ラブ、サイモン』、『アニー』では、SNSが話を転がすのがショボくて軽くて手抜きで耐えられなかったが、本作ではみんなが最初から最後までスマホ握ってるのに全く気にならない。驚異!

ああああ、ええもん見せてもろうた! もっかい映画館で体験したい!

ingoditrust.hatenablog.com

トレーラー。

監督とエルシーちゃん、まるで兄妹やな。