英語あそびなら天使の街

在L.A.言語オタ記。神さまのことば、天から目線の映画鑑賞日記。

ある姉妹が「日本人」による性的虐待に勝利した話

覚書。いつか、もう少し想像力を広げて思いめぐらすことができるかもしれないので。

キリストが与えてくれた「ゆるし」の力を実践する集会に行った。
そこで、日系2世の女性が証をしてくれた。

彼女は子どもの頃、父親と伯父から性的虐待を受けていた。
父親に風呂場でされることが恐ろしく、伯父の家に遊びに行けば、伯父が布団に入ってくる。
うまく言語化できないながらも母や伯母に恐怖と不快を訴えるとまあまあ、と黙殺されたという。怒怒怒

残念ながらよくある話である。
が、私が複雑な印象を受けたのは、彼女がその鬼父や鬼伯父に言及するたび"Japanese" father、"Japanese" uncle、と言っていたからだ。

数世代前まで外国人という人がむしろ多数派のこの町で、彼女が鬼畜親が日本人であったことをあえて強調した理由は分からない。
無意識に言っていたのかもしれない。

私はそれを聞いて、
「やっぱり日本人ってやつはヘンタイで、性差別が激烈で、元従軍慰安婦を辱め、弱い立場の国に買春ツアーに出かけて...」とイライライライラした。
あれほどJapaneseと連呼していたので、ほぼアメリカ人と思われる他の聴衆の中にも「日本人の性的虐待親」を印象づけられた人も多かったのではないか。
私はアメリカに根を下ろす日系の先達たちに常に敬意を払い、実体験をもって感謝しているけれど、中にはヘンな奴も当然いて、それが悪目立ちしているのだ。

でも、私たちも日系人なんだよね。
日本人親の下にアメリカで生まれ、「日本人に虐待された」と認識している彼女にとってそれがどういうことか、想像もつかない。すごく苦しいかもしれない。

話がそれたが、彼女はキリストにあって自分の血縁者である2人の「日本人」をゆるす決意をした。
以来、悩みの種だった辛いフラッシュバックがピタリと止まったという。
傷を乗り越えて新しい家庭を築けたことが幸せだと涙ながらに語った。

これは彼女の勝利です。生涯を非人間のオッサンに渡さなかったのです。
でも、外野の私は今も腹立ってるし、ゆるせない、と思ってる。
簡単に死ぬんじゃなく、ものすごい恥をみてほしいと呪ってる。
J、弱い私を助けてください。

人をさばくな。そうすれば、自分もさばかれることがないであろう。また人を罪に定めるな。そうすれば、自分も罪に定められることがないであろう。ゆるしてやれ。そうすれば、自分もゆるされるであろう。(ルカ6:37)

映画 The Art of Self-Defense を見た。『恐怖のセンセイ』

ひええーーん。
一番キライな変態カルトものだったよ〜〜
『ミッドサマー Midsommar』と同じ話だったよ〜〜夜の町外れも暴力も怖いよ〜

アマゾンビデオで『日々是好日』を見たばかり(良かった!)で、「白帯目線でアメリカのカラテの何たるかを体験できるストーリーなのだ」と勝手に思い込んでいたのだ。
脱線するけど、やっぱり学習成長物語で『Shall We ダンス?』を超える作品にはまだ出会えない。

喜劇としてはもちろんよくできていて、特にカルト発覚後は前席のおじさんが咳き込むほど笑い続けていた...

銃の扱いはなかなか「政治的」。
銃を携える奴は弱い奴。そう主張する先生は銃殺される。
でもケイシー(ジェシー・アイゼンバーグ)は素手で殺したとウソをつき、稽古を続け、次世代にもカラテを引き継ぐのだ。
銃を介入させることでカラテを取り戻したとも言える。
今のアメリカの重層的な皮肉である。

よく思うこと、このタイトルでいうところのArtsは文脈にもよるが日本語一語に置き換えにくい。
リベラルアーツのアーツ。
芸ごとであり、芸術であり、技芸であり、芸当であり、ワザであり、技術であり、技法であり、方策であり、アイデアであり、思想であり、ハックであり、コツであり、秘訣であり、テクであり...。

今晩は民主党討論会第2ラウンド。帰宅したら終わっていたので、まとめ番組を見ている。
他の候補に先行を許しているが、近所にはオルークのサインを立てている家が数軒。

先日の日本の投票率の低さには心底落胆したけど、最近、とりあえず来夏の五輪までは(本当に開催されるか分からないけど)アレ首相のままでいいよ、と思うようになった。
失態噴出必至のウソまみれ五輪で、ウソついてない人が責任とらされるのは気の毒だから。
改憲発議だけは何としても止めましょう。

トレーラー。

映画 Once Upon a Time in Hollywood を見た。クエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

7/26追記、この記事読んで、タランティーノ監督に投げ銭するんじゃなかったと後悔。
Quentin Tarantino’s exploitation has no place in Hollywood anymore
でも、ロビー演じるこの映画のテートは下にも書いたとおり、設定の中で最大限にvocalだったと私は思いましたが。



聖林風俗史絵巻として興味深い。
通りのランドマークもバレー(今と変わらない)もフリーウェイ(今と変わらない)もノスタルジック。
サンセットブルバード9ブロックを2日間封鎖し、現存の建物にペイントして撮ったという。

この時代の「誰もがチェーンスモーカー」はまあいいんだけど、運転中にシートベルトしてないのがめっちゃ気になったわ。危ない。

マーゴット・ロビーのシャロン・テート、かわいくて切なくてすごく良かった。
なぜ出演したからってタダで映画館に入れると思うのか(入れてもらえたけど。自分が出てる、って言いたかったのよね)。

主演2人は、あんまり絵面の相性がよくないですね。
でもそれぞれにLA的空っぽさがあって迫る描写でした。

タランティーノ、ブルース・リーとおバカバイオレンスはイキイキ。
が、私は、ヒッピーコミュニティあたりから『ミッドソマー』を思い出してしまい、ブラッド・ピットの暴力に笑えなかった。
なぜか彼は、体はガッチリしていても、あまりそっち方面の腕が立つ人物には見えないんですよね。
アンテナ修理で屋根に飛び移る時点で違和感があったので、マーシャルアーツ系には重たい感じ?体が硬そうだから?

8/1追記、
リーのお弟子さんがリーの描写に反論。
うん、彼の偉業すっとばして小バカにした表象だったよね。
Bruce Lee’s Protégé Recalls His Humility Amid 'Once Upon a Time' Criticism

ルーク・ペリーが出ているのは知らなかったのでショック。あの悲しそうな目が遺作か...。
思えば、彼も知られている範囲の実生活含めてすごくハリウッド的でしたねえ...。

とりあえず、ラストシーンを味わうにはシャロン・テート殺人事件の概要だけは知っておかねばなりません。が、こちらは、事件には一切ふれずシャロンの美しい人生にフォーカスした1冊。

トレーラー。

『風と共に去りぬ』や『サウンド・オブ・ミュージック』を見たことがない(!)という大スターたち...。信じられないわ。

映画 A Bigger Splash (1974/2019) を見た。デイヴィッド・ホックニーの『ア・ビガー・スプラッシュ』

1974年製半ドキュメンタリー作品の4Kリマスター版が上映された。
LACMAが所蔵するデイヴィッド・ホックニー作品と、作家のメモワールが好きなので見に行ってみた。

で、半分寝てたような。
実際にホックニーのサークルも突飛で無茶でデカダンスで意識の上と下を行ったり来たりしていた。
オアシスまわりにフルチン男性が続々出てきて、エデンの園のようだ。
音楽も。
1970年代のself-indulgenceとロンドンとニューヨークを味わえただけで満足。

ホックニーはアメリカ滞在が長く、今もLAで活動しているようだが、「カリフォルニア嫌い」という女性の各都市に対するコメントは興味深い。
カリフォルニアの何が嫌いなのか、面白いのでぜひ見てみてください。

セシリアさんの赤ちゃんかわいい。

絵画が完成するまでの過程はあまり描かれていなかった。
『芸術家の肖像画―プールと2人の人物―』は今年5月まで、現存アーティストの作品落札価格としては最高額だった。
国家予算みたいな数字でもう想像もつかない。

トレーラー。

映画 The Lion King (2019) を見た。放蕩息子の帰還『ライオン・キング』

これは個人的に脳内がバグるというかショートする。プンバァが登場するあたりまで慣れない。
昔、『子猫物語』にビックリするほど感動し、「プー助かわいそう」としばらく引きずった後に、柳の下で作られたパンダ物語だか子グマ物語だかを見たらなんとドーブツが人間語をしゃべる!安い!しょもない!
…という経験から、「実写ドーブツにアフレコしてある映画は二流」という先入観があったので。

で、本作はもうほぼ「実写ドーブツにアフレコ」なのね。あんまりドーブツが歌ってるようにも見えないし。
だから技術のショーケースに驚き、あの音楽に喜びを覚えこそすれ、作品としてめっちゃ感動するまでは引き上げられませんでした。
劇場の子どもたちもさほど吸い込まれてないように見えました。

ライオン・キング (字幕版)

ライオン・キング (字幕版)

  • ドナルド・グローヴァー
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アニメでもミュージカルでも見てきた『ライオン・キング』に今回もう一度出会って分かったのは、父から受け継いだ王の権威を取り戻す物語がまさに聖書やん、ということです。

Why won't he be the king I know he is? The king I see inside?

って、20年前はただフレーズを気に入っていたけど、聖書の天の父が私たちを見る眼差しそのものなのですね。
ビヨンセの声で聞いて初めて気づいた。

むすこは父に言った、「父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。もうあなたのむすこと呼ばれる資格はありません」。
しかし父は僕たちに言いつけた、「さあ、早く、最上の着物を出してきてこの子に着せ、指輪を手にはめ、はきものを足にはかせなさい。また、肥えた子牛を引いてきてほふりなさい。食べて楽しもうではないか。このむすこが死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから」。
(ルカ15:21-24)

↑ ここで息子に授けられている指輪は印章、ハンコになっているもので、継承者の証です。

シンバとナラの再会、軽く鼻面が当たってふっと緊張感が流れるところ、良かったわ。
オープニングとエンディングはちょっとグッときたけど、あれは単に音楽と「ハイ、いつものー」の快感ですね。

昔アニメが公開されたときは「ジャングル大帝」のパクリやん、ってめっちゃ言われてましたよね。で、実際めっちゃパクリですよね。
里中満智子先生とか、手塚先生を敬愛しつつも外野の方々が抗議声明を出したけど、当の虫プロは、日本製アニメ誕生の動機にもなった憧れのディズニーさんにマネされたんなら手塚も喜ぶでしょう、お互いさまっス、なんて言って受け流したのよね。ジャパンですよね、良い意味でも悪い意味でも。

ライオン・キング (字幕版)

ライオン・キング (字幕版)

  • ジェームズ・ア・ジョーンズ
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ところでエンドロールの楽曲、ちょうエルトン。
ていうか、デュエットのヒット曲、 Don't Go Breaking My Heart とそっくりなんだけど。

トレーラー。

上映前に来年のMulanの予告が流れた。こっちのほうが楽しみかも。
8/17追記、
ムーランの俳優さんが香港警察を支持。来年公開時の状況は分からないけど、私も見に行きません。
逃げ場のある人(この方は米国市民でもある)が壁側につくのは残酷だと思うわ。
特に、中国の人権侵害について知らないわけはないのだから。
Liu Yifei: Mulan boycott urged after star backs HK police (BBC Newsから)