英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

映画 Southside with You を見た。オバマ夫妻、世紀の初デート『サウスサイドであなたと』

私は、"I already miss Obama" kind of personの1人。

7月、4夜連続で民主党大会のラジオ中継を聞くことができた。
初日、ダウンタウンのネックを回るフリーウェイを走っている時に、ミシェルのスピーチが始まったのだ。
たまたま彼女の言葉をライブで共有できたことは、大きなprivilegeだった。
もちろん内容はシンプルで力強く、大統領夫からも含め大絶賛されたのだけど、私は何より、彼女がトxxxという名前を一言も出さなかったのが良かったと思った。

翌日はドジャースタジアムへ続く混雑の中でクリントン夫のスピーチを聞いた。
Living Historyを読んだ人=ヒラリー支持者なら知ってる話ばっかりだったのに、盛大にウケてあげてるDNC聴衆さすが。

あとの2日間は大物が出てくる西時間7時に合わせて会社を出て、ティム・ケイン、オバマ、ヒラリーの受諾演説を聞いた。
ケイン、ミシェルのヒラリー話の中で印象的だったのは、「キャンペーンの前に候補者が何をしていたのかを見よう」というもの。
ヒラリーはそれこそティーンの頃から、コミュニティのため、子どものため、教育のために奔走してきた。「選挙対策」をやってる人とは筋の通り方が違う。

そしてオバマ。彼の前に話したプレゼンターの一般女性が、「私はアメリカ国民1人1人が彼とハグできたらいいのに、と思う。彼の目を一目見れば、その温かい人柄が分かるから。This is our President.」と言ったところで、私はヒロシマ訪問を思い出した。
オバマはヒロシマサバイバーに耳を傾け、微笑み合い、ハグしていた。
(「アナタ、ノーベル平和賞受賞者なんだから、ボーッとしてちゃダメですよ」と言われたそうですね)
一方の我が祖国の首相は、サバイバーがせっかく何か伝えようとしているのに、「ハイ、ハイハイハイハイハイ」という声が聞こえてきそうな半身中腰。ちっとも聞いてねー!
いやほんと、オバマを隣にしながら市民にエンパシーを見せるポーズすらできないのか、心底呆れた。

前置きが長くなったが、オバマはこう言った。
"I never been more optimistic about a year ahead"

この映画が描く、ある歴史的なデートは、アンタこの当時だって充分楽観的だったでしょ?と言いたくなるような、希望に満ちている。
私の「後でスクリプトを書き取りたい映画」リストに追加されました。

とにかく、役者ってすごい。
2人とも、オバマ夫妻にふるまいの端々、言葉の使い方がちょー似てる。
特にオバマの語尾、ミシェルの目線の配り方ね。
かといってものまね芸人風味ではない絶妙さ。
役づくりとか、これからプレスやインタビューを探したいと思うけど、まさに演技という名の作品ですよ、研究成果ですよ。

そしてやっぱりナレイティブ、スピーチの才能ね。
さすがに観客には1周回ってパロディに見えたようで、「NOという相手にはONで返そうじゃないか、Carry On! さあ、みんなで!」のくだりで失笑が漏れていたけれど。
マリファナとタバコ吸いながら勉学に励み、床から道路が見えるようなボロ車を転がしていた人が大統領になった、っていうのはやっぱり「アメリカおもろい」と思うし、内側でどれだけ苦しんでもJustice for allの建前を立て続ける国であってほしいと思う。

バラクとは、ヘブル語でblessの意。神を誉め称える、そして同時に祝福される、の双方向の意味がある。

オバマ夫妻のアメリカにいられたことを神様に感謝する。(実際、私は彼の政策で直接的な恩恵を受けた)
そして、次の4年間を考えると、これほど気持ちが明るくなることはない。オバマに続いて、また「聞く」ことのできる人がリーダーになるのだから。

予告編。

最高に出来が良く、大会中、多分最も歓迎されたミシェルのスピーチ@DNC。
アメリカにとってスピーチは書物と同じようなレガシーであり、エンターテイメント。
Project Runway出身のデザイナー、Christian Sirianoの手によるドレスも話題に。

ヒラリー本2冊のうち、1冊目のほうが好き。彼女の子ども時代、学生時代の行動力は驚異的。
もちろん、ビルとのなれそめも。